ご無沙汰しております、代々木公園店よりタクマです。
かなり久しぶりのブログとなってしまいましたが、今回は最近組ませて頂いたお客様のバイクと自分のニューバイクのバイクチェック、そしてそのニューバイクで参加したイベントについて。
*CRUST BIKES* Bombora (XS)
元々ロードバイクにお乗りだったお客様から「普段使いと、たまにグラベルに行けるバイク」をキーワードに。
曲者揃いなCRUSTのラインナップの中では比較的オーソドックスなTHE・グラベルバイクの Bomboraを、間違いないパーツでアッセンブル。
クラシカルな雰囲気がご希望とのことで、シルバーとタンカラーをメインに。
独特なフレームのペイントは”sea creature”という深海の魔物がテーマになったカラー。
シルバーとタンカラーの色使いが相まって”海賊船みたい!”と組み上がってテンションが上がりました。(そんな感じ、しますよね?)
他のメーカーではなかなか見られない攻めた純正カラーはCRUSTの大きな魅力の一つです。
このバイクのハイライトはドライブトレイン。
パッと見は定番のグラベルコンポーネントのSHIMANO GRXですが、こちらのBomboraにインストールされたのは、去年リリースされたばかり、11sから12sに進化したGRXです。
単純に変速数が増えただけでなく、最大スプロケット歯数が51T に(!)
MTB並みのワイドなギア比で更に冒険の幅が広がります。
ドライブトレイン周りの違和感に気付いたあなたは相当なバイクギーク。
本来、シルバーのGRX limitedは11sのみのラインナップで、12sのGRXとは互換性がなく、MIXして使うことは不可能です。
しかし、アメリカのコンポーネントメーカーWolf ToothにまさかのGRX 12s用のチェーンリングのラインナップが。
これをインストールすることにより、本来実現し得ないGRX 12sとGRX limitedのMIXが実現したということです。
オーソドックスなグラベルバイクのアッセンブルですが、その実癖ありなパーツチョイスが光るナイスバイクに。
この手の”実は一癖”なバイクは個人的にも大好物なので、組みながらとても楽しかったです。
M様、オーダーありがとうございました!
*CRUST BIKES* Bombora (S)
同じくSea CreatureのBombora、こちらはなんと私タクマのニューバイクです。
といっても、実は組んでからしばらく経っていて、乗り込んだからこそ実感できたこのバイクの特徴についてお伝え出来ればと。
Bomboraを組もうと決心したのは、とあるライドがきっかけでした。
自分がブルーラグに入ってから初めての本格的な林道ライドだったのでとても楽しみにしてたのですが、想定外だったのは道が想像以上にハードだったこと。
もはや岩場のようなガレガレの道とかなりキツい傾斜が連続するアップ&ダウン。
この時はSURLYのクロスチェックに40cのブロックタイヤでしたが、バイクをコントロールするのに精一杯で、正直楽しむ余裕はありませんでした。。。
そんな僕と対照的に、荒れた道を難なくクリアしていく先輩方のバイクは漏れなくディスクブレーキ、650bホイール、2インチオーバーのタイヤ。
気合いだけでではどうにもならないことがある事を悟ったと同時に、自分も本格的なグラベルバイクが猛烈に欲しくなった瞬間でした。
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そんなライドから少し経った頃、Bomboraがニューカラーを引っ提げて再入荷との知らせが。
自分が求めていたグラベルバイクとしての条件に全て合致していたのと、Sea Creatureの怪しく唯一無二なビジュアルに一目惚れし、組むならコレだ!と決意したのでした。
カーボンフォークVer.のCelosも入荷してきたのですが、身軽さよりもタフさが欲しいというのと、ラックを取り付けてツーリングしたいという構想もあり、スチールフォークの方に軍配が上がりました。
バイクチェックに戻ります。
グラベルバイクといえばワイドなフレアドロップハンドル!というイメージで選んだRitcheyのVenture Maxは520mm
幅の広さとフレアのお陰で山道での下りは確かに安定して走れるのですが、自分には幅が広過ぎたのでそのうち変えようかなと思います。
SwiftのZeitgeistを使うことも考えて460mmくらいが良さそうかなと。
このバイクの一番のお気に入りポイントがクランク周り。
アメリカ東部のニュージャージー州にて生産されるIgnite ComponentsのInferno Cranksetです。(名前カッコいい)
機械工学を学び長年その分野でのキャリアを積んだオーナーのIanさんが生み出す、軽量さと耐久性、そして圧倒的な美しさを兼ね備えた最上級のアルミ削り出しクランクです。
通常モデルはシルバー、ブラック、パープルの3色ですが、それに加えてランダムフィニッシュなアナダイズドモデルも。
実はSea CreatureのBomboraと入荷時期がほぼ一緒だったのですが、検品している際にアナダイズドのInferno Cranksetの中にあったこのモデルが目に留まり、「これしかない!!!」と、ノックアウトされたのでした。
有機的で禍々しさすら感じるスパイダーもこのフレームのダークな雰囲気に絶対似合うと思いインストール。
AARNのチェーンリングのデザインと相まって古代のオーパーツのような出立ちになりました。
ステム、シートポスト、ブレーキはInfernoクランクの削り出しの雰囲気に合わせたかったのと、差し色も使いたかったので 妥協なくPAULのパーツたちを。
インスタで#boxcarviewなんてハッシュタグがありますが、Igniteのトップキャップとの相性が最高すぎて乗るたびに下を見てはホクホクしています。
ハードなグラベルのダウンヒルやレースを想定して選んだKlamperは見た目だけでなく性能も最高峰なので、安心して攻めたライディングにトライできます。
タイヤはUltradynamicoでしなやかさとタフさを両立したモデルのJFFを、前Rose後ろCavaの組み合わせでチューブレスにて。
ライドとレースの両方で使いたかったのでJFFを選びましたが、本当にしなやかでよく走るし、最高です。
オンロードで走っている時の感触ですが、例えるとめちゃくちゃ上質な紙の上を消しゴムでツーと滑らせたような感じです(伝われ)
全体を引きでもう一度。
妥協なしのパーツチョイスで眺めてよし、乗ってよしな最強バイクを爆誕させてしまいました。。。
肝心の半年乗ってみての感想ですが、ついこの間参加したイベントと共に綴っていければと思うので、長くなりますがもう少々お付き合いいただけると幸いです。
タイトルからもうお分かりかと思いますが、10月に群馬県のみなかみ町で開催されたGrinduro Japan 2024に参加してきました。
こちらのウエンツさんのブログにイベントの詳細が載っていますが、レースやライドが好きでイベントごとはなんでも首を突っ込みたい自分にとっては今回のGrinduroも例に漏れず。
ましてやグラベルレースなんてBomboraのポテンシャルを試すにはもってこいだ!ということで参加を決めました。
まず先に、結果から報告させてください。
私タクマ、30歳以下の部門で優勝しました!!!
自分の実力ももちろんあったと思いますが、レース中はとにかくBomboraのポテンシャルを感じられました。
焼き入れがされた軽量パイプと、短いリアバックのおかげでオンロード・オフロードを問わず、反応よく軽快に。
オンロードはロードバイク並みに走る上に、グラベルに突入すると更に水を得た魚のようにスピード感と安定感をキープしながら悪路の上を駆け抜けられます。
Grinduro、てっきりグラベル区間ばかり走るものだと思ってたのですが、その実全体の6割くらいはオンロードでした。
パーツチョイスのおかげもあったと思いますが、このオンオフでの性能を両立したBomboraの特性があったからこそ、両方の道を走るGrinduroでの結果につながったのではないかなと思います。
オンロードが速くてもグラベルの走破性が低ければダメですし、逆も然りです。
結論から述べてしまいましたが、イベントの模様をお伝えしていきます。
イベント期間は金土日の三日間。メインのレースは土曜日だったのですが、キャンプが出来るとのことで会場に前日入り。
小雨がポツポツ降っていましたが、既にDJやバンドのステージが始まってて会場全体を心地よいグルーヴで包んでいました。
キャンプ、音楽、フードと内容盛り沢山で、レースだけが楽しみではないのがGrinduroの魅力です。
翌朝。前日から降っていた雨はなんとか上がっており、ほっと胸を撫で下ろしスタート地点へ。
スタート地点には国内外から集った多くのライダーたちが集結しており、会場のボルテージは既にかなり高まってました。
自分たちも準備を済ませ、気合十分。
今回の参加メンバーのバイクは左から一周さんのBMC Mod Zero, ウエンツさんのBeachClub Al Dente, そして僕のCrust Bomboraです。
そんなこんなでスタート!
レースと言っても、結果に影響してくるのは4箇所のセクション間でのタイムのみなので、それ以外はさながらライドイベントのよう。
初っ端からみなかみの雄大な自然の景色の連続で一同この笑顔です。
スタートからはしばらく舗装路を走ります。ここの傾斜しんどかった…
タイム計測は4箇所のセクションのみですが、各セクションには足切り時刻が設定されているので、あまりのんびりライドしてる時間がないのも事実。
先ほども述べましたが、舗装路でのスピード感とグラベル区間での走破性を両立したバイクとタイヤ選びがGrinduro攻略のキーポイントになりそうです。
オンロード区間をしばらく走るといよいよグラベルへ突入。やっとらしくなってきたぜ!!とテンションが上がります。
ここで第一セクションに到着。
写真のように1人ずつ、数十秒ずつの間隔でスタートしていきます。
第一セクションは登り基調で、4つあるセクションの中でも最長の4.2km
距離だけ聞くと大したことなさそうですが、登りがメインのグラベルで全力プッシュはなかなかの辛さでした。。。
一番しんどかった第二セクション
お判りいただけるでしょうか、もれなく全員降車して押し歩きするほどの激坂。。。
コースの半分くらいは押し歩きで、途中から登山のイベントだっけ?となりました。
お昼ご飯を挟み午後も頑張ります。参加者に配布された豆カレーめちゃくちゃ美味かった。。。
午前中にかなり走ってすでに三人ともなかなかの疲労度で、再び立ちはだかる激坂の数々に心折れそうになるのですが
まさかの吊り橋がコースになってたり
ふいに絶景が現れたり
天然のエイドステーションが現れたり
バリエーション豊かなスポットたちに救わつつ、三人で励ましあいながらペダルを回し続けます。
第三セクションはゲレンデの登り。
先を行く選手たちが見えるのですが、あんなに登るのか。。。と、現実を突きつけられる、森ではない開けてるゲレンデだからこその辛さ。
第三セクションから間を置かず最終、第四セクションへ。
今回唯一のダウンヒルセクション。覚悟決めてスタートしましたが MTBのダウンヒル並みのハードな下りで、写真を撮る余裕0 でした。。。(上記の写真は似た雰囲気のセクション外のコース)
もはや滑り落ちてく感覚で下ってましたが、引きが軽くてストッピングパワーが強いKlamper の恩恵を多大に感じました。
正直これ以外の機械式ディスクブレーキやリムブレーキではかなり厳しいなと実感、シリアスな場面で乗るバイクたちが軒並み油圧ディスクを採用する理由が理解できました。
第四セクション後はほぼ舗装路の下り、三人でトレインを組んでペダルを踏み一路ゴール地点まで。
三人揃って無事ゴールすることができました!
終わった後は勿論疲労困憊でしたが、それ以上に走り切ったぞ!という達成感の喜びに全身を包まれます。これこそが自転車の醍醐味。
ゴールした直後に雨が降り始め、いいタイミングでゴール出来たねと一同安心。
しばし余韻に浸った後は翌日のお店の営業があるため名残惜しさを感じつつみなかみの地を後にしました。
帰宅後、リザルト発表があり先述の通りの結果が。
残ってたら表彰されてたじゃん!と共に、夜にアフターパーティーがあるのと、翌日にライドがあったのもあり、フルで楽しみたかったなと。。。
そうして、僕らのGrinduro Japan 2024は幕を閉じたのでした。
Photo by 茂田 羽生さん
Grinduro、実際に走ってかなりハードで、「最近自転車乗り始めて、イベントにも興味があります!」なんて人には正直あまりお勧めできないかも、と思いました。
ですが、困難を乗り越えてペダルを踏み続けた先に待っている絶景や達成感こそが自転車に乗る楽しさだと僕は考えているので、自転車を乗り始めてからその楽しさを感じられるようになった人や、さらにステップアップしたいという人には是非チャレンジして頂きたいなと思います。僕もまた来年も出たい!!
Grinduroに興味を持ってしまったあなたへ。Bombora、各サイズ/モデルごく少数ですがまだあります。笑。
Bombora以外にも、グラベルに向いた個性的なバイクたちがブルーラグにはたくさんあります。
そんなバイクたちのご相談は、是非ブルーラグ各店のメカニックまで。
困難のその先の喜びを探しに行くお手伝いができれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
タクマ