こんにちは
上馬店より一周です。
店頭、オンラインストアともに販売がスタートしたBlackMountainCycles “ROAD”。
じわじわと反響頂いていまして嬉しい限り。
少々間が空きましたが前ブログの続編、今回はマイバイクチェックをば。。。
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BlackMountainCycles ROAD(53)
自分が選んだROADは今回の復刻で特別に用意して頂いたダークブルー。
monsterscrossに引き続き53サイズをチョイスしています。
身長172cmサドルハイト69cmの体格でこの感じです。
本国のサドルハイトチャートを見るとサドル高69cmは53サイズが適合するサドル高の中では最も低い高さにあたりますが、
海を越えた人々らの体格と比較して腕脚のバランスが僕らは異なるので、距離感定まっていない方はざっくばらんにお問い合わせ頂けたらと。
正史的ロードレースシーンにおいて、またカルチャー的な系譜においても絶大なる影響を与えた、伝説的ロードレーサーEddy Merckx氏。
同氏の駆るバイクのグラフィックがオマージュされたこのバイクはこれまでワンセットともいえるフレームカラー、Molteni Orangeのみの展開だったのですが今回の復刻は特別にダークブルーとの2色展開。
BlackMountainナイズドされたEddy Merckxトリビュートなグラフィックはそのままにフレームカラーのみ、メインロゴの胴抜き部分と同色のダークブルーになっています。
象徴的なカラーゆえにオレンジを選ぶことももちろん頭をよぎったのですが、
この同モデルに乗って同じ遊び方をする予定のウエンツ御大がオレンジのチョイスだったのが決め手になりダークブルーに。
一緒のシチュエーションで一緒のモデルで一緒のカラーは流石にキチぃのですな。
っぱオレンジだよなぁと未だに悶々としていますがダークブルーのフレッシュさも良いんだなこれが。
今回は以前から乗っているmonstercrossのパーツを載せ替えて構成しています。
「パーツ選びに背景とかあるんですか?」と、店頭でマイバイクを見たお客様から聞かれましたが今回に関しては載せ替えパーツがメインというのもあり特段なし。
アメリカのバイクシーンの憧れを勝手に詰め込んだストーリー偏重、理屈もつい捏ねがち1台に夢詰め込みがちハッピーセットな自分ですが、そんな時もままあります。。。
ポジションや求める機能を実現するために構成されたバイクは自然と佇まい素敵になる、というのはバイクを組む上でのモットーですが、
そればかり突き詰めたバイクというのは不思議と調子良いとは感じても、グッッッと琴線に触れるような1台にならなかったりするのは不思議なところで。
なのである種理屈を突き詰めたアンサー的な良さばかりに囚われず、なんかわっかんないけど良いな!と感情的にノッた部分を少なからず入れるようにしています。
今回であれば昨年パートナーと北海道へツーリングしに行った時に現地の自転車屋さんで眠っていたデッドのRITCHEY WCS白ステムと長年店頭に佇んでいた同ブランドの白シートポスト。
なんかこのダークブルーのフレームカラーに白が似合う気がする、、、くらいの気のもんです。
職業柄日々正解を追い続けながら自転車を組んでいるはずが、いざパーソナルなバイクを形作るとなったら真逆のことを考え出すから不思議。
詰まるところ人間がデザインして生み出し、人間が組んで乗る以上、理屈以外の情念が添加される部分は多少なりとも無くてはいけないんであろうと思います。
そしてそれらが自然とBlackMountainCycles、もといMikeさんと繋がりあるものとなれば結果的になお良しといったところで。
自分が機材的なモダンバイクにグッとこないのはそんな有機的なところが垣間見得ないからなのかもしれません。
より太いオフロードタイヤを履かせられるmonstercrossからの載せ替え、バイクの系統こそ異なりますがハンドルも継続してNITTOのALL ROAD BAR PLUSを使っています。
このクラシックな「と」のハンドル形状、いわゆる丸ハンシェイプのドロップハンドルがアルミのフルフェンダーの付いたクラシックなスタイルにも馴染んでいるのかなと。
なによりも握った時の調子の良さが選んだ理由ではあるんですが、後付け的にルックスもハマるとなったらこれ以上ない選択肢だと思うんですよね。
駆動周りはよくよく遡ると自転車を知った頃から馴染みのある少し前(といってももう10年くらい前だ。。。)の105。現行のものと比較するとスムーズさは現行品に軍配があがりますが、手元で余らしてパーツボックスを圧迫しているくらいならこれでいいかな、そして自転車はじめたての時に乗っていたミディアムリーチロードもこの105だったな、、、と思い出してエモい気持ちにもさせてくれるんです。
というか性懲りなく新旧色んなパーツを所有し過ぎるこの疾患、未だにこのカルチャーの末期患者ですし治る気配なんてさらさらないですね。。。
でも万一それが治ってしまったらばもはやこのバイクシーンにおけるメカニック生命は終わりでしょう。
ヘッドセットはそのまた昔も高嶺の花だった、今回数量限定生産で復刻されたCHRIS KINGのチタン製ヘッドセット。
あの時に手に入れられなかった憧れの感情に勝てるはずもなく。。。
当時のチタンヘッドセットとはまた異なる質感であの時のココロを潤してくれた気がします。
こういう限定ものってご縁モノですし、清水の舞台から勢いよく助走をつけて飛ぶくらいの方が後々後悔しないことが多い、とここ数年の人生において経験しているので一片の悔いなしです。
懐へのダメージを回避する為に覚えておくといいのは投資と自分に言い聞かせることです。
そしてこのフレームの大きな特徴である「ミディアムリーチ」キャリパーブレーキが適合するこのフレーム。
ロードバイクといえばないわゆるなキャリパーブレーキを取り付けようとも思ったのですがこちらもまた憧れの逸品であるPaulのRacer Medium。
見てくれはシンプルなキャリパーブレーキとはまた異なるクラシックな形状のセンタープルブレーキ。
(先日のミディアムリーチ談義動画もよければ)
ブレーキシューは制動力の強いkool stopのthinlineが採用されていること、削り出しの精度の高さ感じさせる動作のかっちり感、タッチの良さはシチュエーション問わず心強い存在です。
ただブレーキワイヤーの取り回し的に一度アウターを受けるハンガーが必要なことだったり、ザ・ロードバイクなシンプルな出立ちからは少し離れる気もするのでそこは好き好き。
このRacer Mediumにおける特権といえばフルフェンダーを組み合わせる上でフレームのクリアランスを最大限活用できる、というところ。
今回選んだフルフェンダーはsim works by honjoのliner 42(~32Cが最大)なのですが、フレームのクリアランスに対してかなり広めで余白を最大限に使います。
その為キャリパーブレーキの場合ブレーキが閉じ切る際にブレーキの内側とフェンダーが干渉し易い側面もあり。
「太いタイヤ」「乗り心地」にフォーカスされたロードモデルであれば、フェンダーを使ったとて極力太いタイヤを入れたくなるってもんです。
ただこの組み合わせでも28Cをギリギリクリアできるといったところなので、わざわざ太めのフェンダーにせずとも一回り細いフェンダーでよかったかな〜とも思います。この辺は触りながら最適解を探っていきたいなと。
原則キャリパーブレーキは〜28Cのタイヤに対応する30mm台のフェンダー幅が鉄板になるかなと思います。
この手のジャンルのバイクであればあまり取り付けることのない前後のダイナモライト、
あくまで自分にとってのこの1台は日常的に乗ることが軸足であり、たまの週末のロングライドであっても日常との境目なく乗れるというのがコンセプト。
フロントのライトは明るさがとても頼もしいsinewaveのcycle beacon、リアライトはDRUST Cyclesのライトマウントを用いてBusch and Mullerの小振なものを使っています。
電線の取り回しが少々厄介なのがリアダイナモライト。それ専用のフレームの作りでなければ多少電線がごちゃつくのがつきものなんですが、ここで頭を悩ませその時なりの最適解を生み出すのが僕らメカニック。
ダウンチューブのシフトインナー剥き出しになる部分にライナーを被せ、その上からタイラップで電線を固定、反ドライブサイド側のシフトインナーに固定したことによって、写真撮影の時に正位置になるドライブサイド側から見た時のすっきり感を演出。
え、誰がそんなこと気にしてるの、っていいんですよそれで。自己満自己満。
そしてそこまで考えるならフロントライトのダイナモ配線もそうしたらよかった、、、
(リムブレーキ用のSONハブは回転方向の決まりがないので、端子をいつもの逆側に配して左側に電線を這わせることも出来るのです)
と思いましたが地面に自転車を寝かせる時にギアが付いてない側から寝かせることが多いのでそれはそれで断線のリスクかな、、、
という後付け。まぁよっぽどごちゃつかなければどちらでもいいんですけども。
クランク周りはwhite indのVBC、最近はシャフトの太いモダンなR30が主流になってきている同社ですがクラシックなスクエアテーパータイプを載せ替えで継続して。
この独特なギア形状によるチェーンリングの歯数の自在さは無二の強み。
BBはそれまでチープなものを使っていましたがベアリングがお疲れ気味だったのでこれを機に耐久性最強、スクエアテーパーBB界全一なPhilwoodにアップグレードしています。
引き算的な美しさが特徴ともいえるこのバイクジャンルにおいて、
履かせるタイヤ幅の太さをきっかけに生まれる人によっては余計や無駄と口にするであろう、
自由さ豊かさを併せ持つというのがそれまで歴史的には日の目を浴びてこなかったこのミディアムリーチロードが持つ魅力といえます。
(この35Cタイヤクリアランスを生かしたらばちょっとしたグラベルロードに飛び込めるのは紛れもない豊かさのひとつ)
ひとくちに走るといってもそれはスピードなのか、快適さなのか、はたまたマイペースさなのか、人によって定義は異なるのでしょうが、どんな定義であれ”道(ロード)を気持ちよく走る”となれば至極シンプルなこの1台で必要十分。
それでいいし、それがいい。
な1台なんだと日々一心に感じています。
機能面にのみフォーカスしたらば明らかに調子の良いディスクブレーキのバイクが最盛期ともいえる現代、
一般大衆的にはニッチとも時代遅れとも捉えられかねないバイクではあるのですが、もし価値観に共鳴頂けたら、何かグッとくるものを感じて頂けたのであればこのバイクに乗ってみてください。
彼の地の自転車乗り達が20年ほど前既に到達していた、オンロードバイクの完成形が今ここにあります。