ハンドメイドバイク。
ひとりのオーナーの体格、用途、思想、成分を汲み取り、フレームビルダーが本当の意味でその人専用のフレームを作り上げること。
自転車と一口にいっても多くの自転車がありますが、自分が自転車の自の字もよくわかっていない時から魅せられている自転車のあり方であり、自転車を知ってそれなりの時間が経った今なお魅せられ続けている存在です。
昨年に続いて今年もそんなハンドメイドバイクのショーであるMADEへ行ってきました。
会場は前年と同じくアメリカはオレゴン州自転車の街であるポートランド、造船所であるZidell Yardsにて。
昨年は造船所内のみのブース展開でしたが、今年は屋外にもブース出展者が溢れ、賑わいを見せました。
造船所ブースに入ってど真ん中に位置するのは昨年と同じくWhite ind傘下のRolf/White ind/Astralブース。
VBCの12速化や、Rolfの最少スポーク16Hのディスクホイールの初お披露目が目立つところで。
削り出し屋さんこそなハブシェルをぶった切った内部構造の展示はショーならでは。
このブースの端っこにあったベアリングメーカーのENDURO(whiteの回転系統によく使われてる)、
この水槽にショーのまる3日間浸かりっぱなしのシールドベアリングの展示がユニークでした。
今ショー全体で目玉の1つだった、RITCHEYブース。
現在は大きなフレームメーカーなわけですが、創始者であるトム・リッチーはMTB創世記よりハンドメイドでバイクを生み出してきたルーツはハンドメイドのメーカーです。
そんなトムリッチー御大が自らRITCHEYのハンドメイドのルーツともいえるブルムースバーの溶接を魅せるというイベントがMADEの2日目にありました。
テント自体はこじんまりながらも溶接済みのブルムースバーが存在感を放ってました。
にしてもこのトラックバイク何?
Garden Cityとモデル名がつけられたこの1台は非常に気になりました。
シングルスピードのデモンタブルロードバイクは過去見たことありますが、トラックバイクとなったらマスメーカーRITCHEYとしては初になるんではないでしょうか。
終日ブースにトムリッチー御大ご本人はほぼほぼおらずでしたが、まさかの初日の終盤にフラっとテントに登場。
もしお会い出来たらサインもらおう!と思って用意した箱入り新品ボブルヘッドトムリッチーを取り出してサインを頂きました(上馬店に飾っておきます)。
サインもらう時にまさかのサインペン忘れてガチ焦りしたわけですが、裏ボスワカコさんの機転でSOULCRAFTショーンのペンを急遽借りることが出来て無事に。
このタイミング以外で面前にはリッチーさん現れなかったので、ここでサイン貰えてなかったら末代までの後悔だったと思います。。。2本ペン持って行ってたのになにやっとんねん俺。
でもただでさえ荷物多いのに鬼かさばる箱入りのボブルヘッドをハンドキャリーしたわたしを褒めてください。
御大はイメージより大きい方でちょっとびっくり(アメリカ人大体みんなイメージより大きい)。
Paul componentブースは最近Bluelugにも入荷してきたカラフルなアジャスター類が展示全体を彩り鮮やかにしていました。
アジャスターってほんと〜うにちょっとした部分だけど、カラーものを作ってくれるだけで選んで楽しい目に楽しい。こういう細かなところの遊び心を忘れないPaulが好きです。
ショーはいつものBen Davisのワークシャツをユニフォームとして纏って、Paulさん自らも接客にあたっていました。
初プロダクトとしてはRacer Brakeのfor Bromptonバージョン。台座部分のみの設計を変えて対応出来るようになっているよう。
台座を通常の枕頭verに変えたら普通のバイクでも使えるしこれほんとクレバー。
それまで展開のなかった22.2ハンドルクランプの70mmレングスのBOXCARも待ってましたなプロダクト。ハンドメイドのハンドルを使うのが捗ります。
世界一格好良いハンドメイドフロントラック、PASS AND STOWブースは昨今のヘッドが寝たバイクへ取り付けた時に天板の位置をもっとバイク寄りに出来る「脚」部分がニュープロダクト。
それまで直角三角形に近い脚部が二等辺三角形みたくなっているのにお気づき頂けますでしょうか。
ラックを取り付けていた展示車がHUNTERのBUSH MASTER(仲良しのリックハンター私物)なのにびっくらこいて、
「やべぇ、俺の青春バイクだ!!!!めっちゃエキサイト!!!!」と彼に伝えたらまさかの乗せてくれたのが個人的ハイライトでした。。。
しかしマットさん明るくて可愛くて、会うたび元気もらえてファンになっちゃうぜ。。。
みなさんにも是非会って欲しい1人です。
そんなPASS AND STOWのお隣はFrancesブース。
今野さんが乗っているPlatypas(カーゴバイク)やFarFarトレイラーのような運搬バイク、そしてデジさんが乗っているようなランドナーが個人的にはイメージが強かったわけですが、
今回は意外にもトラックバイクが。
ビルダーのジョシュアさんトラックバイクお好きらしい。ご本人バイクも固定ギアだった(最下写真)。
シートチューブがフォーク形状になっていて横から見るとシートチューブにリアホイールが食い込む形に。リアバックが365mmというショートチェンステーとベンドしたシートステーが特徴的。
ヘッドチューブのステンレスラグ(って表現でいいのかしら)と似寄りのバイブスを感じるリアエンドが素敵でした。
西のリビングレジェンドのひとり、Rock Lobsterのポール・セイドフ氏。from Santa Cruz。
このバイクシーンが好きならこのロブスターのロゴを1回は見たことあるのではないでしょうか。
シーフォームグリーンのチームカラーを纏ったバイクが代名詞的存在。(展示のサスのMTBの色)
昨年もMADEに出展される予定でしたが怪我を負われて出展せず。今年見れるのを非常に楽しみにしていた憧れのフレームビルダーの1人です。
展示は机1つにバイクラックにバイクが5台置いてあるだけ。机には簡素にペンを走らせたメモ書きがあるのみという潔さ。
ブースの作り込みにも手間をかけるビルダーがたくさんいる一方で、このレジェンドだからこそなシンプルな展示方法に惹かれました。
物販のソックス(もち買った)が売り切れた後はギターを演奏し始めて(彼は過去ミュージシャンを志していた)、
レジェンドがなぜレジェンドなのか、を肌で感じたわけで。
「うわ〜、すげぇポール・セイドフと写真撮ってるよ俺!」って思わず撮られながら口にしちゃいました。
だって憧れのフレームビルダーなんだもの。いいじゃないですか。
しかし話しかけるまでめっちゃ緊張した〜。。。
彼は間違いなくフューチャーレジェンド、BTCHN bikesのタイラー。
ショー中ひっきりなしの来客でブースが盛り上がっていましたが、話題を掻っ攫ったのは「GEO SHIFT」と銘打った機構が盛り込まれたハードテイル。
トップチューブにドロッパーシートポストを盛り込み、Paulのドロッパートリガーを2連にモディファイしてライドシチュエーションによって通常のドロッパーポストでのサドル高さ及びにシート角度も調整するという途轍もない1台。
しれっとブルムースバーは彼のお手製のチタンブルムースバー。というのも見逃せません。
過去作っていたのは知っていましたがこのショーに合わせて作ってきたのは驚きでした。
昨年のバイクでも作り込みが凄いな、、、と思わせてくれた彼ですが、今年のバイクは上がったハードルをいとも簡単に飛び越えてきて来場者の心を鷲掴みにしていました。
タイラー自身も明るく、ショー中すれ違うとハイタッチしてきたりと素敵な人柄が伺えて、生み出すバイクも彼自身も非常に魅力的。
GEO SHIFTの衝撃が凄過ぎて、霞んでいましたがカーボンフェンダーが奢られた、もう1台のフラットバーバイクも非常に格好良かった。
グリップも彼のお手製。
彼へいくつか気になってたことをインタビューした動画も後日見て頂けるはずなのでお待ちくださいね。
タイラーがいかに熱意を持って自転車と向き合っているか、がきっと伝わるはず。
自分は隣で聞いていて彼が何を言っているかわからなかったけど何故か鳥肌が立つくらい、情熱を感じました。
つづきます。