今ではごく当たり前に一般常識のように認知されているものでも、ソレが生まれた時には情熱をかけ、心血注ぎ込んで生み出した開発者がいるはず。
家庭用の電気であればトーマス・エジソン、現代人の必携品であるiPhoneであればスティーブ・ジョブズあたりはみなさんご周知の通りで。
じゃあ”マウンテンバイク”を生み出した人達って誰か知っていますか?
ゲイリー・フィッシャー、ジョー・ブリーズ、トム・リッチーらが普及に際して大きく関わった人たちとして広く知られています。
こちらは昨年のアメリカ出張で記念撮影して頂いた、トム・リッチーご本人。(ご本人は予想以上に身長高くてビビった)
概念レベルのモノ、コトを生み出した人たちって基本的には伝説上の存在として、
既に現世にはおられないことの方が多いと思うのですが1970年代に原初のMTBが誕生、概念界の中では比較的若いのがマウンテンバイクなので生み出した人たちはこうしてまだまだご存命なのですな。
そんなマウンテンバイクの 歴史を語る上で欠かせないメーカーがあります。
ぼくらの取り扱い製品の中でも見知っていただいているであろう“Wilderness Trail Bikes”、略してWTB。
1982年創業、マウンテンバイクの歴史と共に歩んできた老舗メーカーです。
別注サドルが最も馴染みある存在としてみなさんに知って頂いているかな?と。
そんなWTBは歴史を遡るとMark Slate氏、
現代ではポピュラーなフレーム素材とひとつなったアルミニウムをマウンテンバイクでいち早く採用し、
多くの先進的な技術革新を起こして、バイクシーンに多大なる影響を与えたCUNNINGHAMのCharlie Cunningham氏。(via:BlackMountainCycles)
そして今回のブログの主役であるSteve Potts氏という3人が設立に大きく関わっています。
(ポッツ氏は左、真ん中は現在white industriesのエンジニアとして働くSOULCRAFTのショーン、右は幡ヶ谷店のチューヤンさん)
一人のオーナーの野望を叶えるべく、体格を採寸してどんな乗り方をするのかどう使うのかをとことん煮詰め、それに倣ってフレーム図面を引きパイプとパイプを溶接してフレームを生み出す。
本当の意味でその人専用機のフレームとそれにまつわる物語を生み出すのがフレームビルダーという人種。
世界各地に点在するこのフレームビルダーという魔法使い達は、自分がBluelugを通じてハンドメイドバイクというカルチャー知ってからというもの、もはや”魅了”の領域を超えて呪いに近い存在と言ってもいいかもしれません。
僕はやったことありませんが、いわゆる世間一般の大人の世界であればオーダースーツがニュアンス近いんでしょうか?テーラーってやつ。
そんなフレームビルダー達の中でも一際魅力的なビルダーたちは、フレームもしくはフォークの中にその人ならではの”匂い”を感じるところがあります。
スティーブ・ポッツ氏が生み出すフレームセットにおいて象徴的なのはフロントフォーク。
チャーリー・カニンガム氏が生み出し、スティーブ・ポッツ氏がブラッシュアップして必殺技的なモノとして認知されているType-Ⅱフォーク。
こちらは過去1本だけBluelugに着弾した氏の作成する雛形モデルである”Trail”。
過去のビンテージバイクの焼き増しでなく、しっかりと時代に合わせて進化したこの1台。Bluelugに着弾した時には心高鳴った。。。
このバイクが日本のどこかのトレイルを走っているなんて今でも信じられないわけでして。
過去ヘッドセットやブレーキ等を作っていたWTB、今なおカルト的な側面を持つローラーカムブレーキに最適化されたフォーク形状を現代のバイクにモデファイ。
スティーブ・ポッツ氏の必殺技として、また自身の出自を語る手癖のひとつとして広く認知されています。
そんな氏の作るアイコンであるこのType-Ⅱフォーク、この度自転車生産背景におけるメッカである台湾製としてお手軽に手に取ることができるようになりました。
オリジナルのフォークはもちろんポッツ御大自らトーチを握って溶接する正真正銘のハンドメイドなわけですが、ひとりのビルダーが生み出すという関係上、欲しい=手に入るというわけではなく。
あのディティールはそのままにグラベル、MTB向けのうれしい2種のラインナップでこの度ご用意。
グラベルモデルは現行の多くのグラベルバイクにフィットする400mm肩下で12mmスルーアクスル仕様。
MTBモデルであればSURLY Bridge club、LOWSIDEあたりが適合になるでしょうか。
フォークカスタムとあらば、設計上の相性があるのでその辺ざっくばらんにお問い合わせ頂けたらと思います。
そんな象徴的なフロントフォークのみに留まらず、
度々バイクカタログでチラ見えしていたサドルである“Chinook”も着弾。
ちょっとポッテリとしたいなたいシルエットは細身のクロモリのバイクには自然に馴染むシェイプかなと。そして地味に嬉しい本革使用。
幅広でクッション性に富んだシルエットはダートバイクはもちろんですが、日々街中を流すデイリーユースな自転車にも相性が良いかなと思います。
手に取りやすい価格帯も○。コンフィー系サドルの新たな選択肢としてお見知り置き頂けたらと。
これまた各所からチラ見えしていたハンドルバー、度々お問い合わせを頂いていましたがオンラインストアに掲載完了です。
スティーブ・ポッツ氏が住むEtnaが位置する”Siskiyou郡”の名を冠したSiskiyou Barはフォークと同様の事情、みなさんに手軽にレジェンドが生み出した哲学を手に取っていただけるようになったわけです。
ぱっと見インパクトあるこのバーはキャラ立ちしたマルチポジションバー。
バックスウィープ30度という非ストイック系ポジションを叶える戻りの角度の調子の良さはもちろんのこと、前へせり出したツノ部分を握って攻めのポジションをとっても良しで。
1本で2度美味しい系。ひっそりとクロモリ製です。
こちらCamper Barは至極シンプルなライザーバー、程よいバックスウィープは万人に手馴染みの良い戻り。
そして握ってももちろんですが、目にもバランスの良いアップライズ。名前の通りキャンパーなバイクにはピッタリな1本になっています。
Camper bar、Siskiyou barに共通して31.8mm&25.4mmクランプの用意があるのがユーザーフレンドリー、クラシックなバイクからモダンなバイクまで問わずお使いいただける仕様になっています。
Campar barはオールドMTBに25.4クランプを取り付けてクルーザーニュアンスで盛り込んでみるなんてのもいいかなと。
Siskiyou BarはSURLYの空手猿あたりに取り付けてパッキングニュアンスな感じってのも良さそう。。。
こんなブログを書きながら悶々としていると手に入れてしまいたくなるのはサガでして、
旧ロットのKinda BlueのマイmonstercrossにCamper BarとChinookをば。
あれ?こないだあそこの居酒屋でご一緒しましたっけ?なんて言葉が出そうになるほど馴染みのあるハンドル形状。
結局手に取ってしまうのはこういうなんてことないシンプルなバーだよなぁ〜とニギニギ。
サドルにしっかりめに座るようなリラックスポジションにはChinookもハマりますね。
MTB黎明期から自転車と向き合い続けるリビングレジェンド、Steve Potts氏のバイクへの計り知れない経験値が添加された秀逸なプロダクト。
是非とも手に取って頂けたらなと。
ではでは。