こんにちは
上馬店より一周です。
今日は前後2週間で最も寒い日だったみたいで、手袋絶対しないマンな自分も流石に出勤時泣きたくなりました。
少し前までおかしいくらい暑かったのに、今は真逆。四季が楽しめる日本っていいよなぁ。。。としみじみ。
そんな気温に振り回される2025年もあっという間、営業も明日28(日)を残すのみとなりました。
今年個人的に印象深かった1コマといえば、Black Mountain Cycles Roadの復刻でした。
2020年を最後に廃盤扱いとなっていた、僕らが思う「こうだよね!」なリムブレーキのロードバイクをマイクさんにお願いして現世に復刻して頂きました。
個人的なこのミディアム(ミドル)リーチロードバイクへの偏愛であり、現代の世の中にフィットすると信じつつも、みなさんの手に取って頂けるかいささか不安なのが正直なところでした。
ポツポツと海の向こうの方にも手にして頂いているようで、車種問わずディスクブレーキのバイクが全盛のこの時代でSAVE THE RIM BRAKEを体現するこのバイクに魅了されているのは自分だけじゃないんだなと嬉しい気持ちです。
自分が思う「いつかは」が具現化して人生史上未だに信じられない1ページ。
そしてこれまた夢現なのが西海岸のレジェンドフレームビルダーの一人であり勝手に現人神と崇める、
Rock Lobster CyclesのPaul Sadoff氏に作っていただいたトラックフレームが到着したことでしょうか。
西海岸バイクシーンの歴史を語る上で欠かせない存在であるPaulさんに自分専用機をお願いして、
こうして海を渡って手元にやってきたという事実だけでも震えるものがありましたね。(もはや自分にとっては半分神話のような存在)
昨年のMADEのショーバイクに鎮座していたキャンディレッドのトラックバイク(右から2番目)、と同色にさせて頂いたトラックバイクは絶賛お気に入りの1台に躍り出ています。
数名オーダー表明頂いた方達のバイクは2026年内には見れるかな?と思うと今からとても楽しみですね!
今年はそんな2台が稼働率2TOPだったかなと思います。次点でmonstercross。

チェックポイント付き市民マラソン的ライドに参戦する際にはRoadに乗って、アーバンライドではRock Lobsterでピリッとしたスピード感を味わいつつ。
直近ここ数年は足を伸ばして山に林道にと自然に踏み込んでグラベル、ダートでのライドが多かったのですがライドそのものがアスファルトに寄った楽しみ方になった2025年でした。
(んなことをしつつももう少ししたらばまたグラベル、ダートのライドにお熱になるんだろうな)
BlackMountainCyclesは台湾の工場で量産機として作られるフレームですが、ひとりのオーナーの経験と哲学、愛と情熱を込めて作られるフレームはさながらハンドメイドバイクのようなかおりを感じるバイクメーカー。
Rock Lobsterはいわずもがなですが、プロダクトを生み出す人の小宇宙を濃縮して結晶化される「ハンドメイドバイク」は自分にとってとても特別な存在です。
この自転車カルチャーの重病患者になる大きなきっかけになったジャンルということもあるので、そんなバイクチェックで2025年を締めくくりたいなと。
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HUNTER/CX
西海岸バイクシーンの伝説的なフレームビルダーである、リック・ハンター氏が生み出すHUNTER CYCLES、
彼は現在フレーム作成を行なっていませんが、長らく乗られているクラシックなカンチCXフレームのリビルド依頼を頂きました。
前オーナーの環境の変化で乗る機会が減ってしまったフレームを身の回りの新たなオーナーに継承系な1台。
HUNTER特有のモノステーとフープに魅せられる人は多いと思いますが、HUNTERのバイクを見るたびにセクシーだな〜と思っちゃう必殺的な一部分だと思います。
機能を携えた先にある本能的にフックになるアプローチを自然に生み出せてしまうのが、神がかり的なフレームビルダーとして現代のビルダー達に大きな影響を与える所以でしょうか。
やはりこのフレームにはPaulのカンチブレーキがズバりと馴染む1本、前後ミスマッチセッティングにて。
ちょっとした部分ですが同ブランドのmoon unitとHUNTER nugzのフルセット状態が役満。投了。

このフレームが生み出された15年ほど前には存在していなかった、SHIMANOのグラべル向けの駆動系統であるGRX。
当時からずっと必要されていたはずのSTIで動かせて且つ、未舗装路を駆けるボリュームタイヤで輝く軽いギアの帯域を持ち合わせます。
機能的にはもっとの昔から求められていたはずのものでしたが、時を経てこのフレームにインストール。
往年のCXよろしくなギア構成で色んなところへ行かれていたオーナーはきっとこの装備になってより遠くへ行けてしまうと思いますし、
こんなミドルスクールなフレームをお持ちで軽いギア足んないなぁって方は試す価値があると思います。
グラベルやシリアスなライドにはもちろんまったりツーリングな使い方にも調子良いです。
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そして勝手に海の向こうのHUNTERの香りをほんのりと感じるPacentiのリムであるFORZA、
なんだかインターネットの大海でHUNTERのバイクを掘ってた時のエモい気持ちを思い出します。
タフに乗られるオーナーだからこそなChrisKingのR45ハブはハブシェルの無駄な部分を削ぎ落としたくびれが素敵、
精巧な部分すらも自社で製造を完結してしまう素晴らしい回転性能と軽量さはKINGの名に相応しいですね。
リムブレーキ向けのR45ハブは現在カラーラインナップを絞っての生産にはなってしまいましたが、今でもしっかりラインナップしてくれるのはリムブレーキのバイクがまだまだ現役な僕らのような人種にとって嬉しいところ。
オーナー継承するタイミングでもともとグリーンのロゴデカールはホワイトに。
新たなオーナーを心機一転で迎えることが出来てこのバイクは幸せでしょうし、そして触れることができたメカニックの自分も幸せな気持ちに。
ご依頼ありがとうございました。
Falconer/Gravel
こちらも西海岸でトーチを握るキャメロン・ファルコナー氏の1本。
度々谷さんのブログでも登場するキャメロン氏、前述のリック・ハンター氏とも仲の良いビルダーで、TIG溶接でシンプルながらも機能美と細部に美意識溢れる1本は僕らをトリコにしています。
このバイクもオーナー継承系で生活の変化でやむなく手放したバイクを新たなオーナーの手に渡るタイミングでリペイント。
生活圏内の距離感と用途を擦り合わせたリビルド系バイクになりました。
ディレイラータブ付き、本来ギアードのフレームではありますが必要不必要を取捨してシングルスピード化。
シングル化する方法はいくつかありますが、それまで使われていたパーツの兼ね合い上PhilwoodのPhilcentric BBにしています。
今回チョイスした前後のギアの歯数構成上、チェーンはSHADOWのフル半コマチェーン。
できればこのアブノーマルなチェーンは使わないようにいつも努めるのですが、Philcentric BBを使う場合チェーンステーの長さとギアの歯数によってはこのチェーンがどうしても必要になることがあります。
Philcentric BBユーザーは1個ストックしておくと捗るので、予備で持っておいて損しないと思います。DIYでガチャガチャ手を動かすのが好きな方は遅かれ早かれ出番が来るかと思います。
昨今チェーンの凹凸に合わせて作られているナローワイドのチェーンリングがスタンダードになって、1リンクだけ追加微調整の出来る半コマチェーンが使えない事情もままあったりも。
特にグラべル系の駆動周りをベースにするとなると出番多めです。
しれっとフォークはHUNTER製、代名詞であるスーパークラウンフォーク。
5本パイプをカクカクっと溶接したセグメンタルフォークのクラウン下部に補強で取り付けられているプレートのこの感じ。
フレームフォークで師弟共演的1台はフレームビルダーの背景を語る上で欠かせない、
ビルダー同士の繋がりが見えてうおお、ってなるんですけどそれは自分が考えすぎのこじらせすぎなだけだと思います。
ハンドルももちろんHUNTERデザインのsmooth move、low rise bar。
いろんなハンドル使ってきましたがgetaround barと並んでつい手に取っちゃうバーハンドルの1つ。
そして世界一格好良いフロントラックでお馴染み、PASS AND STOWのマットさんとも仲良しなキャメロン氏。
マットさん自身の私物のFALONERが今年のMADEのPASS AND STOWブースには掲げられていました。(キャップの長身がビルダーのキャメロン)
私物のラックは度々デフォのブラックシルバーでないカラーでペイントされているのですが、これがまた格好良くてつい憧れ補正が入っちゃいます。
これの影響でPASS AND STOWのラックペイントのご依頼はちょこちょこ頂きますね。
ちなみに昨年のPASS AND STOWブースでは個人的にハンドメイドバイクそのものにのめり込むきっかけになった1台のHUNTERのBUSH MASTERがショーバイクだったりと、
この辺の僕らが憧れるモノ作りをする人たちはみんな繋がって共にシーンを作り上げているのです。
ちなみにマットさんはお会いするとファンにさせられちゃう人だから持っているフロントラック全部PASS AND STOWにしたくなってもうて危険!マッッッジで会わない方がいい笑。
人柄が素敵過ぎて大好きにさせられちゃうから。
その上生み出すラックが最高となると、もうね。。。
しかしこの直線的でシンプルなはずのシートステー、なんでこうも格好良く見えるんだろう?
説明の出来ない格好良さってもう格好良さの最終形態だと思うんですよね。
一次元的なかたちだけでは生み出せない、経験に裏打ちされた技術と哲学と熱意を途方もない時間積み重ね続けてようやく生み出せる領域なんだろうなぁと。
PASS AND STOW用のフォークつま先のダボは頼れる”ご近所”フレームビルダー、、、
では最近なくなりましたが山梨に工房をお引っ越しされたREW10 worksさんによるお仕事。
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旋盤などフレーム加工にまつわる重量物の移動をはじめとした、
普通の人のそれとはかなり労力の異なるお引っ越し作業はひと段落されたそう。
東京から電車で2時間ちょっとで行けちゃうみたいなので、山梨に行かれる方は是非とも。
うむ。佇まいから言葉は不要ですね。
僕が西海岸のビルダーのバイクに憧れるワケが詰まっている1台だと思います。
RETROTEC triple 29er FUNDURO
こちらは2年前に納車したRETROTEC(時間過ぎるの早すぎ)、2026年は足を伸ばして遠方へのツーリングにトライしたいということでガバッとカスタムのご依頼を。
オーダー時にツーリングのニュアンスも添加されたFUNDUROはラックダボが豊富。
納車時はマウンテンバイクよろしくなシンプルな姿でしたがツーリングに使うべくビルドアップしています。
ツーリング形態にする上で変わってくるのは荷物を載せることによって生まれる自転車そのものの重さ。
装備によっては車体1台分以上の荷物を載せることもザラにあるかと思うので、長い目で見た時にホイール回りの強化は必須です。
オーナーは策士なので身軽にトレイルライドを楽しむホイールとツーリング向けのタフなホイールの2種を用意。
軽量に振ったホイールで荷物を乗せたツーリングをし続けるとリムから壊れていくのでこれは非常にクレバー。
リムはvelocityのキャタピラであるcliffhanger。リアハブはCHRIS KING、ニューカラーのmatte jadeが鈍くも眩しいですね。。
ツーリングは基本的には舗装路がメインで北の雄大な大地を数百キロ乗られる予定だそうで、ゴリゴリにオフロード向けのブロックタイヤからteravailのノブの低いアスファルトでも転がるsparwoodに。
フロントハブはツーリング形態用にSONのダイナモハブにsine waveのダイナモライトとのコンボ。
抜かりなさすぎて言うことなし!ツーリングにおいてPASS AND STOWのダイナモライトの電線が内装出来る脚部のギミックはラフに扱っても大丈夫な安心感UPの恩恵がかなり大きいです。
慣れない地域はなにかと旅程でイレギュラー頻発しがちなので、僻地でのツーリングではダイナモライトは絶対にあった方がいいですね。
と、昨年の北海道ツーリングで嫌と言うほど沁みた部分です。。。
sinewaveのcycle beaconなら電気系統の充電まで出来ちゃうのでツーリングユースならもはや”マスト”と言い切りたいほど。
ツーリング向けのビルドアップとしてのもう1要素はブレーキ周り。
モダンMTB標準装備である油圧ディスクブレーキからワイヤー引きのものに変更。これはトラブルへの強さがメリットとして。
油圧の場合トラブってしまった際に僻地では自分自身で修理やら復旧やらどうにもならないことが多いですが、ワイヤー引きであれば復旧率はグンとUPします。
これは多くのツアラーにメリットがある部分ですね。ストップパワーも抜かりなしなPaul KlamperとLove leverのセッティングにて。
なんか様子がおかしいハンドルはしれ〜っとJONESのマルチポジションバー、の、Ti。そう、Tiです。。。
メーカーの意向もあり原則店頭限定での販売にはなりますが、この手のボリュームタイヤツアラーにおいて、機能的な部分もそうですがバイクにスチャっとした時の佇まいが好きな1本です。
このスペシャルなフレームバッグはフレームバッグオーダー会のオーダーワンオフ品。
RETROTECのようなトップチューブがベンドしている非ダイヤモンド形状フレームは既製品には合うものがほぼ無く、
オーダーの選択肢しかないのですが、だからこそフルでメイン部分を覆うバッグではなくTripleのフレーム形状特有な ミニマルな空間用のものを選んだオーナーのセンスに脱帽です。
フレームに固定するのもベルクロではなくパラコードなのもこのRETROTECといえばなダーツペイントがしっかりと見えてニクいですね。

この自分専用機の特別なバイクとはいえ大事大事にせず、しっかりとギアとして使われている姿が素敵なのですな。
こういうツーリングビルドすると自分もまたどこかバイクツーリングに行きたくなっちゃいますね。
昨年みたく来夏は北海道かなぁ〜。何度行っても良いよなぁ、あそこは。
日本国内においては異次元に環境良いので是非ともみなさんにオススメしたい北海道。
通常の輪行が出来る方ならさほど飛行機輪行のハードルは高くないはずですし、行ったらば人生で最も素敵なツーリングになることをお約束します。
あ、羽田空港行く時は自走だと大変かもしれない。空港まで途中輪行挟みつつが調子良かったり、季節はシーズン最盛期で交通費は高いけど真夏が良かったり。
あぁ、北海道のこと書き出したら止まらなそう(勢いで五行くらい書いてしまって消した)。
与太話はそこそこにしつつ今年最後のブログはこれでお別れ。
明日の年内ラスト営業日、バシっと締めさせて頂いて新年を気持ちよく迎えましょう。
それではー
いっしゅう







































