こんにちは。
上馬店より一周です。
先日お知らせしましたBlackMountainCyclesのROAD、水面下でBluelugに着弾して少しばかり経ちました。
(これはBlackMountainCyclesオーナーMikeさんが所有する前ロット)
ブランド発足時にこのロードモデルと、現在までラインナップされているクロスフレームであるmonstercrossとの2モデルでスタートしたかつて象徴的なモデルであったこの1本。
2020年に廃盤となり、この直近の数年間は世間一般的にもこのジャンルのバイクは世の中から姿を消す一方、、、なのですが兼ねてからの熱意もあって復刻をお願いしたのです。
販売については現在鋭意進行、整理中ですのでもう少々お待ち頂けたらと。。。
取り急ぎ僕らスタッフは先に乗らせて頂き、しっかり理解を深めてからみなさんにご紹介できたらなということで、バイクチェックの筆を取っております。
、
、、
、、、
BlackMountainCycles ROAD (50)
弊社デザインチームの”でかつよ”氏が乗っていたBIANCHIのビンテージロードバイクからパーツを移植したMolteni Orangeの1台。
この手の一昔前のロードバイクのパーツを飲み込み、ロードバイクの姿形のまま日常にフィットさせることが出来るのはこのバイクのひとつの側面でもあります。
基本的には細いタイヤしか飲み込む余力のないオールドロードバイク、それによる乗り心地の硬さや路面に気を遣うストレスは無意識の中で自転車に乗るON/OFFのスイッチが生まれる程度には僕らの日常からは離れる乗り物。
でかつよ氏もそれを常々感じていたところ、このフレームの着弾を機に載せ替えに踏み切ってくれました。
オールドなロードフレームとはいえ、ホイールやギア周りの概ねの規格はほぼ変わらないのですんなりと載せ替えが可能。
ブレーキに関してはこのフレームの特徴であるブレーキシューまでの脚が長い”ミディアムリーチ”キャリパーブレーキが適合なのでそこは個人的にも大好きなVelo Orangeの逸品をインストール。
↑これらのブレーキにすることによって太いタイヤの取り付けが可能になるのです。。。
ポジションのトレースとブレーキ他規格が変わる少しのパーツ変更を経て、載せ替え作業が完了、
多くの意味で複雑化してしまっている現代のロードバイクとは異なってシンプルな構造のリムブレーキロードバイク、こういう作業もスパッと出来るのもいいところ。
いち乗り物の佇まいとしてのシンプルさもこのキャリパーブレーキのロードバイクに心惹かれる小さくない理由の1つではありますが、手を動かしてバイクを形にするDIYのマインドを阻害しないのも原初の姿形のバイクだからこそ。
テクノロジーの粋と同時にブラックボックスが詰まった現代のバイクの調子の良さよりも、自分にとってはこんなシンプルなバイクが自転車を知って10年経った今なお心掴まれますし、それは自分に限らず世の中の多くの”日常”に軸足を置いて自転車を楽しむ方達にとっていわばアンサー的1台のはず。
それはこのフレームが誕生した20年前にきっとMikeさんをはじめとした人たちは辿り着いていて、その真理に気付きはすれど色んな都合によってメジャーにならなかったのでしょう。
けれどこれが多くの人にとって必要十分だったし、当時足りなかった唯一のピースである良質なオンロードタイヤが時を経てメジャーになった現代。
このロードフレームが輝く時代が今まさにこの瞬間やってきた、というのを考えると少しロマンめいたものを感じずにはいられません。
グラフィックは前ロットと違わず伝説的ロードレーサーであるEddy Merckx氏トリビュート。
トップチューブの「黒山自行車」はMikeさんに許可を頂いてBluelugで別途制作したデカール、デフォは付いてません(BMCオーナーの方はお声がけをば)のでご注意を。
過去のモデルでは初期装備だったこのデカール、黒山自転車に限らず自転車製作背景の大きな拠点である台湾で手を動かす方々へのリスペクトを込めての一枚というストーリー。
今ロットのロードはリアブレーキがフルアウター、クラシカルな他社のロードフレームにも見られるトップチューブを通るトンネル形のガイドになっています。
ブレーキアウター上出しのブラケットレバーを用いてWレバーで、クラシックバイクオマージュな1台にしても映える造りかと。
この”乗り心地”にフォーカスされたロードフレームを体現するポイントである、この姿形のバイクにしては広いタイヤクリアランスは最大35Cタイヤクリアランス。
この太さが冷凍都市東京の割れて凹んだコンクリートの上でもラフに乗ることが出来、路面に意識を向けるストレスを減らしてくれるのは非常に大きな点。
このグレーが特徴的なタイヤはUltraDynamicoの33.3Cのcava race。
グラベル、オフロードタイヤのイメージの強いUltraDynamicoですがこのpavementゾーンもカバーしているのは流石。ロードライディングにも熱中している二人の好みが大きく反映されている部分だなと。
このサイズのみ細かな杉目パターンが細かく、よりオンロード振りなタイヤパターンになっているのは意外に知られていない事実。
なによりもこのMolteni Orangeのフレームカラーとマッチしているグレータイヤのカラーリングが個人的に刺さりました。
サドルはBROOKSの中でも細長い形状でロードのイメージ色濃いswallow、サドルに合わせ同社のカラーマッチングされたマイクロファイバーバーテープを盛り込んで、ハンドルはクラシックな曲げのNITTO ALL ROAD BAR PLUS。
僕らが自転車をはじめて格好良いと思ったあの時のロードバイクの姿形を彷彿とさせ、馴染みよく仕上がったのでないかなと。
、
、、
、、、
それまでメルクストリビュートなグラフィックに合わせたフレームカラーは専用装備ともいえるMolteni Orangeのみだったのですが、今回の復刻を機に特別にもう1色フレームカラー用意して頂きました。


BlackMountainCycles ROAD (53)
もう一色はネイビー、ダウンチューブのロゴの胴抜きのネイビーと同色、
クラシックなオレンジとは対照的な都会派な印象もある落ち着いたカラーリングになっています。
舗装路を走るとはいえ「早く走る」ことが第一優先でなければ、このバイクの方がきっと良いはずだと、彼の地のいくつかの人たちは度々感じては生み出し、ニッチながらもいちジャンルとして認知されるくらいには形作られ続けてきたわけで。
早さの概念から解放されることによって生まれる組み方の幅、それを許容してくれるのもいわば世間的には曖昧な立ち位置であるこのフレームの良さ。
ただその曖昧であった立ち位置は現代メジャーになったかつてのグラベルロードバイクも同様だったはずで、業界の都合や流行りの波に乗らなかっただけ。とも思います。
代々木公園店のサンバは東京の喧騒をカジュアルにラフに乗れるようにとカスタムを施した、フラットバーバイクとして日常の相方に選んでくれました。
モデル名こそROADですが、”ロード”バイクであることはイコール、ロード”レーサー”ではないのです。
あくまで舗装路(ロード)の上を快適に走ることを”ロード”バイクとして呼んでいるわけで。
これもまた”日常に沿ったロードバイク”といういち解釈、舗装路の上を肩肘張らずに乗れるひとつの姿として1つの正解なんだといえます。
Mikeさん曰く昔はロードバイクとロードレーサーは同義に近かったそうですが、時が経ってそれは切り離され別の価値観に。
ロードバイクに限らず世に蔓延る”レーサー気質”を中心としたマインドが色々なことを歪め、変えてしまったものもいくつかあるのだろうと勝手ながら感じるわけですし、細いタイヤはそれを体現するものだと思います。
1分1秒のタイムには拘るわけでもなし、それよりも自転車に乗って行った先で1時間かけて食べる美味しいご飯や観光の方が重要度が高い僕らにとってこれでいいし、これがいいの最適解がこんな1台なんだと思います。
そして例に漏れず自分も組ませて頂いているわけですが、尺が長くなってしまったのでマイバイクのお話はまた次回にさせて頂きます。
ではでは