昨年の春にUltradynamicoのお二人をインタビューするという貴重な経験させていただきました。

どのお話もとても印象深かったのですが、中でも僕的に一番聞いてて面白かったのが「もし東京に住むとしたらどんな自転車に乗る?」的な会話。(動画の25:00辺りから)

二人は口を揃えて「650Bのトラックバイク」と答えていた。撮影中は緊張していたため、それ以上の質問ができなかった。(ダサッ)

それ以来、頭の中ではずっと「650Bのトラックバイク」というワードがぐるぐるしていた。

「どうしてそう思ったのだろう」

「何がそんなに楽しそうなんだろう」

「fixed gearにほとんど興味がなかった俺がどうしてこんなに”650Bのトラックバイク”という言葉に惹かれているのだろう」

「650B x 48 cavaで固定ギア。確かになんか楽しそう」

だめだ。もう居ても立っても居られない。650Bのトラックバイク、組もうじゃないか。全部自分で確かめてやる。

…と思ったけど、フレームどうしよう問題にいきなりぶち当たりました。

シングルスピードフレームで650Bコンパチ…まず初めに頭に浮かんだのは、WEBチームのアサヒさんが乗っているCrust Bikes Lighning Bolt Break-Away。下の動画の3:04辺りで出てきます。

Cliffhanger 650Bホイールにダイナミコのぶっといタイヤを履かせて固定ギア!というインパクトたっぷりなスタイルだったためか、真っ先に思い浮かんだ。が、あのフレームはもうとっくにない。

ぐぬぬ。となるとフロリダマンか…。さっきのロニーとパトリックの話にも出てきたフレームだしな…。でもミンミンが既に乗っているのも気に食わない。(ゴミみたいなプライド)

しかもかっこいいから悔しい。

あーでもないこーでもないと一人仕事終わりに幡ヶ谷店のバックヤードでいろんなフレームの在庫を見漁っていたその時「俺の事忘れた?」とピットの方から聞こえた気がして、様子を見に行くとそこには、埃をかぶっているけれどやる気に満ち溢れた”奴”の姿があった。

まあ、要するに「Steamrollerがあるじゃん。」ってなった訳です。

入社当時、自転車のことは全く分からないけれど直感で「こいつ楽しそう。」と感じて選んだフレーム。

僕の身長的に一番小さい49というサイズだと若干大きくて、700Cのホイールも僕にとってはデカくてちょっぴし乗り心地がしんどかった為、組んでから約一年ほどでバラして、使っていたパーツを他のシングルフレームに移植してしまい、 My Steamrollerは幡ヶ谷ピットの天井でしばらくお休みをしていたわけですが、四年の時を経て復活することになったのです。

本来Steamrollerは700c設計のフレームですが、650bホイールにインチダウンできちゃいます。海外ではたまに見かけていたカスタムで、海の向こうのライダーは固定ギアノーブレーキで組んでいる人が大半で日本では難しいカスタムでしたが、日本一いや、世界一Steamrollerを愛すあの漢が起こしたミラクルによって日本でも可能になったのです。

こうして僕は650b fixieをゲット。

今回はオンラインストアスタッフのダンクちゃんに組んでもらいました。

組み直してから色んなパーツを試して一旦落ち着いていた姿がコチラ。

*SURLY* steamroller (49)
どん。
カーネル史上初の固定ギアです。

*SURLY* steamroller (49)

ホイールは先ほども出てきたWEBチームのアサヒさんからのお下がり。あのバイクチェックの時にライトニングボルトについていたPaulハブとVelocity Cliffhangerで組まれた最強の650bホイール。タイヤは*WTB* horizon road+ tire

組んでもらった当初は*ULTRADYNAMICO* cava JFF tireを履いていましたが、

コレもん。

0.03mmくらいのクリアランスはあって、サドルに座って走る分には問題ないんですけど、ダンシングするとキュインキュイン鳴っていたので流石に変えました。650B、fixed gear、Cava、ロニパトの動画で出たこの三つのキーワードを全て叶えたかったのでちょっと悔しい。幅がもう少し狭いリムにすればイケそう。

とはいえ、WTBタイヤの方もかなり気に入ってます。スイスイ転がるし、スキッドもしやすい(これ言ってみたかった)。
*SURLY* steamroller (49)
分かりづらくて申し訳ないんですけど、ハンドルは*SIM WORKS* getaround bar。a.k.a. 一家に一本ハンドル。
ヘッドセットは組んだ当初から変わらずPhilwood
*SURLY* steamroller (49)
ハンドルバーバッグは*OUTER SHELL ADVENTURE* drawcord handlebar bag。CMWCで会ったSFローカルの方が付けていて完全に影響されました。
*SURLY* steamroller (49)
サドル&シートポストはお家にあった物をばっこし。サドルバッグは最近個人的に推しなAtmosphere Mountain Works
アイテム一個一個の80’s/90’sっぽい色使いは古着好きな僕の心にグッサリ。ハンドメイドで毎回生地の色が違うからワクワクするし、何より謎めいているのが好きです。なんでも調べれば解っちゃうこんな時代だけど、この人たちに関しては情報マジ少ない(笑)
*SURLY* steamroller (49)
ブレーキレバーは*DIA-COMPE* mx-2 brake lever BL special (pewter/black)。
このpewterカラーのやつずっと使いたかったのでやっと実現できて結構嬉しい。
*SURLY* steamroller (49)
ブレーキキャリパーは*DIA-COMPE* BRS202 super long reach brake
この子がいなければ日本でSteamrollerの650bカスタムはできません。
*SURLY* steamroller (49)
ドライブトレイン。
クランクは
*SUGINO* SG75 crank (silver)。シンプルに憧れていたパーツ。
チェーンリングは*SUGINO* ZEN chainring 。これもブルーラグにきた海外の方が使ってたから影響されて(笑)
リアルなの見ちゃうとダメなのよ…。
*SURLY* steamroller (49)
トラックコグは*EURO ASIA* superstar track cog。ギア比は2.61とやや軽め。
*SURLY* steamroller (49)
ハブがfix/free(両切り)なので、ちょっと固定ギアに疲れたらひっくり返してフリーギアにチェンジできます。フリーコグは*WHITE INDUSTRIES* eno single freewheelをチョイス。音でだけでトール缶2本イケちゃう系のやつです。ほとんど使う機会がないですが、お守りとして付けてます。

*SURLY* steamroller (49)

ペダルはぽっちゃりさんでお馴染み*MKS×CRUST* sylvan gordito pedal。これも元々別の自転車に着けていたものですが、出番が無くなっていたのと、ちょうどペダルストラップが付けられたので👌

*SURLY* steamroller (49)

ちょっと気持ち悪いくらいの量のステッカーが貼ってありますが、ぜんぶCMWCを筆頭としたイベント等で出会った海外ゲストのみんなからいただいたものか、友人が作ってたりするものを容赦なく貼ってます。貼りすぎは美しくないかもだけど、どれも思い出のステッカーなので良しとしてください。これからも増えると思います。

*SURLY* steamroller (49)

しばらくの間乗りましたが、単刀直入に言うとめちゃくちゃ楽しいです。この半年の間ほぼこれしか乗ってないくらい。

ロニパトがあの時どうして650Bのトラックバイクにこだわっていたのかは完全に理解できていないけど、僕なりに思ったことを書いてみます。

東京都内って謎の溝がある道や、ボコボコに路面が悪い道が意外と多かったりして、細いタイヤで走るのが個人的に怖かったりするんですよね。都内のストリートを700cで上手いことスイスイ走るのが好きって人も多いと思いますが、僕は正直もっとリラックスして走りたい人なので、チャキチャキし過ぎずのっぺりめに進むこの乗り心地が気に入ってます。

「固定ギア=トラディショナルな細いタイヤのチャリ」という固定概念もあって、今までfixed gear自体を拒んでいましたが、650B x 47くらい太めなタイヤを履かせていれば変な割れ目のある道路も、何年も手入れされていないボコボコのアスファルトの上も安心して走れて、尚且つ固定ギア特有の”バイクを操ってる感”を味わえてリラックスした姿勢で固定ギアを楽しめている気がしてます。頑張らないトラックバイクって表現が似合っているかも (?)

あと、グラベル遊びがめっちゃ楽しい。
ハマり過ぎちゃって休みの日は結構な頻度で多摩川沿いのプチグラベルを走ってます。5日間の年末年始のお休み中2回も行きました。笑

Photos by マメンのヒロアキ🤜🤛

多分次のお休みも行きます。FGGR (Fixed Gear Gravel Ride)。笑

具体的に何が楽しいの?って聞かれて言葉で上手くお伝えする自信はないのですが、固定ギアのちょっとしたスリルとぶっといタイヤの安心感が生む変な矛盾が楽しい。怖いけど怖くないみたいな…。

(年末年始でさらに姿が変わりました。)

すみません。やっぱり言葉で表すのは難しかったっす。けど、この楽しさをシンプルに共有したかったのと、ちょっとでも興味を持ってくれる人がいたら嬉しいな!ってことで書いてみた次第です。

正直な話、もうこのフレームに乗ることはないって思っていたし手放すことも考えていたけど、そうしなくてよかったと本気で思ってます。

同じ乗り物だけど、組み方ひとつ変えるだけでこんなにも人をワクワクさせられるだなんて。やっぱチャリンコって自由で奥が深くて楽しいぜチキショー!

「650Bのトラックバイク」というキーワードでまた新たな自転車の楽しみ方を教えてくれたロニーさんとパトリックさんに感謝!みんな650B fixie乗ろうぜ!

✌️

-カーネル