上馬ピットよりお送りします。
新年からたくさんのオーダー、ご相談ありがとうございます。いただいたご依頼をここから順次進めていくので、少々お待ちくださいませ。心を込めて組み付けます!
先日の上馬ピット。若手二人がお客さまの元に嫁いだバイクの前で何やら熱く論議。
普段はもっぱら女体の神秘についてしか論議しないこの二人、一体どうしたんだろう?と思って盗み聞きしていました。
テーマはどうやらこのお客様のバイクのライトについて。
ハンドルはドロップハンドル、ライトは高火力な最近のスタンダード*KNOG* PWR road。
ライトのマウントの径はオーバーサイズのハンドルにピッタリな31.8mm。シムが付属してきてそれを使えばフラットバーやOSではないサイズ22.2mm〜23.8mmに変換可能なもの。
しかし僕らが日々愛する日東さんのハンドルのフェルール部(ステムにクランプする一段太くなった部分)の径は25.4mm。knog付属のシムだと厚すぎてうまいことクランプできなかったそう。
これを二人は論議していたのか、DIYな感じでコットンバーテープ巻いてハンドル太らせる、とかも手段としてあるけど、このバイクとオーナーに似合うようにもっといいアイデアないか話し合ってたみたい。えらい。
二人が罵り合いの結果見つけたのがこれ、ハンドル用のシム。
本来はステムとハンドルの径を合わせるためのパーツ。左右ペア売りのものをバラして組み込んだらジャストフィット。
カチッと金属でしっかりクランプできて、まるで純正みたい。感心しました。逆サイドのベルとの収まりも良いね!
こういう些細なアイデア、着地だけ聞くとそんなめっちゃ発明とかじゃ別にないのだけど、組みながらもっとよくできないか論議してたのが偉いね。営業中また二人がお下劣なワイ談を始めても許してあげよう。
今日はここ最近お店でよく出るキーワード、今日も昨日もお客様と話してて、「夫婦で兼用で乗りたい」とか「彼女、嫁用にバイクを組みたい」とか「家族で出かける時に乗れるバイクが欲しい」とかお話しに上がることがありました。誰かのためのバイク。皆さん素敵ですね。
今日はそんなキーワードを持ったグッときたバイクをご紹介します。
*SURLY* Disc trucker
こちらは息子さんと兼用を考えた”親父バイク”、組み方もそのコンセプトも男前で格好良い。「今日お前乗んないなら俺が乗るし」なんて言い合えるの仲の良い父息子じゃないとできないですよね。その感じが本当素敵。
とはいえ誰々と”兼用”となると一番大事なのはフレームのサイズ。自転車は運動靴と一緒でサイズが一番大事、合ってないと走りにくいです。このオーナーは同じサイズのフレームでも問題なしの体格差でした。
中には体格差がある程度違くても乗れるRIVENDELLのclem smithやCHEVIOTみたいなフレームもあるので、女性と兼用をご検討の方はそれらをぜひ候補にしてください。奥様彼女の身長もメモしてきてくださいね。
ご自身のこだわりや美意識を満たしつつ、息子が気にいるか、ハマってくれるかも同時進行のテーマで、パーツ決めはオーナーと担当メカの想像力が問われました笑 機能や乗り味、用途は息子さんのライフスタイルに合うのが前提ですが、ホイールの650Bインチアップやパーツの細かなディテールはお父さんがグッとくるもの、格好良いと思うものをしれっと仕込みます。
バッシュガードと泥除けは服装を選ばない配慮。いつもの格好、好きな服でもパッと乗れるように。日々の行動範囲で不便がないようスタンドも。日本はまだまだスタンドがないと駐輪できない駐輪場が多いですよね。
ハブダイナモで夜間も安心。乗ってる姿を想像して不便を潰して、の繰り返し。
フロントシングルなので変速レバーは本来右だけですが、親父さんの去り際の「アイツ左利きだから」の一言がグッときた。。リアシフトは右じゃないといけない、なんて己の固定観念という贅肉を素手で引きちぎりました。
実は親父の愛のこもったバイク。でも息子さんにはそこは何も気にせずガードレールにドシャーンと停めて欲しいし(SURLYの真骨頂)遅刻した朝はこれに乗ってぶっ飛ばして欲しい。そしてもしこのまま自転車にハマってくれて、お二人でツーリングやライドを楽しんでもらえたら嬉しすぎます!
お次のバイクもグッときた。
*SURLY* 1×1
SURLYの始祖たる今はなき名車、シングルスピードマウンテンバイク1x1。
その昔ご依頼主さんが乗っていたフレーム。時を超えて、奥様が乗れるように、と嫁チャリとして輪廻転生しました。
スポーツバイクとは縁がなかった奥様が、毎日の通勤や休日のお出かけ、今のライフスタイルに落とし込むよう組みました。
まず一番気をつけたのは、スポーツバイクへの先入観、前傾姿勢で怖い、サドルが高くて怖い、というところ。
お手持ちのパーツも生かしてリーズナブルに。Origin8のハンドル一体型ハンドル。奥様のカバンが収まる積載性ももちろん大事、そしてアップライトなポジションを作るのにも一役買っています。
サドルもお手持ちのもの、PDW。なるべくお尻が痛くなくて、雨にも強くて。慣れるまでは安全第一。標準よりやや低めの設定で。スポーツバイクはサドルに乗ればつま先しか地面につきませんがそれは効率よく走るため。このバイクはまずは安全性。
そしてギア板を覆うバッシュガードは衣類を守るためにチョイス。ファッションのお仕事の奥様なので、自転車に乗るための格好に合わせ過ぎるのもストレスだし、大事な洋服を巻き込んだりチェーン油で汚したりするのはNG。もちろん自転車乗るときは動きやすい格好で乗って欲しいのだけど、これで自転車によって着る服が制限されることも少なくなります。
泥除け、マッドガードも同じ理由から。男子なら雨上がりに自転車飛ばして多少水たまり跳ね上げても気にしませんが、女性ならきっと。。この男子的発想、喜んでもらえただろうか。
このアルミフェンダーはHONJOではなく、VELO ORANGEのもの。ワンオフでフレームに合わせてかこうが必要なHONJOと比べ、取り付けのための穴や小物一式が付いているのでよりイージーにリーズナブルに取り付け可能。佇まいもよし。
本来ギア無しの設計のフレームですが、内装変速ハブを仕込んであります。重量はかさむけど、幅広いギアを作れるので、のんびり漕ぐ女性のバイクにはピッタリかも。登り坂もスイスイこなせるよう軽い方のギアを大事にした設定。
カスタムペイントしたフレームカラーに合わせて奥様が選んだクリーム色のタイヤ。旦那さんと担当メカニックがいくら気持ちを込めてミーティングしても、決め手はやっぱりご本人が気に入ってくれるかが肝!見た目もこだわって長く大事にできる、出かけるのが楽しくなってしまったり、普段は行かないとこに行くきっかけになってしまったりしたら、それはもうハイパー嬉しいです。
今回は、「自転車好きが組む,これから自転車好きになって欲しい人が乗るバイク」の2台でしたー
今年もたくさん素敵なバイクを組ませていただく1年になりますように、組むバイクは本気、でも敷居やハードルは感じさせない、なんでも相談してもらえるバイクショップになれたらいいなーと思います。
ファーストバイクや初めてのバイクを沢山ご相談いただけるけど、よく見たらすんごい格好いいものもいっぱいあるような。。そんなお店になりたいです。
2019年もブルーラグ各店をよろしくお願い致します!