
<Surly x Blue Lug 20th>
この後19時からオンライン販売開始です。
ちょっとクサいタイトルだと思われるかもしれないけど、きっと誰にでもあると思うんです。自転車に対する価値観をガラッと変えてくれた「あの一台」が。
すべての始まりとなった自転車。自転車の世界に惚れ込んだついでに、金銭感覚まで狂わせてくれた自転車。ほかに何台も自転車を持っているのに、なぜかまた戻ってきてしまう一台。
本ブログでは僕の人生を変えてくれた自転車について、ただひたすらダラダラと語る内容です。
とっても長いし、需要あるか全くもって謎なので、時間があってご興味がある方に読んでいただけたら幸いです。

僕にとっての「あの一台」は、ほかでもなく Surly Steamroller。上の写真は6年前、2020年の9月10日に撮影したもの。Blue Lugに入社してから、ちょうど2か月ほど経った頃。
ブルーラグの仲間達が書いたSURLY訪問のブログを読んだり、写真を見たり、現地での話を聞いたり、Blue Lug 20周年記念Steamrollerのオンライン販売が一時間後に迫った今、Steamrollerオーナーの一人として、この自転車への愛を語らずにはいられなくなった。
でもその前に、僕と自転車の関係、そして奇跡的にBlue Lugに入社することになった経緯から書いていきます。

アメリカのインディアナ州シェルビービルという田舎で育った僕にとって、自転車は子供の頃から生活の大きな一部で、近所の友達の影響もあり、常にかっこいい自転車に乗りたいという願望があった。9歳のときに日本へ帰国した後もずっと。
高校生になって、周りが改造したママチャリを乗る中、僕は24インチのBMXクルーザーを乗り回していた。思えば生まれてこのかた、“いわゆる”なママチャリは乗ったことない。

時は進み18歳。スケボーに明け暮れ、英語の専門学校を卒業した後、インポートアパレルショップに就職し、上京。
なんやかんやあってその仕事をコロナ真っ只中に退職。
転職するには最悪なタイミングだった。カフェとか雑貨屋でバイトしながらなんとか家賃を払ってた記憶がある。

そんな超絶ボンビーだったにもかかわらず、僕はある名案を思いつく。
「自転車を買えば、パートナーの家に行くときの電車賃を節約できるし、人混み避けられんじゃん!」
そこで近所の自転車屋さんに行き、7万円くらいの自転車を買った。
パートナーの家まで自転車で向かう途中、いつも通りかかる大きな自転車屋さんがあって、そこでは自分と同じくらいの年齢のスタッフたちが、みんな笑顔で働いていて。みんな楽しそうだった。自分の仕事に情熱と誇りを持っているようにも見えた。
しかも、今まで見たこともないようなカッコいい自転車に乗っている。

「なんなんだ。あそこ。」くらいしかその時は思わなかった。
どこへ行くにも人混み揉まれ、移動だけで体力を消耗する東京というこの街を自転車で移動するのは新鮮だったし、ストレスフリーで、何より今まで苦痛だった移動という行為が楽しくなった。
自転車に乗ったのは何年振りだったろうか。
どこか懐かしくて、まるで故郷に帰ってきたような感覚。辛い時期だったけど、自転車に乗っていると自然と笑顔になれた。
前職の有休消化中のとある日、あまりにも暇だったんでずっと気になっていたあの謎のデカい自転車屋さんに入ってみることにした。
そのお店こそがBlue Lugだった。
お店に一歩踏み入れた瞬間に衝撃走った。

天井から吊るされた大量のフレーム。
いろんなスタイルの展示車。
店内のあちこちに並ぶ、よく分からないモノたち。
そして何より、スタッフが優しく同じ目線で接客してくれて、心から楽しそうに働いている。
「こんな世界が存在したのか。」
ちょくちょくお店に通うようになった。
Fairdaleのスケートラックを買ったり、カゴをつけてもらったり、グリップを自分で変えてみたり。
大人になっても自転車が楽しいということの次に覚えたのは、自転車をイジる楽しさだった。
店に行き、スタッフのキラキラとした姿を見て、強くこう思った。
「自転車をもっと知りたい」「自分もこのチームの一員になりたい」
数週間後、Blue Lugがインスタで求人募集を投稿した。しかも、英語を話せる人を探しているとのこと。
ステムのスの字も知らなかったけど、英語には自信があった。これはもう応募するしかないと思った。
そして気がつけば、Lugでボスの目の前に座り、面接を受けていた。
履歴書を渡すと、ボスは2分ほど無言でそれを眺めていた。
「で、何か聞きたいことある?」
突然の質問に焦った僕は、思わずこう聞いた。
「もももももしさささささ採用されたら、週5日、フルタイムで働けますか?」
するとボスは笑いながら、
「別に週8日働いてくれてもいいよ。君はうちのチームに合うと思う。」
「??えっと、つまり……」
恐る恐る聞き返す僕に、ボスは握手の手を差し出して、
「よろしくね。」と言った。
こうして僕は、自転車の知識が全くないないまま、憧れのバイクショップに入社した。
〜入社から約2か月〜
Blue Lugでのファーストバイクを手に入れるタイミングがやってきた。
数あるブランドの中でも、やっぱり最初はSurlyだろうと思った。
候補に挙がったのは、 Cross Check、Pack Rat、Steamrollerの3台。
高校時代はBMXに乗っていたことと、東京に来てから手に入れたバイクがギア付きだったこともあり、シングルスピードに乗りたかった。あと何も知らないけどなんかリムブレーキに強いこだわりを持っていたことを覚えてる。
上記3台のうち、2台はシングル化できるフレームで、一台がピュアなシングルスピードフレームだった。
数日、寝れなくなるくらい悩んだ。
シングルとギアード、どっちもイケるフレームはとても魅力的。でも、端から「ギアなんていらねえよ」って潔さがやっぱかっこいい。
よし、Steamrollerに決めた。
そして生意気にもくっっそ忙しい今野さんにカスタムペイントまで依頼した。


何故か分からないけど、インターネット上で見つけた上記のVW Gol Mk.1の色が気に入って、これにしてもらった。
もし、この色に名前を付けるとしたら、“Green Goblin”か“Thai Curry Green”かな。
パーツ選びをシャミさんに手伝ってもらい、組み立ては彼にお願いしていました。
ただ、2020年の9月頃、ブルーラグは未だかつて無かった忙しさに見舞われていて、お客さまからいただいたご依頼を完了することがやっとで、新人スタッフのバイクを組む余裕が無かった。
でも、とにかく早くSurlyに乗りたかった。
というか、僕もちゃんと“ブルーラグの一員”になりたかったんだと思う。
正直に言うと、当時は自分で自転車をいじることにそこまで興味がありませんでした。もともと手先が器用な方ではないので。
でも、ふと思った。
「せっかくだし、自分で組んでみてもいいんじゃないか?」
せっかくこの業界に入れたんだし、多少メカニックの知識があっても損はないだろうと思ったんです。


当時の僕にとって、自転車の組み立てに一番近い経験といえば、スケートボードを組むことか、ベッドフレームを組み立てることくらいだった。何をどうすればいいのか、まったく分からない状態。
それでも、優しいシャミさんはめちゃくちゃ忙しい中、一つひとつの作業を丁寧に教えてくれた。
まずシャミさんが作業を実演して、一度バラしてから、今度は僕に同じ作業をやらせてくれる。そんな教え方だった。
時には深夜2時までお店に残って付き合ってくれたこともありました。そんな優しいシャミさんと夜な夜な自転車をいじったあの日々は今後一生記憶に残ると思います。
ただのフレームが少しずつ自転車へと姿を変えていく。ワクワクが止まらなかった。
そして、Blue Lugのメカニックたちが、一台一台の組み立てにどれだけ細かく気を配っているのかを学び、またもや衝撃を受けた。
例えば、ケーブルアウターに印字された「Shimano」のロゴを前方に向けたり、ヘッドセットのベアリングに刻まれた「Phil Wood」のロゴを正面に揃えたり。次にバラすときまで見えなくなっちゃう部分なのに。

(↑初期ビルドの写真)
毎晩ほとんど寝ずに作業を続けた一週間。
ついに完成した。
あのときの達成感と、完成した自転車に乗って初めて家まで帰ったときの感覚は、今でも忘れられない。
滑らかな走り心地、そして何より、自分の手で組み上げた自転車に乗っているという事実。
鳥肌が立つほど感動して、自然と笑みがこぼれてしまう。



このバイクは、乗る度にいろんなことを教えてくれた。
自転車のコミュニティがどれだけ誰にでもオープンな場所なのか。
「ライド」とは何か。
いろんな自転車の乗り方や、楽しみ方。
ステッカーを貼ったり、パーツを交換したり、変なキーホルダーぶら下げたり。自分の愛車を自分色に染めることの楽しさ。
そして何より、自転車は単なる移動手段ではないということ。
自転車は乗り物であり、おもちゃでもあり、道具であり、自分自身を表現するためのプラットフォームだということ。
もし最初の一台にSteamrollerを選んでいなかったら、僕の自転車の好みはまったく違うものになっていたと思う。
Blue Lugスタッフになってから、ほかにも6台の自転車を買ったが、結局一番よく乗っているのは、シンプルに「乗っていて楽しい」と感じる自転車だということにも気づいた。
快適性、実用性、汎用性。どれも大切だけど、自分が乗る自転車において、僕が何より大切にしているのは「楽しさ」なんだということ。そしてそれは、最初の「あの一台」につながっている気がするんです。
Steamrollerは、乗って楽しいだけではなく、いじるのも楽しい自転車です。
太いタイヤ、細いタイヤ、フラットバー、ドロップバー、ゆったりコの字ハンドル、固定ギア、フリーギア、700C、650B…どんな組み方をしても、だいたいカッコよく仕上がってしまうし、大体楽しく乗れる。だから、何度でもこいつを呼び起こしちまう。
案の定、今年も呼び起こしました。(ウエンツ兄やん、組み立てありがとうございます🙇)
My Green Goblin 2026 versionです。
今回のビルドで意識したのは、とにかくお金をかけないこと。
使ったパーツの85%くらいは、手持ちのパーツ箱に眠っていたものたちです。
新品で購入したのは、ハンドル、リム、チェーンだけ。
今回は膝に優しいシングルスピードが欲しかったので、固定ギアではなくフリーギアで組みました。
新しく購入したハンドルは、MingがデザインしたOutside SupplyのTherapy Bar。
もちろん見た目がかっこいいってのもありますが、このハンドルを選んだ一番の理由は、一番親しい仲間がデザインしたものだから。「まあサポートしてやらんこともないか」とか言いながら買いました。
ホイールは650Bで、タイヤはULTRADYNAMICO Cava JFFの650×48B。新ロットの650B化はちょいとシビヤかもだけど、Fatties Fit Fineは健在なのでご安心ください。
フレームに大量のステッカーを貼るのどうなの?って思う方もいるかもしれない。でも、僕にとってはその一枚一枚が特別なものなんです。
どれもここで働いてきた6年間の間で出会った海外からのゲストや、お客さま、友人やそのまた友人からいただいたステッカー等。すべて思い出の品なんです。
それらをファーストバイクに選んだコイツに貼ることで、より愛着が湧くと同時に、それぞれのステッカーを見てその時の思い出を振り返ることができる。今後もステッカーは増え続けると思う。もうなんなら埋め尽くしたい。

改めてSteamrollerというバイクに夢中です。いま。
一般的なトラックフレームのような速さやアグレッシブさはないかもしれないけど、頑丈で、手頃な価格で、メンテナンスもしやすい。
固定ギアでもフリーギアでも本当に楽しく乗れるし、パーツを変えてこねくり回したり、自分好みにいじったりするのがとても楽しい、そんなバイクです。
もし、何年経っても飽きることのないバイクを探しているなら、Steamyをお勧めします。
長い付き合いになること間違いないです。
そもそもギアなくて辛くないの?って?

通勤でしか自転車に乗ってなかった僕が、70km走れたので大丈夫です。
でも、もしかしたらこれは、アグレッシブなジオメトリーじゃないSteamyだからできたのかもしれない。
このブログが、Steamrollerを買うことを迷っている誰かのトリガーになったり、すでに持っている方が、もう一度組み直すきっかけになったら嬉しい。
Long Live The Steamy!!
パーツリスト
SURLY steamroller (49)
Frame :*SURLY* steamroller Painted by COOK PAINT WORKS
Wheels :*VELOCITY* dyad rim (black) × *PAUL* track hub
Tires : *ULTRADYNAMICO* Cava JFF
Handlebar :*OUTSIDE SUPPLY* therapy bar (black)
Stem :*THOMSON* bmx stem (22.2mm/0°/black)
Saddle :*SDG* bel-air saddle
Brakelever :*DIA-COMPE* mx-2 brake lever BL special
Brake : Tektro R559 Long Arm Brake and *DIA-COMPE* BRS202 super long reach brake
Headset :*PHILWOOD* 1-1/8 headset
Crank : Sugino RD4 Crank
Cog : *WHITE INDUSTRIES* eno single free
Pedal : *THE SHADOW CONSPIRACY*
🫡
– カーネル


















