AFFINITY CYCLES "ANTHEM"

NYCはブルックリン地区ウィリアムズバーグでバイクショップとして産声をあげた”AFFINITY CYCLES”。現在では自社製バイクフレームの販売をメインに活動しながらも、本格的トラック競技用モデルの開発に余念がない野心多きブランド。
そんなAFFINITYが手掛ける、スタンダードラインとは一線を画す珠玉の一本”ANTHEM/アンセム”をご紹介。

*AFFINITY CYCLES* anthem track frame

「タフでよく走る。」トラックバイクに求められるシンプルかつ究極的な、ライダーからの要望を十分に叶えてくれるアフィニティフレーム。これまでに発表された代表的モデルLO PRO、KISSENA、METROPOLITAN。そのどれもが素晴らしい出来栄えで、発売後間も無く世のトラック乗りたちを夢中にさせました。多くの人々に自分たちのバイクの良さを広めたい、という単純な気持ちから、またコスト面の問題から、生産に関してAFFINITYはこれまでどのモデルも自分たちの手から離れた場所で量産を行っていました。他のマスプロメーカー同様、それはごく当たり前のことであり、合理的で、ビジネスとしては基本。

しかし今回の新作に限り、AFFINITY CYCLESは生産の拠点を移すという判断を下します。そしてその場所として選ばれたのがAFFINITY発祥の地、また彼らのホームとも言えるかの街。BROOKLYN。

新作”ANTHEM”はその全ての工程、パイプの選定から溶接、塗装に至るまでがブルックリンの工房内で手作業にて行われます。デザインはAFFINITY CYCLESのフレームを全てデザインしてきたJason Gallacher。フレームビルディングはブルックリンを代表するフレームビルダーの一人であるHORSE CYCLESが。そして美しいカスタムペイントはBen Falcon Paintがそれぞれ担当。生産の拠点だけでなく、それに携わる人々の背景までもが、何かしらこの地にゆかりがある。まさに本物のニューヨーク、ブルックリン生まれのフレームなのです。

一本一本が熟練した職人の技、精緻さを持って生み出されるハンドメイド。注ぎ込まれる時間と労力は計り知れないもの。量産品では決して表現することのできない、人間の温もりが宿る特別なフレームがこの”ANTHEM”です。
(果たしてこの判断がどんな結果を生むのか、どういう影響を与えるのか、それはまだ分かりませんがハンドメイドという生産方法に一部のラインをシフトするAFFINITYの判断はごく自然な事のように思えます。彼らの、ブランドとして活動する土壌が成熟したことを、世の中のAFFINITYに対する関心や機運の高まりを感じます。)

まだデビューしたばかりのANTHEMですが、既に大きな勝利をその手中に収めています。ANTHEMが世界中にお披露目されたその数日前、ニューヨークで行われたノーブレーキオンリーの伝説的アーレーキャットレース”MONSTER TRACK”にて、完成したばかりのANTHEMを駆るChrisがChas、Nicoを抑えて優勝。そして先日開催されたRED HOOK CRITでは看板女性ライダーのAsh Dubanが準優勝に輝きました。ストリートレース、クリテリウムレースの両方でANTHEMの走りの切れ味が証明されています。

前置きはここまでにしといて、肝心の車体についてのご説明をー

まず注目して貰いたいのはフォーククラウンにかけて広がった1.5″のテーパーヘッド。ハンドリングの安定感や剛性にかけて従来のオーバーサイズ(1-1/8)を、一枚上回る性能を生み出す新規格。マッチペイントされたフォークはもちろん、自転車愛好者たちが絶対の信頼を置く”ENVE”社製。今現在これ以上のフォークはない。といっても過言じゃないはず。
そしてなんと。付属するインテグラルヘッドセットのトップカバーにもマッチペイントが施されます。

ブルーラグで販売するANTHEMはもちろん全て前後ブレーキ穴完備。そしてトップチューブをアウターが通り抜けるインターナル特別仕様。まるで初めからそこに生えていたかのように、一体化して見えるほど丁寧に仕上げられたワイヤーの入り口。美しいの一言です。内部にはガイドが通っているので、アウター&インナーの交換もスムーズ。

そしてANTHEM最大の特徴の一つ。フレーム一体型のシートポスト(Integrated Seat Mast)。
ANTHEMのために設計、製造された特別製ピラーは、マサチューセッツのプロダクトデザイナーAaron Panone(44RN)がデザインを担当。専用品だけありその一体感と使用感には目を見張るものがあります(サドルをクランプするシートガッツは信頼性の高いENVE製を採用しています)。ブルーにはシルバーが、グレーにはブラックがそれぞれ付属。

メインとなるフレーム材には、アメリカンハンドメイドバイクでお馴染みのパイプを使用。TRUE TEMPER社最上級グレードのスティールパイプ”OX PLATINUM”は、固くしなやかで強い粘りのある、まさにトラックフレームを作る為に生まれてきたような素材です。

いかにも屈強そうな量感あるヘッド周り、常にその存在を主張し続けるストレートフォークとダウンチューブの大径エアロパイプ。中断されることなく、一本筋を通したシートチューブから鋭く伸びる一直線のシートステー。凛と張り詰めた空気の中に、確かな力強さを内包する油断も隙も無い静かな怪物、それがANTHEM。そして何より、その洗練されたジオメトリーが生み出すハンドリングと俊敏な反応、爆発的加速は唯一無二。