「SURLYを説明して下さい。」

そう問われてパッと答えられた覚えがあるかと聞かれたら、僕は自信がなかった。

ふと目をやった先のSURLYのバイク達から声がする。

「そんな簡単に自転車の事を考えていないからな。」

「小難しく自転車の事を考えるなよ。乗れよ。」

という両方の声。まるで天使と悪魔が共存しているかのような、

あと少しのところで分かりそうなのに謎めいていて底知れない。そんな存在がSURLYだった。

今回の出張で知る事の出来たSURLYは、ものすごくピュアな部分だった。

土地で、人々が、想い、考え、作る。

当たり前の事をずっとやり続けているだけ、そしてそれは時代に合わせて進化もする。

僕の中のSURLYのイメージが大きく弾け、またより成長した。

今日は少しの昔話と、この旅の思い出深かった風景と、一生手放せなくなったバイクの話をしようと思う。

8年前、僕はこのSURLYが生まれた場所、ミネアポリスに訪問する機会を得る事が出来た。

SURLYを日本でずっと扱っているモトクロスインターナショナルさんからご同行如何?とお声を掛けて頂き、

うちのボスからも「SURLY達を見て来な」と強めに肩を押されて、これが初めてのアメリカ出張だった。

SURLYの名は知っていたし、19歳の時にスチームローラーを手にしていたから、

このブランドをより知る事の出来るチャンスに僕は飛び上がった。そしてこの時も当然飛行機恐怖症だった。

その時に喰らったのはミネアポリスのサイクルカルチャーの熱さだった。

東京では絶対に経験する事の出来ないバリエーション溢れる自転車の遊び方。

彼らはかっこいいサイクリストだし、そしてとんでもなくワルだった。

こんなふうに自転車と向き合うんだったら絶対に、SURLYもALL  CITYもSALSAもそりゃ必要だ。

この時の出張では、「自転車でもっといっぱい遊ぼうぜ。」というマインドを日本に持ち帰って来た。

僕が確実に成長した実感のある大きな出来事だった。

そして今年。そんな熱い街ミネアポリスに再度行く機会を得た。このメンバーと共に。

SURLYに会いに行く。彼らの事を今一度改めて勉強しに行く為だった。

まさか新たに、こんなに多く学び理解する事が出来るとは、この時はまだ思っていなかった。

彼らのおもてなし、ちょっとしたアクシデントの数々、それが産んだ奇跡、

思い出の地への再訪、急に訪れた再会、何気ない家族の風景、地元愛、

ローカルの人々から感じ取れるミネアポリスが産んだブランド達の説得力、彼らが受け継ぎ紡いでいく歴史。

若かった頃は感じる事の出来なかった今の多角的な目線で、SURLYを構成するたくさんの要素を知る事が出来たし、彼らはそれらを丁寧に教えてくれた。

SURLYとは日本語では「ぶっきらぼう」や「無愛想」という意味だが、

同じ「好き」を持つもの同士、分かり合える事も伝え合う事も、言語が違えど自然と共有出来た。

そのおかげで、理解や考えをより深める事も出来た。

今回タイトルを「SURLYの自由研究」と称したが、今回の出張でまた振り出しになった気持ちだ。

僕の中のSURLYへのイメージがまた大きく変化した。

まるで、大人になった親友と奇跡的に再会したような、そんな気持ちだ。だからゼロ。

この経験はこれからもより色んな人にSURLYを知ってもらう為、持ってる人にはより理解と愛着を深めてもらう為に、学んできた歴史も、現地で感銘を受けたマインドも踏まえて、また書き始めたいと思う。

そんな意思表明も込めて、最後に少しのプロローグを添えます。

今回の出張では自分のSURLYを持っていくというミッションがあった。

そして有無を言わさずスチームローラーで行きなさいというお達しがあった。

SURLYの中でも特に原始的な自転車に跨った瞬間、忘れかけていた研ぎ澄まされる感覚がブワッと蘇った。

「自分がフィックスドギアバイクにハマったきっかけの一台。」

「自分が思う形に、好きなように自転車を組んで良いんだと思わせてくれた一台。」

「どんなに派手に乗ろうともビクともしなかった強い一台。」

「時が経ってもまた乗りたいなと思わせてくれた一台。」

「自転車の設計の自由を教えてくれた一台。」

「シンプルだから歴史がとても気になった一台。」

「最後に一台残すんだったら…、と悩んだ末に選んだ一台。」

初めて出会ってから20年間、事あるごとに僕をそんな気持ちにさせ続けてくれていたバイクで、

それが生まれた土地を走る事が出来たなんて。と思った時に自然と泣けてきた。

SURLY Group Ride 2026 to the Minnesota State Fair

SURLY Group Ride 2026 to the Minnesota State Fair

Sabo Bridge Night 2026

Sabo Bridge Night 2026

一方で、その土地で育って来た人からすればこのバイクで地元を走るなんて普通の事。大した事じゃない。

でもそれぞれが、

「丈夫だからこれで充分。」

「この土地に合っているからね。」

「どんなふうに組んだって楽しいよな。」

「たくさんの歴史が詰まっているバイクだからさ。」

と、このバイクへのリスペクトを持って乗っている。それを目の当たりにしてまた泣いた。

今回俺泣き過ぎ。

SURLYのマットさんが、あるライド中に話してくれた言葉が忘れられない。次はその事を深掘りしたいと思う。

「STEAM  ROLLERはロードバイクへの反抗なんだよ。分かるかい?」

「SURLYの自由研究。その九。」へ続きます。

それでは。