今日は新しいハンドルのご紹介です。
カネヤンのJAM BARに続きまして、並行してNITTOさんに制作をお願いしていたもう一つのNEWハンドルが完成しました。カネヤンBLOGがめっちゃ面白かったので「おいおいハードル上げないでよ」と思いましたが、僕は僕らしく偏愛をダラダラと垂れ流します。長いですがお付き合いください。
新しいハンドルは、ブルーラグオリジナルのドロップハンドル。
構想2年、幾度もサンプル作ってもらっては直し、乗っては修正してで試行錯誤を繰り返し、ようやく納得のいくものができました。
ワガママを聞いてくださったNITTOさんの開発力、実現力、モノづくりへの姿勢は毎度のことながら本当に尊敬します。畏怖ですらある。
「All Road Bar Plus」と名づけました。
ドロップハンドルって、速く走るためのハンドル?競技者用のハンドル?
前傾姿勢がキツくて”本格的”なハンドル?
目指したのは、そんなドロップハンドルのイメージに囚われない「快適で、毎日乗るのが億劫にならないドロップハンドル」でした。
「ドロップハンドルは格好いいけど付けると乗らなくなるんだよなぁ」なんてことは無いってことを伝えたい。
でもただ「楽チンなもの」ではなくて目指したのは「快適なもの」。快適だからこそ、ライドでも使えるドロップ。
BLUE LUGで日々組ませていただくバイクは多種多様、
246や甲州街道を駆ける通勤バイクにも、
休日の林道ライドやグラベルバイクにも、
荷物をたくさん積んで楽しむキャンプバイクにも。「快適だから」って理由で選ばれたい。
え〜、そんな都合の良いドロップハンドルなんてあり得るの?って話になりますが、実際過去に在った事実が、背中を押します。
例えば思うに、世界一美しいドロップハンドル、Rivendellがデザインした”Noodle bar”。
このハンドルは20年も前からすでに「ドロップハンドルは競技的で不快だ」って思う人に向けて作られた「快適ドロップ」のパイオニアです。
快適を追求してるのに、かつ美観を損ねていない。究極のデザインだと思います。
そして、このNoodle barに影響を受けて作られたのが、元祖BLUE LUGオリジナルドロップハンドル通称M174「All Road Bar」でした。
ヌードルバーより、さらに短いリーチでレバーまでを近く、ドロップは浅く、と日本人の体格、手のひらに合わせたシェイプ。これも10年以上前に考えられたとは思えないAZEXY師匠がデザインした名作。
今回のニューハンドルも、当初はこれをただ31.8mmクランプにして、横幅を広くして、、というところからスタートしたのですが、僕らが乗るバイクも組むバイクも昔とは違うし、同じ設計思想を込めて「今現在」にアジャストしてみたいと野望がモッコシ膨らみ(なので名前だけ頂戴しました)。
日東さんとあーでもないこーでもないとオリジナルシェイプに辿りついたわけです。この2年間人生で一番ドロップのこと考えたかも、夢に見そう。
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All Road Bar Plus、実際にどんなハンドルなのか、を説明していきます。ドロップって見た目はまあドロップなので、言葉で説明するしかないのが難しいですね。
上から見たところ。上ハンは手前にグイっと手前にスイープバック。RivendellとRitcheyに学んだ形状です。
これは2つの役割があって、
「レバーまでを近くする」
前者は、物理的にレバーが手前に戻って来るので「ハンドルが遠いな〜」を防ぎます。疲れた時、指先でハンドルを掴んでいませんか?実際寸法はNoodle Barよりさらに手前にベンドしてあります。
「ステム横を持ちやすくする」
ステムの横のここ↓↓↓を握って走りたい時は多々ありますよね。のんびり走るとき、肩や背中が疲れて姿勢を変えたいとき。
フラットバーを想像して欲しいのですが、人間の小指は人差し指より手前にあるため、真横一文字よりスイープバックしていた方が持ちやすくなります。握るとわかる優しみ。
こんな辛い上り坂は、軽いギアに入れて、ステム横を掴んで景色を見ながら。
そしてほんの少し「撫で肩」にブルホーンの面影。
これは隠し味なのであんま言いたくない&言葉での説明難しいのですが、上ハンの持ちやすさにブルホーンの長所を。RB-001やSYNTACEのあの感じ、がヒントになりました(伝わるかしら)。これも実物握ってほしい。
下ハンなんて滅多に持たない、僕らが持つのはほぼ上ハン。なので上ハンは徹底的に「快適に」。でも!下ハンもちゃんと成立するように。
昨今主流のハンドルに比べ大きな「R」(カーブ)を持つドロップの曲げ。
ここの説明は「と」と「つ」の話をします。
昨今主流のコンパクトなドロップハンドルはひらがなの「つ」な形状です。
「つ」なハンドルは、こういう急カーブを持つ形状。
・上ハンを地面と水平にセットしやすいし、レバーのブラケットをシームレスに設置できるので上ハンが持ちやすい。
・リーチが短く、レバーまでの距離を近くしやすい
・”下ハン”ももちろん持ちやすい
ってなかんじで良いところだらけなので、昨今のメインな形状です。僕もここ数年いろんな「つ」のハンドルを使ってきましたが、
・リーチが短い故に、持つところが狭い=いつも同じところを持つことになる
という違和感がありました。「不便」ってほどではないので、「違和感」という言葉を使います。
加えて昨今、世の中この「つ」が溢れかえり、見飽きてきたのが正直なところ・・ついでに「ハの字」に開いたハンドルも少々お腹いっぱい。
そこで改めて気になるのがクラシックな、昔から存在する「と」のハンドル。
丸っとした大きなR(アール)、そのカーブは普遍的で美しく、格好が良い。
だけど大昔の形状そのままのものが多いので、なかなか31.8mmクランプのものは少ないし、機能性能よりも懐古なニュアンスのものばかり。そんな「と」のハンドルを実際使ってみると、
・上ハンは”レバーまでの下り坂”があり、これが厄介で上ハンが持ちにくい。昔のレーサーたちは下ハンメインだったからかなあ
・リーチが長く、レバーまでが遠くなりやすい。(無理クリ解消するとなるとステム短くしたりサドルのオフセット殺したり・・)
しかし、
・見た目は美しく、格好いい。
ちなみにこのクラシックな伝統的「と」系のハンドルを無理やりシャクって、「つ」の様に上ハンを地面と水平を作るのをたまに見かけますが、僕はこれが好きではありません・・
カタログ値よりリーチは長くなってレバーは遠くなり、下ハンも持ちにくくなってしまいます。
これら「と」の欠点を当時補ったのが、RivendellのNoodle Barだったわけです。
上ハンはなだらかにほぼ地面と並行を作っても、それでいて下ハンも手のひらを起きやすい傾斜で十分な長さ、当時にしては100mmを切るリーチ・・・そこからはNoodle barと「つ」のハンドルを比較する日々。
そしてわかったのが、こういう大きなR、丸いカーブの形状は見た目だけじゃなくって ”手のひらを乗せる部分が多く取れる” 、これが快適の秘訣でした。
ここの距離が長いので、
↑↑↑この位置も握ることができる。
ここを握れるのがこのハンドルのミソ。肩や背中が疲れたら、レバーの上一択じゃなくて、手のひら一枚分手前に持ち替えることができる。
(もしグラベル昇坂の立ち漕ぎで後輪がスリップしてしまう方は、是非この位置握って登ってみてくださいませ)
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しかしヌードルバーもレガシーな形状。当時にしては短いとはいえリーチは95mm、ちょいシャクると100mmほど。ハンドル遠くなりがち。ここは潰したい。
歴史的名作Noodle barの良さは残しつつ、現代のバイクに合うようにコンパクトにしたい。
このわがままをいっぺんに解決するのにめっちゃ苦労して、日東さんが何度も試行錯誤してくれました(Noodle Barを作る時に使うベンダーでうまくいかず、別の機器で曲げてもらいました。)
この「グイッとスイープバック」のおかげで、Noodleのような大きなカーブは保ちつつ、実際ステム中心からのリーチは90mm切っていて80mm台(!)、ハンドル遠くなりません。
十分にコンパクト。日東さんに曲げれないRは無いというのか。それでいて下ハンもゆったり良い角度、ちゃんと握れます。
正面から見たときのフレアは10度。いろんなフレアのハンドルを試して「ハの字になってる感はないけど、うちに入ってる感じもしない」ところを狙いました。
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サイズは3サイズで。「S」「M」「L」です。
これはずっと思ってたことだけど、多くのハンドルは20mm刻みでたくさんのサイズがありますが、サイズ設定がそんなに細かくあるから悩んでしまうんじゃないか、と。レースに出たり、タイムを測ったりするなら別だけど、きっとこの3サイズでほとんどの用途をカバー、楽しめると思います。
Sサイズ—下ハンで440mm、上ハンで420mmくらい。ロードやピスト、CXでアクティブに乗る方、「ドロップはいつも42です」って方も是非こちらで。
一周のモンスタークロス53もSサイズ。
Mサイズ—昨今のグラベルバイクやちょい太タイヤもコントロールしやすい、肩幅よりやや広いハンドルが好みの方はMサイズ。
僕はツーリングバイクにMを。ランドナーバッグを跨げて、立ち漕ぎの時に楽に振り回せるのがこのサイズ。
Lサイズ—ZEITGEISTなどの大きめのハンドルバーバッグを飲み込めて、積載、パッキング、もしくは55mm以上のMTBタイヤをぶん回すバイクはぜひLサイズを。
太いタイヤは地面に食うので、僕はLa CabraにLを選びました。
この日テスト&撮影ライドも絶好調。丸一日遊んで快適。ガレ道も上りもばっちりです。
ハンドルは十人十色で、人それぞれ合う合わないがハッキリなパーツなので断言するのが怖いので、胃が痛い中ブログを書いていますが、このAll Road Bar Plusで、ドロップにしてみよっかな〜、あれ思ったより快適じゃん!なんて思ってくれる方がいたら感無量、苦労が報われます。
愛車のドロップ化に是非候補に入れていただけたら嬉しいです。
最後まで読んでくれた方ありがとうございます。タニでした。