過去にMIDNIGHT SPECIAL(以下ミッドナイト)のブログで書いた、PACERという一台があったからこそ今がある。って話は、
「温故知新」って言葉で表せるのか不安になりながら今私は筆を進めています。
過去を掘り下げてみて、今に活きるものを見出すって事ならば、今からする話にも繋がってくるはず。
今日はだいぶシンプルなブログ。店頭完成車の紹介と、自身が最近感じた、意固地にならず受け入れる事も時には。って話。
SURLY MIDNIGHT SPECIAL 50cm
お店の参考車両として組もうというオーダーを受け、僕が乗っているミッドナイトとは真逆のスーパースマートな車体を想像してみた。
キーワードには、
「ロードバイク」、「700c」、「長距離」、「2×12速」
が真っ先に思い浮かんだ。そこから連想した「ロードレース」も付け加えておこう。
意外かもしれないが、自分はこう見えてロードバイクとかも普通に好き。昔のクロモリフレームも最新のカーボンフレームも気になると調べてしまうくらいには。
ジャージでバッチリキメて走るまでは行かなくとも、そのジャンルはちゃんと持っておきたいとか、最新の機材やレースってどんなだろうと興味は尽きない。
近年のロードバイク事情を見渡してみた時、光の速さでスタンダード化したなぁって事が2つある。
「ディスクブレーキ」と「電動シフト」だ。
どうだい、超ブルーラグっぽくない事を書いているだろう!!俺も書きながら不安になっているよ!!いてまえ!!
特にエレクトリックシフト(カッコつけて言ってみた。)はちょっと前から触る機会が多くて、
あれ?これって実際使ったら超良い…って素直に思ってしまった。
少し前の自分であればオーバースペックだからとレッテルを貼っていたそれ。
いざ触り、変速方法は何故こうなったのかに思考を巡らせたとき、その進化に対して否定が浮かばなかった。
変速性能も結構正確でスムーズだし、レバーを動かしてギアボックスを伝いワイヤーでディレイラーを動かすロスもトラブルもない。
操作性も力要らずでスマート。なんせボタンで動くのだから。
意外にバッテリー長持ち。意外に丈夫。そして手の届きやすいグレードも最近増えてきた。
人里を拒絶した世界を一周する自転車でない限り、変速の電動化って意外と必然なのかもと感じた自分は、
こんな機会だからこそと思い提案せずにはいられなかった。
前置きが長くなったけど、BLUE LUGで今ロードバイクを用意するならば、
僕の提案はミッドナイトスペシャルをベースにこんな組み方が気分。
で、「ロードバイク」ってバイクチェックしずらいな…。
なぜならドロップハンドル×変速機の組み合わせはセオリー。スマートに組みたいのでラックなどのアクセサリーも今回はつけなかった。組まれた形はシンプルであるべき故の悩み。
逆に、個性の出せる箇所を探しながら当てはめて組む工程だったけど、久しぶりに悶々と楽しかった。
ボトルケージをつけ忘れるってミスが写真に反映されているけど、そんな小さなアクセサリーすらも個性になる車体って今思えばBLUE LUGじゃ新鮮かも。
シンプルにとは言いながらも、ミッドナイト自体がもはや個性的と思えるシルエット。
クロモリの細身なパイプにガツンと繋がった44mmのぶっといヘッドチューブ、(写真だとクリスキングがついてる箇所のことね。)
そこから下にヒョロっと伸びる、シンプルだけど速そうな見た目では無いユニクラウン型のフォーク。
シートステーもホイール付近からぎゅっと真下に曲がった不思議な作り。
お世辞にもスマートとは言えないイナタい見た目は否めない。でもその裏に隠された多様性は、
このフレームに興味を持った時、乗り始めた時にアッと気付かされる。
これでちゃんとロードバイクっぽさがあるのだからSURLYの具現化力って本当に凄い。
本題のバイク紹介に戻ります。
そのセオリー通りのドロップハンドル。最近はグラベルドロップと言われる幅の広くてハの字に広がったものばかり触っていたけど、写真のようなコの字にストンと落ちたロードドロップハンドルはある種の潔さがある。
通称丸ハンと呼んでいるRITCHEY NEO CLASSICというこのハンドルは昔からのお気に入り。
緩やかに曲がった形はドロップハンドルの歴史でもクラシックな形。
このバイクがクロモリフレームというのもあり、古き良きスタイルをミックスできないかと取り入れてみた。
クラシックついでにサドルもレザーに。これはBROOKSのSWALLOW。
その昔、ロードバイクというジャンルが確立されつつあった1930年代、BROOKSの代名詞でもあるB17をベースに改良されたのがSWALLOWだったという話を聞いた事があります。
もしあなたが使い古された使わないB17を持っていたら、裏で革を繋ぎ合わせ余分な場所を削ぎ落としてみては。
それがSWALLOWの最初の形。
ホイールとタイヤは700c×33c。いにしえにロードバイクが誕生した道には、舗装路なんてものは無かったんだろうなと思いを馳せていたらこのタイヤが目に入りました。
ULTRA DYNAMICOのCAVA RACEというタイヤです。
太いは強い、逞しいかもしれませんが、時にこれくらいの細さのタイヤで街を流すのはスムースでスウィート。
快適なスピードってこれだ。って思いました。
前置きで喋り切ったけど、このバイクのキモであるコンポーネントはSHIMANOの105、diー2と呼ばれる電動変速のモデルです。
ドロップハンドルで変速有りの自転車を組む時、いつもそこには105がありました。
アルテグラもデュラエースも良いのは分かってる。でも一先ず自転車を形にするために105で…って事は僕らもお客さんも思い当たる場面が必ずあるはず。
だってリーズナブルなのに普通に性能良かった。少し前だったらシルバーかブラックかと、色すら選べた。
お客様にもメカニックにも親身に寄り添ってくれた、それが105。
そんな105がとうとう電動化したのか!!って事はワイヤー式は無くなってしまうのか!!とドキッとしました。
見ての通り、ハンドルにはブレーキのホースのみ、
前後の変速機には電気が通る細いケーブルがバッテリーに繋がっています。
(そのバッテリーはフレーム内シートポストに内臓されています。)
変速スイッチが無線ゆえのスッキリさは一度見てしまうと心に残る。
スマートなバイクを組もうと思った時、この電動化という選択肢が割と手が届くところに用意がある時代になりました。
ほぼ100年の歴史と経験の積み重ねを経て今、電気で変速機が動くようになりました。
電気で2輪車が動く時代にもなりましたが…。
自転車が生まれて200年以上経ってもなお、体を動力に進むこの乗り物としての進化、
そのカウンターで起こる退化、この乗り物を軸に起こる様々なムーブメント。
それをリアルタイムで感じとり生きて、いにしえの歴史を学び、
未来を想像しつつ古きを懐かしんで。
これって温故知新ってやつでやっぱ合ってる?
普通に今乗りたい「ロードバイク」を組んで、こんなふうに思った最近でした。
CMWC2023はどうだったかって?
もう少しだけ待っててください。出会いが多すぎて本当に素晴らしかった。
それでは。