Mike Flanigan
A.N.Tの屋号で活動していたフレームビルダー、「ANTBIKEMIKE」その人。
80年代に伝説的バイクメーカーFAT CITY CYCLESのペインターとしてフレーム製作に携わるキャリアをスタート、その後同社が買収され無くなってしまったタイミングで同僚達とIndependent Fabricationのコアメンバーとして立ち上げに携わります。それが90年代のお話。
やがて時が経ち方向性の違いからIFを離れA.N.Tを設立。
IFと同時期にスタートしたRivendellの製品や哲学がマイクさんの理想に近く、A.N.Tを立ち上げるにも強く影響があったそう。
哲学、美意識の共通項はA.N.Tのバイクからきっと感じて頂けるかと。
グリーンのバイクは個人的にオーダーしたClubRoad、宝物です。
このバイク、いち車種としてミディアムリーチロードなんて呼称がありますが、
IFでもClubRacerという同車種のモデルが存在します。
このモデルが作られる時にマイクさんはブレーキリーチが長く、太いタイヤが入るものを作ろうとしましたが、他のメンバーからコンペティティブなショートリーチのブレーキをベースにすべきだと議論の末、ミディアムリーチロードとしての今のClubRacerが誕生したそうな。
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そんな経緯もあって作ってくれたマイバイクをClub”Road”と名付けたのは非常にマイクさんらしいなと。
これは当時の思い出補正も大いにあると思うのですが自分がA.N.Tをオーダーを決意した理由として、BlueLugでいちお客さんの時からなんとなしに見ていた谷さんのA.N.Tが格好良いな〜、と思っていたのがあります。
上馬店に遊びに行く度にパーツを舐め回す様にチェックしていたわけですが、当時から気になっている部分がありました。
MKSの(おそらく)SYLVAN TOURINGをベースにカスタムしたMikeさん謹製のペダルです。
“フレーム”ビルダーではありますが、それにまつわるパーツ達もハンドメイドで作ってしまうし既製品のアレンジ、リメイクなんだけれどそれ以上のモノに昇華させてしまうビルダーのパワーに衝撃を受けたのが、自分がハンドメイドバイクの世界に取り憑かれてしまった大きな理由だと思います。
今回このペダルがトリガーになり、ベースのペダルを作成している三ヶ島ペダルさんとのオフィシャルのコラボレーションペダルを作って頂くことに。
こんなことある!?
Mikeさんが作成していたオリジナルを踏襲してANT形に抜かれたケージをSYLVAN TOURINGベースに作成して頂いています。
アンオフィシャルなカスタムで終わっていたものが、予想だにしないオフィシャルなコラボレーションとして形になってしまうのって非常に胸が熱くなりませんか?(きっとMikeさんが一番感じていることだと思いますが)
オリジナル(下)はケージからMikeさん手作りなので少々形状が異なりワンオフらしく真鍮ボルトのボルトオン、
今回のペダル(上)はMKSのインラインのものと同様にケージがリベットでの強い固定方法になったのでガシガシ使って頂けます。
Not sport.Transport.なあなたに。
比較写真を見てムムッとなったバイクギークの方が少なからずいらっしゃるかと思いますが、
ブラック、シルバー、コッパー(!)の3色展開、SYLVAN TOURING形の四角いシルエットでのコッパーのペダルはMKSさんのインラインでは存在しておらず、ひっそりとエクスクルーシブです。
A.N.T
そんなペダルを取り付けたA.N.Tのカスタムオーダーバイクのバイクチェックを。
Rivendellを筆頭に色々なネクストバイクを探されている中でハンドメイドバイクのお話になりました。
ある一枚のA.N.Tのバイクの写真がきっかけとなって一目惚れ、そこから間髪入れずにオーダーを頂くというフットワークの軽さを見せて頂き、それが幸いしてこのフレームがBlueLugのお客様のバイクとしてオーダーした最初で最後のA.N.Tのカスタムバイクと相成りました。
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このバイクを最後にMikeさんはフレームビルダーを引退され、現在は奥さんのBetsyさんと一緒にキャンピングカーでアメリカを旅しています(もちろん自転車も乗せて)。
はじめはメールで一夜ずぅ〜〜〜とハンドメイドバイクという、自転車の広い世界の中でも一際特殊な世界についてのお話を重ねて、店頭にいらして頂いてからもミーティングをしつつ、イメージを擦り合わせてMikeさんに受け取って頂いた形で。
フレームカラーはオーナーさんの明確なイメージがあり、MikeさんがA.N.Tと並行して所属していたHOT TUBESというペイントショップにてMikeさんの手で。(フレームの作成でペイントまでひとりで手がけることはとても珍しいです)
非常にメモリアルなバイクを担当させて頂いて感無量と共にMikeさんへの感謝を。
BlueLug各店頭では9/3(土)からの販売。
オンラインストアでは9/8(木) 19時からの販売とさせて頂きます。
僕らが愛してやまないこのバイクシーンの礎を築き上げてきた、彼の地のレジェンドに想いを馳せながら踏みしめて頂けたらと。