上馬店のタニです。
今日はちょびっとマニアックなお話。だけどきっとドキッとしてもらえるキーワードがいっぱい出てくるので、読んでいただけたら嬉しいです。
IGLEHEARTというハンドメイドフレームビルダー、そしてその人が作る物のことを書きます。
クリス=アイグルハートさん、今日の主役です。
クリスさんはオレゴンポートランドにて、ハンドメイドバイクを作るレジェンドフレームビルダー。
この鏡文字のジャバラのロゴ、見たことがあるひとも多いと思います。
この笑顔が素敵なレジェンドについて書きたいし、今日は本当はそのクリスさんに作ってもらったステムとフォークをご紹介したいのですが・・・
*IGLEHEART* longneck ahead stem
*IGLEHEART* gravel touring fork
多分全部のことを書こうとすると、一個のブログでまとめられる自信がないので、まずはクリスさんの事から書き出してみます。
遙か日本から憧れてただけの僕の知識だけで書くので、間違っている事もあるかもですが(あったら補足してくださいね)
IGLEHEARTはどんなビルダーさんか、説明する時に最初に話題になるのは、1980年代からのバイクメーカー”FAT CHANCE”の、フォークのウェルディングを担当していたビルダーさんだということ。
リチャードザックス、J.P.Weigleとも同僚だったChris chanceさんが後に立ち上げた、今なおカルト的なファンを世界中に持つ伝説的バイクメーカー。
そのフォーク担当だったのがIGLEHEARTさんなので、フレームはもちろんですが彼の”フォーク”っていうのはとっても特別な意味を持ちます。
(僕のFAT CHANCEのフォークは残念ながらIGLEHEART製ではないです。あとから別のビルダーさんに作ってもらったもの)
FAT CHANCEはその後なくなりますが、現在ブルーラグでも扱うINDEPENDENT FABRICATIONの前身でもあります。家系図で言うと親子の関係。僕の世代だと、先にIFを知ってそのご先祖様を辿る順番で知る人が多いかもです。
むむ?っと来た人鋭い。それを聞くと、先日ご紹介したIFの四季カラーのアニバーサリーフレームのフォークが、なぜIGLEHEART製なのがピタッときます。
現在のIFの職人さん達が、自分たちのルーツなレジェンドにフォークを依頼してアニバーサリーを祝ったコラボフレーム。この家系図のように脈々と、格好いい自転車職人がつながっている系譜が、すごく面白いです。
ちなみに、
一周や、
チューヤンも乗っている”ANT”のビルダーMikeさんもFAT CHANCE出身のビルダーさんです。FAT CHANCEからIFへの立ち上げ→移行期を跨いで在籍していたオリジナルIFメンバーの一人。
IGLEさんとも仲良しです。
ANTのMikeさんのお話で僕が好きなのは、IF在籍時に「自分の理想とする自転車」を追い求めるMikeさんが、独立して自分の屋号「ANT」を立ち上げる時に、「グラント・ピーターセンがRivendellを始めたことがすごく刺激ときっかけになった」と言う話。
僕はANTもRivendellも別個で好きでしたが、ニューイングランドとカリフォルニアの二人、関係ないと思っていたその二つの点が交わるんかい!という。
”Not Sport…Transport”というANTの理念から、当時なぜIFを出たかったのか、グラントさんとRIVENDELLのどんなところに共鳴したのか想像させます。
他にも、この家系図にはKING CAGEのロンさんもいたり、GEEKHOUSEはANT Mikeさんの弟子なのでIFの孫だったり、、といろんな点と点が線になっていきます。
はい脱線終わり、IGLEHEARTさんに話を戻します。
IGLEHEARTのフォークといえば、FAT CHANCE時代から象徴的な形状、
このカクカクっと5本のパイプから作られるSegment Fork。IGLEさんの必殺技。
この度、フォークの現代版と言えるフォークをオーダーして作ってもらいました。
経緯としては、去年コロナの影響でIFがフォークが作れなくなるかも、という時期がありました。材料が手に入らなかったり、エンド小物をや資材を運べなかったり。またカーボンフォークENVEも、パンデミックの影響で納期が後ろ倒して未定、という事態に陥りました。
このままじゃ、フォーク難民なお客様が出てきちゃうな、、とそんな中、
代わりのフォークになるだけじゃなくて、IFフォーク、ENVEが手に入らなかった人が喜んでくれるフォークはなんだろう、と考えた時に出たのが、IGLEHEARTさんに作ってもらおう、というアイデアでした。
とはいえ相手はレジェンド・・バイクショーで見かけても、話しかけれなかった僕。本当に作ってもらえるか、正直ダメ元な気持ちもありましたが・・・お願いしたら快諾してくれました。
あのセグメンタルフォークのスタイルで、クリアランスは700x40cと650x48Bのコンパチブル。
その付近のクリアランスを持つバイクや、ENVEのGフォークが収まるようなフレームに合わせられるように。「グラベル&アドベンチャー」というキーワードを添えてオーダーしました。
サイドにはmanything cageに対応した3連のダボ穴、爪先にもラックダボも付けてもらったので、PASS AND STOWもOKです。100x12mm thruのハブに適合します。
写真はブラックにペイントしてありますが、COOK PAINTにてお好きな色にペイントします。
ブルーラグピットですでに飛び交っているのは、
元々カーボンフォークがセットのRITCHEYのバイクに差し込むアイデア。
CRUSTのBOMBORAに、あの薄ピンクにマッチペイントして差し込むアイデア。
このフォークに合わせてIFのGRAVEL ROYALEをオーダーする、なんて最高かもしれない(IFの純正フォークに3連ダボのオプションはないため)
それぞれフレームとマッチペイントして、IGLEHEARTのロゴも入れることができます。
最後に、クリスさんの人柄がわかる、オーダー後にもらったメールの一文を添付します。
I would like to thank you for having me make you the forks & stems.
フォーク&ステムを作らせてくれて本当にありがとう!
I enjoyed making them & I hope they give your customer a great ride & many adventures ahead.
とっても楽しい時間になりました。そして、それらがあなたのお客様に素晴らしいライドと多くのアドベンチャーを与えてくれることを願っています。
Bicycles unit the world & I hope that some day we can visit Tokyo & ride with you all.
自転車は世界をつなぐものですから、いつの日か東京を訪れて皆さんと一緒に乗れることを願っています。
Enjoy the ride!
ライドを楽しんでくださいね!
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うーんステムのことが書ききれない・・・ステム編に続きます。
長々と読んでくれた方ありがとうございます。この最高のフォークから企みアイデアが湧いちゃう人が何人もいますように。
タニでした。