このBailey Works製のトートバッグは同じ屋根の下フレームを作っていたハンドメイドフレームファクトリーである、

Independent Fabrication(以下IF)の象徴的な「 I 」ロゴのパッチが縫い付けられています。

トート自体は至極シンプルなコーデュラナイロン用いたトートなんですが(Baileyなのでもちアメリカ製!)この「I」パッチが縫い付けられている、というのは個人的には「特別なもの」として認識させられます。

 

そもそもこのトートバッグはBaily worksのインラインには載っておらず、いわば裏メニュー的な扱い。

一時期IFのカスタムオーダーフレームを承ったオーナーさまへのIFからのギフトとしてこのトートバッグが同梱されていることがたまにありました。

ちなみにマイIFをオーダーした際には同梱されておらず。。。ガチで彼らの気分次第なので手にした方はとてもラッキー。

 

更に運のよいオーナーさまはコーデュラナイロンがランダムにパッチワークされた特別なものがあったりと、

フレームが海の彼方を超え無事に到着したか確認すべくはじめに開梱する立場である僕らにとって、このアイテムは少々特別な存在。

MADE BIKE SHOW 2024
MADE BIKE SHOW 2024
今のバイクシーン全体に大きな影響を与えたFAT CITY CYCLES、

アメリカのシーンにおけるいにしえ、マウンテンバイク黎明期における伝説であり、80年代から今なお形を変えて存在する始祖鳥のうちの1羽。

レジェンドRichard SachsやJ.P.weigleとも同僚であったChris Chance氏がはじめた同ファクトリーがこの「 I 」を語る上で欠かせません。

 

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FAT CITY CYCLESにおける象徴的な存在の1つともいえるバイクがMTBであるYo Eddy。

マウンテンバイクシーンの黄金期である90年代に生まれたこのバイクは、今なおシーンに大きな影響を与える代名詞的な存在です。

 

後に同ブランドは買収され存在を消し、残ったメンバーらが立ち上げたIndependent FabricationへとDNAが受け継がれ、

2代に渡りこちらもまたバイクシーンに大きく影響を与える存在となります。

*INDEPENDENT FABRICATION* crown jewel

NAHBS 2012

*INDEPENDENT FABRICATION* Deluxe

ハンドメイドバイクの軸足になるスポーツ、乗り物として、道具としての「機能」の側面だけでなく、

所有するにおいてこれまた同じくらい重要な機能だけでない豊かさ、自転車の自由さ楽しさを持ち合わせるバイクまで作成している、という幅の広さが僕がIFに強く惹きつけられた1つのきっかけだろうと思います。

“用途に対してフィットする機能を果たす”ハンドメイドバイクの本文ともいえるバイクから、時たま展示会で打ち出されるような少し変わったコンセプチュアルなバイクまで。

インターネットの大海を回遊しては時たまぶち当たるドでかい氷塊のヤバいバイクたちは今でも僕のパソコンのシャッフル壁紙を彩っています。

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それらの2社に携わり、後にハンドメイドビルダーとして独立したりもしくはバイクにまつわるエトセトラに関わっているレジェンドは少なくないです。

*IGLEHEART* trail poacher
*IGLEHEART* trail poacher
過去Bluelugでもフレームを1台だけオーダーさせていただく機会に恵まれた、FAT CITY CYLESのフォーク担当として名を馳せたレジェンドChristopher Igleheart氏(現在は引退)、

同氏が生み出したYo Eddyフォークとも呼ばれるセグメンタルフォークは時代や概念を超えた1つのアイコンとして今でも親しまれています。

NAHBS2014*ANT* club road

同じくFAT CITY CYCLESのペイント担当としてキャリアをスタートしIFを経た後にA.N.Tの屋号でフレームビルダーとして活躍、

一時期Bluelugでもフレームオーダーをさせて頂き、個人的にも1台作成して頂いたA.N.TのMike Flanigan氏(現在は引退)、マイクさんはIF創業時のコアメンバーの内の6人の内の1人であり彼の作るANTのフレームはかつてのFAT CHANCEのフレームにも採用されていたロケット型のシートステーを用いていたりと自分の出自をひっそり添加する意匠にグッときます。。。

MADE BIKE SHOW 2023

実はステンレス製のボトルケージでお馴染みのKING CAGEのロンさんもFAT CITYの血筋、

圧倒的なカスタムチタンバイクで現代に名を馳せ、進化をし続けているFIRE FLY BICYCLEのタイラー・エバンスもIF出身だったりと。。。

 

全員に共通するのは非常に真摯で真面目なものづくりをしつつも、生み出されるものにどこかジョークというか、ファニーさが垣間見えて、ついクスっとさせられたりするところを持ち合わせているところでしょうか。

FAT CITY CYCLESのDNAはそんなところに現れているのだろうなと勝手ながら思っていますし、そんな一見「余計なもの」として大衆バイクメーカーが切り捨てている熱意のある個人の情緒、蠢く感情がプロダクトを通じて表れているようなところが僕がこのFAT CITYの血筋を持つ者のゲノム配列に惹かれているところなんだろうなと思います。

そんなDNAの流れを汲む「 I 」が添加されていると思うとただのパッチ、ただのトートに見えなくなってくるんでないかと。