上馬店のタニです。
本日はバイクチェックです。つい「うわかっけ」と唸ってしまったお客様のバイクを紹介します。
今年はもうちょいブログを頑張ろう。ピットと脳内、内外に漂う自転車のこと、なるべくセールストークにならず正直に言語化していく行為を。今年もよろしくお願いいたします。
思えば上馬店オープン初期は「毎日ブログアップ」を掲げていたので週に6日書いていました(それはそれで狂っていました)でも過去ブログを紐解くと、
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頂いた差し入れのお菓子をベヘリットにしたり、PHILのBBを触って「ピンコ立ち!」とかわけわかん事を書いていただけなので今とはハードルが違うんですな。
ちなみに過去ログに残っている一番古いブログのタイトルはこれです。
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タイトルに関して全く記憶がない。自分が知っていたことなのか、誰かに聞いたことなのか。
そんなことはいい。
今日はお客様のバイク、2024年僕の脳みそを爆破した50台、”脳爆五十傑”のうちの1台をご紹介します。
FALCONER CYLES “Drop Bar Mountain Bike”
格好良すぎる、日本でこのバイクを組ませていただいたことが僕の自慢です。
カリフォルニアのレジェンドフレームビルダーキャメロン=ファルコナーにオーダーしていただいたカスタムハンドメイドフレーム。
オーナーの身体と今乗っているバイクを採寸して制作する世界に1本だけの専用機です。
この“Drop Bar Mountain Bike”っていうのはこのブログを書くにあたって急遽考えた、正式なモデル名ではありません。そもそも名前のないバイクです。
「どんなふうに使うか」「どんなライドをしたいか」を事細かにビルダーさんに伝えて、「じゃあこんなのはどうかな?」とビルダーさんからのアンサーをもらって。出来上がったバイクに無理やり名前をつけるとしたら”Drop Bar Mountain Bike”でした。
きっとこのバイクのオーナーも、ビルダーのキャメロンも乗って調子良ければ名前なんてどうでもいいよ、って言う人だと思います。
だから別に僕がブログで”ギャラクシーブレイカー”と呼んだって良いわけです。
早速ギャラクシーブレイカーに乗ってナッパと休日の遊びに繰り出したオーナー、日常都会から脱出する全地形マシン。この姿を見るのが感無量です。
オーダー内容は、林道、ガレ道、山道探索に特化した、グラベルとMTBの良いとこどり。
MTBにただドロップハンドルをつけたものとは違い、ドロップハンドルに最適化されたジオメトリー。
ブルーラグのラインナップで強いて言えばBLACK MOUNTAINのLa Cabraに似た用途、でも乗り味やハンドリングはガラッと違うのがおもしろい。
過去BLACK MOUNTAIN CYCLESのプロトタイプ・アメリカ製モデルを作ることもあったFALCONER、つまり両者はガンダムとジムの関係性なんですな。
グラベルバイクのような巡航性能で、マウンテンバイクの走破性を持っていて。タイヤのクリアランスは29×2.4を指定してオーダー。
以前同じこと書いたかもだけど、この「余計なダボ穴がない」というのがとってもハンドメイドバイクで色気がある。
リアラックもフェンダーも使う予定がないので、なし。
現代の量産のフレームは、ダボ穴だらけ。それは素晴らしい事で、それは拡張性、多用途、ラックをつけたり「どんな人がそんな用途で乗るのかわからない」のでメーカーが用意してくれた最高のオプションなんですが。
世の中そういうバイクで溢れると、この「特定の人の専用機」だからその人が必要としないダボ穴はない、という美しさが堪らん、という逆転が起きるんですな。
そしてこのユニクラウンフォークよ。
フォークには少々のダボ穴。これはPASS AND STOW専用の位置を指定してつけてもらいました。ビルダーのキャメロンとPASS AND STOWのマットは親友。なのでこの自転車にはこのラック。オーナーのそういう侘び寂び好きです。
昔はカクカクとしたセグメントフォークが好みでしたが、キャメロンの作るこの丸肩のユニクラウンフォーク、最高。この直進性はLA CABRAより少し寝たヘッド角に秘密があるのだろうか。
(ビンテージMTBライクなユニクラウンにBoost 15mmアクスルズドン、っていうね)
パーツ構成は大好きなRitcheyのコンポーネントと、
駆動部はWHITE INDUTRIES、
そしてそのWHITE INDUSTRIES傘下のリムメーカーASTRAL。完璧だ。VELOCITYももちろん好きですが、パーツWHITE多めな時はバチっと気持ち良い組み合わせ。軽量で太グラベル〜MTBまでカバーするOUTBACKという推しモデルです。
組ませていただいてありがとうございます。幸せです。
もう1台。こちらも同じくキャメロン=ファルコナーの仕事。
FALCONER CYLES “All Track”
フレームについての詳細は過去書きました。こちらはフルカスタムフレームではなく、トラックフレームをオーダーした時にストックフレームとしてキャメロンにお願いしたもの。名付け親はビルダー本人、「All-Track? Monster Track?知らんけど・・」とのこと。
TOKYO凍狂で日々酷使するトラックフレームはどんなだろう?と考えキャメロンに相談した結果、彼が出してくれたアンサー。
ピュアなトラックではなくてミドルリーチのブレーキを使って最大35mmほどのタイヤを放り込めるように。
このオーナーは32mmのコンチネンタルにて。東京の交通事情を加味して前後にブレーキはマスト、ビルダーのアイデアはMAFACオマージュでPAULのRacer midブレーキを溶接直付けする、というデザインでした。
リアタイヤはチープなランドナーを選んだのは、その昔は競輪フレームやトラックバイクを乗り回していたオーナー。その名残りか。
乗り味もトラックバイクとも違うし、トラクロとも違う。ヒラヒラクイックな感じはなく、路面にビタッとまっすぐ走るこの感じ。
パーツ構成は、現在オーナーが好きなカリフォルニアの匂いのパーツ群と、
お家のパーツBOXに眠っていた20年前のトラックバイクムーブメントの余熱たち。そのミックスである。
当時の宝物が時を超えて現代の自分の理想のバイクに組み込まれる。
(SHIMANO DURA-ACEトラッククランクは、シマノさん公式にJISテーパーであることが最近確認できた。20年間ずっとISOテーパーかとずっと思っていた。当時はハッタや競輪BBで選手も使っていたのに、今はオフィシャルでJISテーパーで使えるようになりました。ってことはある程度軸長とチェーンラインをコントロールできるしあんなフレームやあんなバイクに、薄刃のチェーンリングもあることだしAARNでもいいし・・妄想が膨らみます)
そしてこのトラックエンドは天才。(Paragonのエンドを天地ひっくり返してフードを切ってある)
元の形状はコチラ
派手な装飾を好まないビルダーさんかと思いますが、
ぼくはこのシートステーの集合がとっっても好きです。
このストックフレームたちはSOLDしてしまいましたが、新たにフルカスタムオーダーをすることももちろんできます。そしてMTBもグラベルもロードも作れてトラックバイクも作れる、というビルダーさんは意外と多くない。昔サンフランシスコに拠点を置いていた、というのがルーツなんだろう。
どんな用途のバイクが自分に必要か、を考えたらキャメロンに任せてみる、というのがこのビルダーさんの真骨頂な気がします。
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今は量産のフレームで良いものがたくさんあるので、ハンドメイドバイクの在り方も変わってきましたが、やはり一番熱を上げてくれるというか、最高で崇高であることは変わらないと思います。徐々に、少しずつですが店頭でハンドメイドバイクのお話をすることが増えてきて嬉しいです。
もし未来、自分試乗最高のバイクをご検討でしたら、ぜひ候補の端にハンドメイドバイクを加えてください。
最後まで読んでくれてありがとうございます。以上タニでした。