こんにちは

 

上馬店より一周です。

 

自転車を乗り出した頃から未だ執心しているモノについて今回は書きます。

それは”ミディアムリーチロードバイク”。

*BLACK MOUNTAIN CYCLES* road (50)*BLACK MOUNTAIN CYCLES* road (53)*VELO ORANGE* rando (M)

Bluelugの現在のラインナップだとBlackMountainCyclesのROADVelo OrangeのRandoに代表されるこのバイクジャンル。

昔ながらの”リムブレーキ”のロードバイクです。

*RITCHEY* road logic disc (53)

現代の自転車はどんどんとディスクブレーキが増加、入門向けの自転車も含めて2025年現在新たに生まれる自転車の大多数はメカメカしく、現代のスタンダードとなったディスクブレーキが世の95%以上を占めているのではないでしょうか?

(そんな中、リムとディスク両面でラインナップしているRITCHEYの偉大さよ)

でも自分だけじゃない、決して少なく無い人たちがきっと思っていること。

 

「リムブレーキのシンプルさってやっぱり良いよね!」という本能的に”良い”と感じる揺るぎのない気持ち。

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*SURLY* pacer complete bike*ALL CITY* mr pinkSURLYでは少し前に廃盤になってしまいましたがPacer、ALL-CITYも同様にMr Pinkなんてミディアムリーチロードがあったりと、一般大衆的な自転車シーンでは見向きされてこなかったニッチなジャンルではあるのですが、

この”カルチャー”においては、小さな世界で大きな存在を担うバイクメーカーたちが大事にラインナップしてきたことからこのバイクが持っていた意味は小さくない。

と個人的には思っています。

MADE BIKE SHOW 2024 parking area

僕の大好きなアメリカの自転車カルチャーは思い返すと表面的な機能や流行よりも「カルト」的なことに魅せられているのかもしれないと思うことが少なくありません。

し、このバイクジャンルはそのカルトのいちエレメントと思います。

 

それらに対して興味の無い、いわばスポーツ的な視点では”懐古主義的”とか”クラシック”なんて一次元に括られてしまうこともしばしばあるのですが。

そもそもそこまで語るソレってどんなんなのよ?

というのは上の動画を見て頂けるとお分かり頂けるかと思うのですが、

(秋の夜長にビール片手にご覧になってみてください)

少し前の時代のロードバイクをはじめとした自転車に使われる、キャリパーブレーキというこのリムブレーキのいち形状。

このタイプにはブレーキパッドまでの距離感が3種類ありまして、それまで世の中に溢れている(いた)のは最も短いショート、それ以外の2種類は世間大衆的には珍しい存在。大中小の中サイズが”ミディアムリーチ”に適合するサイズなのです。

その距離感が長くなると何が起きるのかというと取り付けるできるタイヤがショートと比べてかなり太くできるというのが多大なるメリット。

NAHBS2013

太いタイヤを納める空間がある=泥除けを取り付けるスペースも生まれたりと。日常に寄り添うカスタムの余白が生まれるのもまた大きなところで。

ただ、タイヤのスペースを生み出す代わりに止まる力が少し弱まることから、大衆的な速さを競うスポーツのシーンでは日の目を浴びることはありませんでした。

“速さ”を突き詰めたものはそれ以外の要素が削ぎ落とされがち、日常からどんどんとかけ離れていくのが乗り物として、機材としての宿命です。

たかだかタイヤが太くなるだけと思うかもしれませんがそれによってカスタムと乗り方の幅はブワッと広がり、大多数のレースをしない人たちにとってフィットする”大衆的なロードバイク”であるべきなのはコッチだったと思っています。

NAHBS2013NAHBS2013

レースのようなスピード感を第一優先に自転車に乗るなんてことは無い僕ら一般人。

ただただ”楽しさ”の為だけに自転車に乗る人種にとって、世に溢れていた大衆的ロードバイクは多くのレース至上主義なビジネスの都合上ばら撒かれた、

消費の渦中真只中な少し可哀想な被害者なんて見方もできるやもしれません。

(via:radavist)

レーサー気質が形作った細タイヤのロードバイクより、ボリュームタイヤのミディアムリーチロードバイクの方が乗り心地も良く路面の凹凸を気にしなくとも乗れて、毎日なんの気無しに手に取る1台になり得るというのは言うまでもありません。

それが産声を上げた時代は今ではメインストリームである、グラベルロードバイクそのものの概念が未だ存在していなかった時代。

舗装路とグラベルを繋いでルートを生み出すようなアドベンチャーな遊び方も意識出来るような、いわばグラベルロードバイクの先祖とも言えるような立ち位置だったのは紛れもない事実かと思います。

*INDEPENDENT FABRICATION* club racer complete bike

*ICARUS FRAMES* city cruiser/light tourer complete bike

*ANT* club road

ただ、やはり流行りの潮流に乗っていない=そもそもの選択肢が少ない、

ことから既製品がフィットしないとあらばワンオフのカスタムバイクで実現するしかないというハードルの高さがあるものの、

少ないながらにハンドメイドバイクの世界でも雛形のラインナップの1つとして並べているファクトリーもあり、今よりももっとレーサーマインドが蔓延していたその昔に既製品では満足の出来ないjust for funな人々には有用な1台なんだ!

ということを彼らはラインナップして度々生み出すことで世にこのバイクの必要性を静かに訴えていたように感じます。

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そんなニッチでカルト的なバイクジャンルでありつつも、この現代において僕らが憧れ追いかけている小さな世界で現在進行形で執心している人たちが少ないながらに居ます。

その世界でカリスマ的な存在である彼らが熱量を持ってソレを生み出しているサマを画面を通じて見ては「同じことを思っている人が居るんだ!」と海の向こうの人たちにシンパシーを感じています。

 

このタイミングでジワジワ生まれているのは、いわば”座標”が指し示す潮流の1つなのかもしれません。

その兆候を感じさせてくれるのがやはりこのバイクシーンのど真ん中である”MADE bike show”なんです。

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MADE BIKE SHOW 2025 Portland

MADE BIKE SHOW 2025 PortlandMADE BIKE SHOW 2025 PortlandRONS CR-1

ULTRA ROMANCEが主宰するロンズバイク名義となるミディアムリーチロード、Country RoadことCR-1。

ナンバリングからロニー aka ウルトラロマンスが敬愛するRivendellのグラントさんが過去所属していたBridgestone USAへのリスペクトを感じるこの1台。

CRUSTやULTRADYNAMICOとの親交の深いLarkin Cycles製のハンドメイドバイク。

MADE BIKE SHOW 2025 PortlandMADE BIKE SHOW 2025 PortlandMADE BIKE SHOW 2025 PortlandMADE BIKE SHOW 2025 Portland

クラシックロードバイクにありがちなホリゾンタルのフレームで、サドルとハンドルの落差を生み出す1台、ではないのがこのバイクのポイントでしょう。

ヘッドチューブは長めにとられ、コラムスペーサーを積まなくともこの太めのタイヤを生かした乗り方に最適化された少し高めのポジションを生み出します。

それまでのミディアムリーチロードバイクは32Cが最大タイヤクリアランスとされれることが多かったのですが、38CMAXに設定。

現代の潮流ともクロスオーバーし、ただ懐古主義的にカタチにするのでなくしっかりと今のニュアンスが込められています。

MADE BIKE SHOW 2025 PortlandMADE BIKE SHOW 2025 PortlandMADE BIKE SHOW 2025 Portland
MADE BIKE SHOW 2025 Portland
なによりも時代問わずバイクシーンを長いこと見てきた美意識が一段二段も抜けて高い彼らが生み出す、本能的にエレガントに感じさせるフレームは無二の世界観といえます。

こちらのレーシングバイブスな赤いペイントの”NUTMEG”ロゴはローカルライダー向けのオプションだそうで、

MADE BIKE SHOW 2025 Portlandそうでない方はこちらのRONSロゴが施されるそう。

MADE BIKE SHOW 2025 Portlandこちらはロニー私物のCR-1。

兼ねてからプロトタイプのフレームをRAW な状態で乗っていたものをペイントした様子。

 

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彼らしいビンテージの パーツも織り交ぜた1台は彼のアイコニックな立ち振る舞いと相まって非常に目立っていました。

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このフレームに馴染むCHRIS KINGの新色のmatte jadeであったり、

現代では非常に珍しい存在となったMAVICのヘリテージモデルであるシルバーを基調としたホイールセット(しかもリムブレーキ!)が目立っていました。

こちらのホイールはも少ししたらばBluelugにも着弾しますので、要チェックです。数年経ってから名作認定される系プロダクトだと思います。

 

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こちらも各所で話題になっていたTom La Marche製のミディアムリーチロード。

昨年はクリントが手にしたタイニーバイクが非常に話題になっていた彼も、脳内の座標が指し示す新たな境地はミディアムリーチロードバイクだったよう。

少しタイトめな設計は遊びのニュアンスのあるバイクを好む彼らしいつくりで、せんとくんのT&Cのようなセージブルーのカラーリングが素敵ですね。

新作のオールシルバーのwhite ind VBC30を盛り込みつつ、キーになるキャリパーブレーキは名作Velo OrangeのCru long reachを。

 

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そして密かにチェックしていたアメリカの東の方、ノースカロライナ州のビルダーであるFINE bikes.

細かなところですがPaulのRacer Medium専用のフレーム設計になっており、いちパーツ専用品として割り切った造りにさせることによる特別感たるや。

 

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細かな造りは多過ぎて説明し切れないですが、繊細さ感じるフレームワーク。

ハンガー付きのステムにシートチューブ一体型のシートマストとのマッチペイントとショーバイクならではなキメ細かさ。

 

このジャンルのバイクは一際スペシャルな要素はありません。

脚の長いキャリパーブレーキが醸し出すエレガントさに加えて、少し太めのタイヤクリアランスが生み出す乗り心地の良さ。

語るのであればそのひとことに終始すると思います。ただただシンプルな要素で形作られた”ちょうど良さ”に尽きます。

 

このバイクジャンルに対し、決してノスタルジーに浸っているわけでもないですが、ある種”禅”のようなものと形容することは出来るかもしれません。

時代がどうとか、機能的にどうこうなんて概念を越えた僕の中のいちカルト、それがこのミディアムリーチロードバイクなんだと思います。

 

こんな偏執ブログを見た画面の向こうのあなたのいちカルトにも新たに加わってくれたらば嬉しいです。

では

 

いっしゅう