こんにちは。
上馬店より一周です。
先日の動画は見て頂けましたでしょうか。
オレゴン州ユージーンに拠点を置くコンポーネントメーカーであるASTRAL cyclingのファクトリーへ訪問してきた模様をば。
特徴的なペアスポークが採用されたホイールメーカーであるRolf Primaから生まれたブランド。
ASTRALブランドがはじまったのは7年前ほどで、Rolf Primaで培った技術が非ペアスポークのリム及びホイールに注がれているというわけです。
Bluelugでも少し前からリムの取り扱いが始まり、日が経って僕らメカニックにとって馴染みある存在のメーカーになりました。
アルミはもちろんのこと並行してカーボンモデルのラインナップもあり、細いタイヤから太いタイヤまで車種を問わずカバーしているラインナップの幅広さが1つの魅力です。
個人的にもMod zeroにオールラウンダーなoutbackのカーボンモデルを使用しているのですが、非常に調子良くお気に入りのホイールなので試乗で体感して頂きたいところ。
ハンドメイドバイクシーンでのサポートも目立つところで、昨年に引き続き今年のMADEのショーバイクでも装着率の高さが伺えます。
OLD MAN MOUNTAINとのカスタムアルマイトのコンポーネント類は目立っていましたね(動画の23:15くらいにも登場)。
母体であったRolf Primaと共にRolfホイールのハブを手がけているwhite industries傘下になりこれからの動きがますます気になるメーカーのひとつなわけです。
(ちなみに先日のクリントのブログにもあったBike Fridayのファクトリーとはご近所さん)
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MADE BIKE SHOWが行われるオレゴン州ポートランドから車で1時間半程度のところにファクトリーが位置するユージーンはあります。
自然溢れた環境は自転車をはじめとしたランニングやハイキング、スポーツが盛んな土地でありNIKE発祥の地でもあります。
あの映画スタンドバイミーのロケ地として利用されたそうですが、
ポートランドからユージーンまではこんな広大な農地を抜けて辿り着きます。
なんとなくスタンドバイみあるバイブスを感じながらだだっ広い農地を見つめていたわけですけども。
道中事故(?)にもぶち当たって1時間半の予定が2時間程度かかってしまうなんてハプニングもありつつ。
(多分トラックに積んであるタイヤが崩れたのが原因っぽい?)
辿り着いたユージーンは時間帯なのか人はまばら。
落ち着いた雰囲気の街中にあるASTRALのファクトリーはRolf Primaと一つ屋根の下。
出迎えてくれたのは過去Bluelug幡ヶ谷店にも来てくれたことのあるゼネラルマネージャー、ジミー氏。
この翌日がMADEの出展ということもあって準備で忙しい中わざわざファクトリー見れるよう手配してくれたよう(ジミーさんありがとう)。
入口入ってすぐのスペースにはジミー氏の愛車であるTREKの昔のスチールMTBにCRUSTのカーゴフォークを盛り込んだ1台が。
愛犬のリゾット(♀)と一緒にこのバイクで行動しているそう。
バイクを用意するとバスケットに飛び乗ってくるリゾットがかんわいいので必見(1:00あたり)です。
作業ブース手前にある事務所スペースはエンジニアであるウィリー氏のオフィスがユニークで、
日本でいうTSUTAYA的レンタルビデオチェーン店のBlockBusterを模したDVDスペースが笑。
各種パターを揃えたゴルフ場もあったりと、真摯にものづくりに勤しむ傍ら同時にクリエイティブさ感じる環境が素敵でした。
整頓された作業ブースにはこれからホイールになる、仮組み状態のハブwithスポーク達が。
各所小物達もBluelug各店で使っているのと全く同じ、小さいプラのコンテナでしっかりと管理されている様子。
(なにかと散らかりがちなBluelug上馬店はもうちょっとモラル高く管理しなきゃな!という思いに)
先ほどのハブwithスポークを仮組みした後(11:10くらいのニップル装填するガンは必見)、
スポークテンションを上げる工程はそれ専用の大きなマシンでオートで、ある程度のテンションがかかったらそこからは手仕事で仕上げていきます。
他のメーカーは上記のマシンで出荷段階の状態まで漕ぎ着けるところもあるそうですが、ホイールクオリティを重視する彼らは最後の重要な工程を人間の手で行うわけですね。
車輪としてクオリティを上げていく中で車輪へ負荷を与える工程、通称”馴染み出し”もSQUISHY MACHINEという車輪全体に均等に精度高く負荷をかけることの出来るマシンが用意されています。
マシンを用いて単純な作業は簡略化してホイールビルダーの手数、負担を減らしていわばキモである工程にビルダーが集中出来るようになっているわけです。
個人的な肌感で言うと50%ほどがセミオートなので、非常に効率が重視された環境だなと唸っていました。
1回でいいからここでホイール組んでみたいですね。ASTRAL出向社員制度が誕生しないかしら。
(奥の駐輪場スペースが気になっていたけどつい作業場に注目してしまい、、、見せてもらえば良かったと今更思い出しました)
ENGINEERING LABと名付けられたスペースは出来上がったホイールをテストするブース。
ジミー氏曰く「拷問部屋」。あの手この手で車輪に負荷を与えてどれくらいで壊れるのかをテストしていきます。
(短髪の方は先ほどのBlockBusterオフィスのウィリー氏)
拷問部屋のすぐ隣に位置するのはウィリー氏のクリエイティブルーム。
製品化前のプロトなんかも見せてもらいつつ、ここから色々なアイディアが生まれてくるんだろうなぁと感じるバイブスでした。
車輪にまつわるチューブやタイヤ、工具が鎮座していて自分に例えるならパーツボックスのようなスペース。
日本では見かけることの少ないピンクのセラコートが施されたRolfのハブシェルがつい目を引きましたね。
格好良いバイクショップによく貼られているBridgestoneUSAのポスターがここにもあるのがグラントさんの影響力感じるワンシーンでした。(この出張で訪問したGolden Pliersも同じものが)
(制作風景はウィリー氏&ジミー氏両名の解説付きの動画を見て頂けたらと)
ウィリー氏が防音のイヤーマフをつけている通り、加工のマシンはそれなりの作動音の大きさなのでリゾットは大きい音を嫌がってこのエリアには来ないそう笑。
ホイールの組み立てをしていたメッシュキャップの方はベン氏、前述の仮組み工程を経たホイールを調子良いと15分程度で完成させる腕前の持ち主。
どのくらいの時間で車輪完成するんですか?と聞いた自分はしっかりとカウンターを喰らいました。はじめの工程をマシンに任せているとはいえ流石に15分で組める気がしない。
振れ取り台には車輪の状態を確認できるメーターが付き、ホイール精度は感覚ではなくて数値化、厳格なクオリティコントロールのもとに作り上げられるわけなので尚更。
作っているものが自転車パーツの括りでは大きなサイズなので、勝手に工場の敷地面積が大きいのをイメージしていましたが、少し大きい体育館といった規模感でしょうか。
この後訪れたBike fridayや昨年訪れたPhilwood同様に、僕ら日本人が想像する「メーカー」な横文字の響きよりかは「町工場」の方がニュアンス近いと共に工場の雰囲気に親近感を感じます。
チューブレステープの貼り付けはこの器具を用いて。
スケボーのウィールも盛り込まれたこのDIY感満点のツールが非常に調子良さそうでした。製品化してくれないかな。
(PASS AND STOWのマットさんもジグにスケボーのウィール使ってたなぁ)
海の向こうに憧れがある僕らとしてはこういうところで好きになっちゃいますね。真似したい。
DJばりの手元の忙しさ(56:48あたり)がツールの可愛さとのギャップ感じて面白かったですが、自身らの手で身の回りのことをよくしていく、作り上げていくところでも町工場なバイブスを感じますね。
ともかくアテンドしてくれたジミー氏がコミカルで愛くるしい人物、
動画を通じてファンになってしまうこと請け合いなのでチェックして頂きたいなと。
ではでは