上馬店のタニです。
本日はとあるお客様のバイクのお話。
新しく自転車をお探しでご来店のオーナー。
ファーストバイクなのか、2台目のバイクなのか、通勤で乗るのか休日の脚としてなのか、ご近所バイクなのか日本一周がしたいのか・・・お客様の用途やイメージする理想のバイクはどんなものか、根掘り葉掘りお聞きするところから始まります。
今回お選びいただいたのは *SURLY* straggler。
さーてどんなバイクにしようかと、オーナーとお話する中で話していただいたのは青春時代のお話。
学生の頃、当時ツーリングに興味があって自転車が欲しくて地元の自転車屋さんに行くと、そこの店主が奥から売り物でない”ランドナー”を引っ張り出して譲ってくれたそう。
その青春時代に手に入れた”ランドナー”で実際ツーリングに出かけた話や、当時の名古屋ではバイクのことを”ケッタマシーン”と呼んでいたこと、自転車の思い入れをいろいろ聞かせていただいて。
(↑この写真は僕の好きなレジェンドビルダーさんのバイクだけど、こういうのがランドナー、伝統ある泥除けとバッグがついたツーリングバイクのこと)
僕はいろんな車種のバイクが好きな浮気者だし、”生粋のランドナー好き”なんて言うのはランドナーを愛好する人たちに遠く及ばないので嫌ですが、伝統的なランドナーではなくそのランドナーを種にアップデートしたバイクが、東京で走るエブリデーバイクとして、東京から抜け出せる距離の郊外に持ち出すバイクとして、そして単純にバイクの美観ルックスとして一番好きで、信じています。
SFの名店BOX DOG BIKESのオリジナルフレームペリカンや、
OCEAN AIR CYCLESのランブラーもそう。
今回のオーナーからいただいたご要望はそれに通ずるもので。
オーナーは時が経ってまたその”ケッタ”に乗りたくなって、ブルーラグには今の機能性能のバイクをお探しでご来店いただいたけど、頭の中にはそのバイクの思い出が残っていて(古い写真もちゃんと残されていて見せてくれて、それで思い入れの大きさを感じました)
なのでその思い出のバイクのニュアンスを今のフレーム今のパーツ、あの頃なかったディスクブレーキやSRAM、アメリカのコンポーネント = 現代をミックスしたバイクっていうのはどうだろう、と盛り上がりました。
なんてステキなオーダーなんだ、そしてそんなプロジェクトの受け皿として、Surlyのフレームならきっと叶えられます、と。
レザーサドルやハブダイナモ。当時の思い出に残るキーワードはもちろん踏襲して、X-pacやハイテク素材でランドナーバッグを作っちゃうSWIFT INDUSTRIESなんかは今回のコンセプトにぴったりだね!なんて盛り上がったりもして。パーツ決めのMTGを重ねていきました。
ディスクブレーキ、SRAMのコンポ、フロントシングルギアなんていうのは当時にはなかったキーワード。懐古に再現するだけではなくって、使ったことない今のバイクの乗り味を味わいたい!という好奇心は、きっと車もオートバイも好きなオーナーだからかな、なんて思いました。それは僕調べの統計です。
ちなみにフレームカラーを決める際、オーナーから送られてきた写真はこちら。
車も好きなオーナーならではのソース。
このカラーに偶然その日入荷したてのクリスキング”マットバーボン”がバッチリハマった。
そしてあの頃と共通なのは、時空を超えて650Bのホイール・タイヤ。
青春時代のランドナーへの思い入れと、あの頃なかったコンポを積んだ今乗りたいバイク、混ぜ合わせてストラグラーを受け皿にして。こんな組み方ができるのもSURLYのらしいところだな、と思います。よその現行ロードバイクじゃあ絶対できない。
このバイクが30年ぶりの自転車ライフのリスタートのきっかけになったら嬉しいです。素敵なお仕事ありがとうございます。
その人それぞれにあった自転車があって、それを乗り手と組み手で話し合って考えます。
今回はご自身の好みがはっきりしているレアケース。どんなバイクが自分に合うかわからないなという方もご遠慮なく。サンプルや展示車、無限のカタログをご用意してお待ちしております。