自分語りは好きじゃないけれど、最近とてもエモいことがあったのでよかったらお付き合いください。

Blue Lugで働く前はアパレルのお仕事をしていました。

作る側とかではなく、とあるインポートセレクトショップで約8年ほど販売をやっていました。

学生の頃から通っていたそのショップ。
スタッフもみんなかっこよくて、セレクトもずば抜けてかっこよかった。DickiesやChampionなど、定番のUSインポートモノから、映像でしか見たことないコアなスケートブランドがずらりと並んでいた。友人とは「なんでも揃ってる嘘みたいな店」と呼んでいた。放課後にバイト代を握りしめて、後先考えず散財しまくったのはいい思い出だ。

本格的に服を好きになるきっかけとなったのもこのショップのおかげだった。いつしかアパレルのお仕事につくこと、いや、このショップのスタッフになることに憧れを抱き始めたのだ。

18歳の頃にひょんなことがきっかけで、その夢が叶った。嬉しかった。

大学からの帰り道で採用の連絡をもらって、電話が切れた後にあまりのエキサイトメントで全力疾走したのを覚えている。

働き始めて数年、確か2015年頃。
ファッション業界に謎のスケートボードブームが訪れたのだ。原宿界隈のアパレルスタッフ、美容師さん、飲食業のスタッフ、とにかくいろんな人が一斉にスケートを始めたり、スケートブランドを着るようになった。Dickies 874、スケートtee、6 panelキャップ、Converse Cons。この4点セットはマストだったな。

当時働いていたお店は「スケートブランドを扱う服屋」であり、「スケートショップ」ではなかったが、系列店としてスケートショップをオープンすることになったのも2015年頃だった。

スケートショップをオープンさせる前段階として、お店に置く品物の仕入れや、繋がりを作るべくNew Yorkへの出張に同行させてもらったのは一生忘れないし、あの時若くて仕事のしの字すら知らなかったちんちくりんな僕に、こんなチャンスをくれた当時の上司には心から感謝している。

当時スケートシーンでは、NYのスモールブランドやクルーが最もイケてるとされていた。その為、僕自身もNYにかなり憧れていた。Lurk NYCの映像をどれだけ観たことか。

ボストンから車でニューヨークへと向かう。ハイウェイからニューヨークに入る前にでっかいゲートを通過する必要があった。
そのゲートを通る直前で、Jay-ZのEmpire State Of Mindがラジオから流れてきた時は鳥肌が立った。嘘みたいなタイミングで目頭が熱くなった。

映像で見たことあるスケートスポットをみたり、現地の老舗スケートショップで有名なスケーターと出会ったり、憧れのブランドを運営する自分にとってのヒーロー達と話したり、楽しいこともあり、怖いこともあり、辛いこともあり、刺激的な一週間をその上司と過ごした。

このトリップのおかげで、当時日本では全くと言っていいほど流通していなかったLurk NYCのマーチも扱うことができた。しかもProv別注色のフーディ(上の写真のグレーの方)も作ってくれて、全てが夢のようだった。このフーディは今でも手放さず持っている。

そしてめでたくオープンしたスケートショップが「Prov」(プルーヴ)だった。

どういうお店かはこの動画でよく説明されているのでよかったらチェックしてみてください。

元々働かせてもらっていた店舗のスタッフとしての立場もあったりして、オープン当時はProvのスタッフには任命されませんでしたが、Provがオープンした日はわざわざ希望休にしてオープニングパーティのお手伝いをしに行ったのはいい思い出。


(2016年1月24日にレジカウンターの後ろから撮った写真)

時たまヘルプとしてProvの店頭に立たせてもらう機会があったのですが、嬉しくてパシャパシャ店内の写真撮ってたな。

スケートボードカルチャーはシビヤなカルチャーだ。
実際にカルチャーに触れてない人がファッションの一環として取り入れたりすることに対して嫌がる人も少なくない。でも、それがあるからスケートボードのカルチャーがかっこいいのも事実。

原宿に突如オープンしたスケートショップに疑問を抱くスケーターも少なくなかった。オープニングパーティに来てくれた人で素直に祝ってくれた人もいれば、疑いの目を持った人もいたのはよく覚えている。

悔しかったけど、彼らの気持ちもよく分かっていたのでなんとも言えない感覚だった。

しかし、Provは折れずに自分達の「好き」を発信を続け、東京だけでなく、日本のスケーターからの支持をみるみると獲得していき、新たな繋がりや、仲間が増えていった。そしていつしか世界中から注目されるようにもなっていた。

そんな中ありがたいことにProvのメンバーとして任命してもらい、様々なチャンスをいただくことになるが、力を発揮できず自ら退職した。

その後もProvはどんどんパワーを付けていき、ビッグなプロジェクトが始動します。

「フルレングスビデオ」

スケートボード界においてスケートビデオは超重要な存在だ。
ビデオを作ってからようやくクルー、またはブランドとして活動していると言えるだろう。

Provで働く友人からビデオの撮影を開始したと知らせを受けたのは三年前のこと。

お店に遊びに行く度にゲットしたフッテージ (トリックを成功したビデオクリップ)を見せてもらったり、メイク(トリックを成功させること)に至るまでのストーリーを聞くたびにワクワクしていた。

映像は無事完成し、8月に代官山で上映会が行われた。

10年以上前から共にスケートしてきた友人や、スケートの歴史やカルチャーを教えてくれた先輩たちがステージに上がって会場をブチ上げてる姿がかっこよかった。泣きそうだった。(泣けよ)

言うまでもないが、ビデオも最高にかっこよかった。スケートに対する全力のパッションを感じた。三年間に渡って撮り溜めたフッテージはどれも最高だった。

そのビデオは先日New Yorkのスケートウェブマガジン、Quartersnacksにて公開された。ビール片手に是非観てほしい。

ProvのボスとNew Yorkに行ったときにずっと「みんなが認めるスケートショップになって俺らがポーザー(格好だけ)じゃないってことを証明(Prove)するんだ!」的なことを言っていたのを覚えているし、間違いなく”prove”したと思っている。

尊敬でしかないです。本当に。

素晴らしいお店を作り上げたSeijiさん、Provのユニークなメンバーを引っ張るTKCくん、ゲストのアテンドで緊張してた時に勇気づけてくれたMo、クラシックなビデオから、超絶マニアックなビデオまで幅広く教えてくれたスケート博士 Hottaのアニキ、タイトルアートを担当したMasaruさん(現Moanin Store owner)、最高なフィルミングと編集をやり遂げたToyaくん、このビデオに携わったライダーやスタッフの皆さん、心の底からリスペクトしています。

Thank you Prov crew for the inspirations❤️