ここ数ヶ月自転車へのモチベーションが上がらなかった。特別何かあったわけじゃないし、自転車を嫌いになったわけじゃない。
自転車だけじゃなくて、スケートや、古着を見に行ったり、自分が好きだと思っていた物事に何も感じないここ最近。どうしちまったんだ俺…。と少し自分の心配をしていたが、まあ四六時中触れているものなので、そういう時期なのかもしれない。気持ちの浮き沈みは誰にだってあるはず。と自分に言い聞かせて過ごしていた。
そんな中彼らが突然現れた。
ルイ・ロペズ (真ん中の黒いフーディ着てる彼)
同い年。Fucking Awesomeのプロライダーであり、Converse Consで二作目となるシグネチャーシューズを出したばかり。誰もが憧れるスーパープロスケーター。
まだロン毛で、Rockstar Energy DrinkやFlipのライダーとして活躍している頃から彼のビデオパートをよく観ていた。そんな彼と自転車で繋がるだなんて思ってもみなかった。物静か、というかめっちゃチルい性格で、喋りもゆっくりでカリフォルニア〜って感じだった。LA生まれLA育ち。今回が初来日。
ジミー・ロサス (ルイの左隣にいる彼)
一個上。今は亡きGolden Saddle Cycleryのストアマネージャーだったという事もあり、彼とは過去に何度かメールでやり取りしていた。晴れて顔を合わせることができて光栄だった。声が大きくてとても陽気な性格。その場にいるとパッと雰囲気が明るくなる。Peace Sportsのアイザックと同じエネルギーを感じた。ルイ同様、LA生まれLA育ち。今回が初来日。
マット・ホワイトヘッド (ジミーにくっつかれてる彼)
バイクインダストリーのトレンドに中指を立て、時には伝統をリスペクトし、独自の世界観のバイクを造り続け、今や皮肉にも業界のトレンドセッターとなったCrust Bikesのオーナー/マスターマインド。オーストラリア出身。6年ぶりの来日。
またすげえ人たちが突然来たもんだなあ。そういうノリと勢い、大好きだぜ。
来日したと聞いた翌日が上の写真を撮った日だ。
Evasion Trail 140のデカールのデザインを手掛けたFu君、そしてお店にたびたび遊びに来てくれるディランくんも交えてBlue Lug都内3店舗ツアーをマット氏、ジミー氏、ルイ氏と行うことに。
ルイはDay Pack Miniを装備していた。これにはプロデュースした縫製チームのMaxさんも歓喜。
このサイズ感のバックパックって調子いいんだよね。わかるよルイ。Comaのバックパック昔流行ったよね。あれいいサイズなんだよな。
出発前にルイが「スケボー持っていっていい?」とリクエスト。ったりめえよ!(サブちゃん運んでくれて感謝です)
これぞプロのオーリー。ブッ刺し具合、たまらんす。(サブちゃん写真すごい)
何気なく一緒に自転車乗って普通に会話してたけど、彼がスケートをする姿を間近で見る度に「え、てかルイロペじゃん。やば。」と正気ではいられなくなりそうになった。
3店舗を回っている時、ルイは終始辺りをキョロキョロと見渡していた。スポット探してんな〜と嬉しくなったし、忘れていた何かを思い出させてくれた。ルイみたいには滑れないけど、自転車で街を流してスケートスポットを見つけることの楽しさを思い出させてくれた。スケボーもまだまだ頑張れる。できる時にやらなきゃ。
(↑人生初のラーメンを喰らうマット氏とそれを撮るジミー氏)
(↑マットとジミーはお揃いでTembeaのGunteをゲット)
(↑上馬店にディスプレイされていた吊り革をもらって大喜びのジミー)
ジミーは現在Fabrica De Rosasというバイクショップを地元LAで営んでいる。
ルイとマットとは大の仲良し。ジミーが喋るとルイとマットは必ず笑っていた。誰かが疲れを見せると「Yo!大丈夫か!」と気を配ってくれるし、色んな人に話しかけては笑かせてくれる。こういう友達って誰にでも一人はいると思うけど、大事にした方がいいよね。
Blue LugのCrust エキスパートでお馴染みセントさんと、Crustのボス、マットさんの感動のご対面。BMXルーツのあるお2人は会話が進む。各モデルのバイクを組んでみて、乗ってみてどう思うかなどの意見交換を。
(↑上馬店のウォール・オブ・サインをアップデートするマット氏)
デカいグ◯チの刺繍が入った謎のCarharttベストを着ちゃうくらいオチャラケた性格のマット氏だが、Crustのバイクやプロダクトの話になると、表情が変わる。そしてスタッフのアイデアに対して正直なご意見や感想を述べてくれる。何かとクレイジーやら、テキトーとか言われがちな Crustだが、実はめっちゃくちゃ自転車のこと考えてるし、Crustというブランドをとても大切にしていることが感じ取れる。でもそれは表に出さないし、やっぱりどこかラフなところがあったり、楽しさだったり、遊び心を忘れないのがマット/Crustのかっこよさなんだろう。
「Crustを始める時、持ち家を売ったんだ。」と笑顔で話すマット。
相当な行動力というか、覚悟というべきなのか。
Matt/Evasion (pic via : The Radavist)
Ultraromance/Romanceur (pic via : The Radavist)
Goat/Scapegoat (pic via : Bikepacking.com)
Leo/Florida Man (pic via : The Radavist)
Garrett/Wombat (pic via : Crust Bikes)
Anton/Derecho (pic via : Anton’s IG)
普通の人じゃなかなかできない大胆な行動を取ったうえに「他社が考えることやトレンドなんて知ったこっちゃない。自分や仲間が乗りたいと思うバイクを作りたい。」というパンクなマインドと、才能溢れる仲間たちに対するアツいリスペクト、そして、そこから生まれるオリジナリティに富んだ製品を作り続ける事こそCrust魅力だろう。「独創的」と書いて「クラスト」と読む。と言っても過言ではない。(かも)
上記6枚の写真は、マットと彼の仲間たちが手がけたシグネチャーバイクとその本人達。次は誰のシグネチャーが出るかな。
その夜、みんなでLugにて食事をした際に、マットがバイクツーリングにハマったきっかけの話になった。
(pic via : Bikepacking.com)
彼が旅行でメキシコを訪れた際、ちょっとしたトラブルで飛行機に乗れなくなってしまい、当時住んでいたアメリカまで何としてでも帰らなければならなかった彼は、現地メキシコで買った$200の自転車でアメリカまで帰ることを決心。ここでは書けない恐ろしい思いをしながらもなんとか帰国。
普通はトラウマにすらなりそうな出来事だが、彼はこれがきっかけでバイクツーリングをするようになったそうだ。
やっぱクレイジーだぜ。マットさん。
彼の哲学や自転車業界に対する姿勢をしっかりと知れたのは、彼と実際に会った数週間前のことだが、それ以前から僕はCrustの世界観に魅せられ、自分が所有するCrustのバイクは3台にまで増えていた。
大好きなバイクブランドのボスと何日か過ごして、たくさんの貴重な裏話を聞き、所有するEvasion、Lightning Bolt、Wombatの3台が輝いて見えた。こんなカッコいい人が作る自転車は宝物だ。
Crustのフレームが高額なのは隠し事ではない。
ただ言いたいのは、Crustは他社と同じ物を作らない。常に自分達の世界観を貫き、「うーわ。なんだこれやべえ!」と思わせるこれまで市場に無かった物を創り続け、僕たち自転車乗りを常に楽しませてくれるブランドの一つだ。
人間という生き物は生きていく中で、必ずどこかで何かにインスパイアを受ける生き物で、大抵の人間が思いつくアイデアや考えは、人生のどこかで受けたインスピレーションを基に構成されている。そして多くの人はそれをそのままアウトプットする。
何かの答えを探す際に「あの人がこう言ってたから、ああしてみるか。」という風に無意識で考えたことは誰でも経験があるだろう。僕ももちろんある。何故ならそれが一番楽だから。
インスパイアを受けることが間違っていると言いたいのではなく、受けたインスピレーションを基に、オリジナルのアイデアを見つけ出すことが、他者との差を作るのだろうと僕は思う。それはとても難しいことであり、かなりのエネルギーが必要なこと。ましてや、自転車という世界中の誰もが知る歴史が非常に長い乗り物のデザインとなると、とてつも無い時間と労力を費やしているのだろうと想像できる。
これを踏まえて、「そうなると悪くないかもな」と思っていただけたら嬉しいし、「そうは言ってもね…」と思われても恨みません。
この春自転車に乗りたいと考えている方にとって、Crust Bikesが一つの選択肢になったらいいなという思いで書いたまでです。
なんだかこうしてこのブログを書いてたらまた自転車で遊びたくなってきた。ようやく僕にも春が来た気がする。
マットさん、ありがとう。
もちろん、一緒に遊んでくれたジミーとルイもね。
See you soon!
✌️
-カーネル