上馬店タニです。
久々のブログなので余談から書きます。
クリスマスに身体が反応できていませんが、皆さまは誰かか自分にプレゼントしましたでしょうか。気がついたら今日だった。
僕は今猛烈にメッセンジャーバッグが欲しいので、誰にも何も贈らない禅スタイル、自分にメッセンジャーバッグをプレゼントしようと思います。どこの何にしようか思案中。できればハンドメイド感あるものがいいな。
昔自転車屋になる前、悪天で自転車乗れない電車の日でさえ肌身離さずメッセンジャーバッグを背負っていたので、トータル自転車よりも毎日一緒にいる存在でした。
僕はBAGABOOを使っていました。捨てれずまだ持っています。ブルーラグで買いました笑 昔はカスタムしたりボロくなる方が良いと思っていましたが、オッサンになっていまはシンプルものが欲しい。
でもそこから、ピスト以外のバイクに乗ることが増え、そもそも毎日背負いすぎてたメッセンジャーバッグに飽きてしまい、バッグパックや自転車関係ないバッグを使う生活が10年以上。意識的にメッセンジャーバッグを避けていた気さえする。
で、時を超えて、猛烈にメッセンジャーバッグが欲しい気持ちのきっかけは少し前で、
2019年のバイクショーにて大好きなビルダー、FALCONER CYCLESのキャメロンがビビットなコーデュラのをラフに背負ってたのが強烈に格好良かった。RIVENDELLのウィルも最近メッセンジャーバッグを背負っていて、僕の中でピスト=メッセンジャーバッグって思い込みが融解し、RIVでもMTBでもロードでも、車種問わず背負いたいな〜という気持ちになりました。
最近積載できるバイクばっか乗ってて、ロードや荷物積めないバイクの頻度下がっていたけど、デカ目のバッグ背負ってシンプルなバイクに乗りたい気持ちです。明日12/26(日)まで幡ケ谷店でメッセンジャーバッグのオーダー会もやってるので、たしかにそんな気分かも、なんて方は是非試しに背負いにきてくださいね。
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で、ここからはバイクチェック。
2021年はたくさんバイクを組ませていただいて、「個人的自分が担当させてもらったベストバイクアワード2021」なんてやったら、軽く40台くらい挙げれそうですが、本日はそのうちの2台です。
キーワードは僕が崇拝する「ハンドメイドバイク」。最近またお店でお話することが増えてきて嬉しいのです。
*FALCONER CYCLES*
上述、メッセンジャーバッグを背負ったキャメロン・ファルコナーが作るハンドメイドフレーム。憧れのFALCONERを自分のお店でオーダーいただいて、オーナーと一緒にオーダー内容を考えて、お客様のバイクとして組ませていただいたことが僕にとってすごく大きな事件すぎて、オーダーを決めてくれたオーナーさまには感謝しかないです。
カリフォルニアのハンドメイドビルダーFALCONER。彼の作るバイクのこの雰囲気。今パソコンで何度もタイプしては消しましたが、無理だ。うまいこと表現する文章を書けません。このビルダーさんに関しては、伝わる人に届けば良い、と思っています。
元ネタとなるOLD CHAMPIONのBMXフレームや、セカンドトップチューブ(飾りでなくダウンチューブを貫通してヘッドチューブに補強として溶接されています)、ビルダーのルーツであるクランカーや西アメリカのOLD MTB、BMXの風味を「骨董やビンテージを愛でる感覚としてではなく」今、ちゃんと走る現代のバイクとして造るところ・・・っていくら言葉で書いてみようと思っても説明できないFALCONERの魅力。
見て欲しいポイントいっぱいあるのだけど、このありモノの小物ではなく板から切り出したディスクブレーキ台座。こんなふうに1本のためにジオメトリだけでなく設計、デザインしてくれます。
塗装は簡素で強固なただのパウダーコーティング。美麗なウェットペイントではなくて”錆止め”くらいの感じで塗ってあって、それに上からデカールを張り込んであるだけだからいつかデカールは剥がれます。「デカールクリアで閉じ込めたい」なんて価値観とは真逆の仕上げ。
大事大事にキレイキレイするものではなくて、それは”乗る”ため”遊ぶ”ための道具であり、傷がついたって泥まみれになったって気にしない。どこまでいってもただの「自転車」なところが僕の好きなカリフォルニアのビルダーさんに共通するところだと思います。
個人でやっているビルダーさんなので、オーダーから時間もかかるし量産のフレームより高価だし、その世界観はきっと万人に伝わるバイクではないけれど、僕がこの世で一番格好いいと思うビルダーさんの一人です。(だから僕は今もう1本オーダーしています。早く来ないかな)
少ないと思いますがグサ!っと刺さった方は僕のバイクやチューヤンのバイクも見てくださいね。そしてお店でお話ししましょう。
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もう1台も見てください。もう1台はIF、今年はIFのバイクをたくさん組ませていただいた。
*INDEPENDENT FABRICATION* planet X
IFはアメリカの東っ側、ニューハンプシャーにある工房にて手作りされます。個人のビルダーではなくって職人集団。各セクションの職人チームが長い歴史で培ったドローイングで最高品質のバイクを作ります。
なので僕のIFがまさにそうなのですがついつい「自分史上一番速いやつ」というオーダーをしちゃいがちです(悪いことではもちろんないですが)
ですがこのオーナーのオーダーは、足し算な高スペックバイクじゃなくって「自分に必要なバイク」を引き算で考えたバイクで、なんかこう力んでいないというか、肩肘貼っていないものすごく格好いいオーダーになりました。
元々はSTEAMROLLERに乗ってらしたオーナー。
もしも僕だったら「今はシングルだからギア付き欲しいなー」「乗るかわからないけど乗ったことのない車種が欲しいなー」と使い切れないハイスペックをどんどん足し算膨らまして行っちゃうのだけど、
いまシングルで十分だから、いつものシングルでいいや、とギアは取っ払って、
本来「Planet X」はシクロクロスのモデルですが、オーダーシートにはっきり「レースは出ない、日常の足」と書いてしまうところ。めちゃ格好いいと思います。
そもそもバキバキのレーサー以外も作れるところがこのIFの魅力なんだった、とIFを好きになったきっかけを思い出させてくれるようなオーダー。お手持ちの古いDURAクランクや、持ってる自身のルーツになるパーツを混ぜちゃう組み方も本当格好いいです。
ちなみに、
過去工房のお引っ越しの度に、シートチューブ付け根のこのロゴが変わってきたIFですが、今回のお引っ越しはニューハンプシャー内でのお引っ越しなので、どうするんだろ?と思っていましたが、新しいデザインになったようです。
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個人のビルダーさんのハンドメイドバイクがフルカスタムオーダーだとしたら、IFはセミカスタムオーダー。車種はある程度モデルの中から選ぶことになりますが、その分個人ビルダーさんよりお値段はリーズナブルなのも魅力です。セミカスタムとはいえ身体の隅々まで採寸して、世界に一つのジオメトリーになります。
逆にFALCONER含め個人のビルダーさんは、そのビルダーに作れるもの、そのビルダーが”作りたくなるもの”(ここ大事)を完全なワンオフ、その人のために作ります。その分IFよりもだいぶ高価だし時間もかかります。
いつかはハンドメイドのオーダーバイクに乗りたいな、なんて思うきっかけになったら嬉しいです。
以上タニでした(良いお年を!)