昨年2024年は日東さんへの別注ハンドル、豊作の年でした。
金子さん企画の「JAM bar」
谷さん企画の「ALL ROAD BAR+」
そしてBlackMountainCyclesのMikeさんとの別注フラットバーである「BAR NONE」。
多くの別注品番の中でも名作が複数誕生した昨年。
当然全てのハンドルを手に入れてしまい、剣山のようになっているマイホームのハンドル置き場がさらにボリュームを増したのは言わずもがな。
ハンドル収集癖を自称するつもりはありませんが、気付かぬうちに増えているという揺るぎない事実…!
乗って試す上で大きな楽しみを与えてくれる魅力的なパーツの1つとあらば、職業柄そうなってしまうのです。
こんな冒頭ということはBluelugで働きはじめて以来いつかは、と思っていたハンドル制作に携わることが出来たのでそのお話になります。
自分の好きなバイクの世界においてはジャパンを代表するであろう、パイセンメカニックであるおふたりの独特な世界観の自転車をお客様のときから見て育った自分。
いちからハンドルを作るというのはそもそもが非常にハードルが高い上に尊敬しているお二人の別注バーを見て、
畏怖の念すら持つリビングレジェンドのバーも続いた後に「こんなハンドル作ってもらいました!」というのは上がりきったハードルなんですが最後まで読んで頂けたらうれしいです。
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日東さんへの別注品番の中でもRB001やfor SHRED barのような一際特別なロングセラーもありますが、
時代の流れや大人の事情でやむなくドロップしてしまった製品もこれまでいくつかありました。
その中には個人的には好みで密かに再販を待っていたものもあります。
十年以上前に生まれたB814、3piece barというハンドルがその1つ。
ストレートのクロモリパイプ3本を溶接して作られた特徴的なバー。
Bluelugのスタッフになる前に気に入って使っていた時期もそれなりにあったのですが、
ルックスは抜群に好きなもののもう少しこうだったら、もっともっとお気に入りのハンドルになるのになぁ〜!なんて陰ながら思っていました。
それがハンドルの幅と戻りの角度でした。
戻りが大きめ且つグリップエリアが狭めでカットして幅を短くしようと思っても、良い感じの幅に出来ず大きくない自分としては少々取り回し辛かったのです。
自分以上に小柄な方がハンドルでっかちな状態で乗っている光景を度々目にしたのも小さくない理由の1つ。
(逆に言えばそうなってでも使いたいと思わせる魔力がある形なのですが)
当時のフラットバーとしては戻りも比較的大きめで、もし今使うなら少し気分じゃないかもなぁ〜。。。
それがこのハンドルをデザインし直せたら、といつからかモヤモヤ感じるきっかけでした。
いざハンドルの別注!となれば、1からデザインして本当の意味での自分のハンドル!と声高に言いたいですし夢の1つではあるのですが、
自分は性格的に0から1、新しいものを生み出すようなタイプではなく既にあるものに少しだけ手を入れて改善、ブラッシュアップしていくというのが性格的に合ってるのかな〜、なんて思っていたり。
“在るモノを組み合わせる”ベースとしてうってつけ、自転車DIYの教科書的存在であるSURLYが自転車の入り口だった自分だからこそ、そんなマインドになっているのかもしれません。
(0から1でモノを作り出すなんて一部の才ある人にしか出来ない所業、、、が、いつかは俺も!なんて思ってはいるけどアイディアは今の所ない)
早くも1ヶ月が経とうとしていますがこちらは見て頂けましたでしょうか?
もちろん今回も日東最強の刺客である加藤さん(サムネ右)の協力を賜りまして。
いつもありがとうございます。
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というわけで今回品番も新たに“B824”として日東さんにブラッシュアップverを作って頂きまして、上記2点の戻りの角度とハンドル幅を変更しました。
見ての通り旧作(写真上)から幅は広くなっています。全幅720mmと前作のB814から50mmほどワイドになっているのですが、
①センターのパイプを短くする
②戻りの角度を浅めに
③グリップエリアを長くする
この3つの修正を経て、シングルギアのバイクなら640mm前後まで幅を詰められるようにしています。
①〜③全て「幅を短く詰める」ための施策。戻りの角度の塩梅は個人的な嗜好が少し添加されていますが万人が手馴染み良く使い易いかなと思います。
数値で見ると旧作から大きく変わっているはずなのですがこうして並べてみると意外にも特徴的な形を大きく崩さないくらいの絶妙な塩梅になっています。
前作と同様にライズはなし、あくまで「直線的なパイプ3本が溶接されたフラットバー」という軸足はそのままに。
バーハンドルと一口に言っても大きくライズあるバーは新作続々と出てくる現代、言ってしまえば”旬”とも言えるジャンルの形状。
ただ世のバイクに対する正解的なモノは出切った感が否めず、少しばかり食傷気味な自分がいます(使うけど)。
こんなライズのないシンプルなフラットバーがフレッシュに見えるここ最近。というのも再デザインの一因としてあります。
ちょっとしたところですがバックスウィープが浅くなったことによって溶接部分は以前よりかなり広く、このTIG溶接の溶接ビード痕がハンドメイド感!
個人的に非常にそそるポイントになっています。
中央パイプ左サイドにあるNITTOロゴを真正面へ向けて取り付けてもらうと、手馴染み良いシャクり角度になるので、留意して頂けたらと。
手前味噌ながら、老若男女みなさんの手に取って頂き易いフラットバーとして新たに生まれ変わったのかなと感じています。
NEW 3piece barとしてお見知り置き頂けたら。