「足し算のバイク」「引き算のバイク」って言葉をよく使わせてもらってるんですが、今回はそれらを体現した2台のバイクチェックをしようかなと。
いわゆるこの足し算、引き算とは現段階の僕の解釈だと、その人のライフスタイルに合った使い方のバイクで「これはいる」「これはいらない」の結果かなと。
例えば、一番ご依頼の多い「通勤仕様」を例にとると。
オーナーさんは通勤片道10キロを自転車で通勤したい。
お住いから職場は都内TO都内。
普段週末は往復50キロを軽く超えるライドをしていてそれ用のバイクは間に合っている。
今の所、荷物はバックパックメイン。
このオーナーさんギア付きのバイクは週末に散々乗っていてシングルに興味があるそうな。
*CRUST BIKES* single speed lightning bolt
オーナー様が選んだのは*CRUST BIKES* single speed lightning boltこちらで、理由の多くは先述の希望プラス最後の決め手は「カラー」。
高い買い物なのに色で決めるのってって思う方もいるかもだけどむしろそういった直感に素直に従った方が全て思い描いてる方向へ進んでくれると思っています。
もう少し掘り下げると、通勤は変速のこととか考えずにひたすら漕ぐだけ、シングルスピードで通勤したい。
クイックな乗り味よりもある程度マイルドな方が通勤はいい。
これらの希望からこのバイクにスポットライトが当たったんだけど最後の一押しはさっきも言ったカラーでした。
冒頭の「引き算バイク」の体現の理由として、シングルスピードならではこのなんともシンプルな佇まい。
ハンドル周りの潔さが際立ちます。
通勤仕様だけどラック類はナシ、ましてやどんな坂もクリアできるギアもない。
こちらのオーナーの希望、使い方的にはそれで十分でいくらでも便利に快適にしてくれるパーツを「引き算」していった結果がこのバイクです。
前後ブレーキは、*DIA-COMPE* DC980 retro canti brakeのシルバーとパープルのミックス。
こういった遊び心って素敵ですよね。
ヘッドセットは*CHRIS KING* nothreadset 1inchのヴァイオレットをチョイスしてもらってクリスキングならではのカラーの選択肢を楽しみながら高耐久、高精度を。
実はこのバイク、チューブレス仕様となってます。
一長一短はあれどそれらを理解した上で使う分には乗り心地等受ける恩恵もとても多いカスタムです。
できるできないはご相談いただければ。
サドルは*GILLES BERTHOUD* soulor leather saddleで、バーテープは*GILLES BERTHOUD* leather bar tapeのランドナーお得意のブランド、ジルベルソーで合わせているのもポイント爆上がり。
この様な感じで初めは必要十分でそれ以上は求めず、とってもシンプルな組み上がりからスタートのオーナー様。
ここから様々なカスタムを経て「足し算バイク」に転ずることも大いに有り得ることでしょう。
ご納車後しばらくたってカスタムしたり、使い込んだバイクとかを再びバイクチェックしたいなと。「その人」が表れたバイクもいろんな人にみて欲しい…。
お次。
*SURLY* cross check
対して、どちからといえば「足し算バイク」にあたるこちらはサーリーのクロスチェックになります。
こちらのオーナー様も仕様用途は先ほど同じく「通勤」なんですが、こちらの場合はお仕事柄まとまった大きな荷物を運んだりすることもある。
それなりの重量なんだそう。
先ほどと同じく都内TO都内の移動ではあるけど、荷物を乗せた状態での急な坂にもばっちり対応できる様に前後にギアを装備しています。
フロント3速、リア9速の計27段変速。
そう聞くと使いきれるんか?って感じですが、使い切るのが目的ではなくどんなシチュエーションでもちょうどいい漕ぎ心地にできるって言うのが最大のメリット。
その分ハンドル周りのワイヤー類は増えますが実用性は格段に増しますね。
この車体にはダイナモが装備されています。
なんども出てきているから説明は不要だろうけど、やはり毎日乗る以上、夜の帰り道充電が切れそうなライトのことを気にして「充電が切れる前に家に着こう。」だなんてたかがライトに急かされることもなくなるし、
「昨日あんだけ充電のこと気にしてたのに充電するの忘れた…」なんて自分の生活をライトに支配されることもなくなるわけです。
昨今充電するものが増えてきている中、夜乗り出せば勝手につくライトは生活のレベルを1段あげると言ってももう過言じゃないです。
おおきなバスケットを支えているラックは、*SIM WORKS* obento rackのラックで少しだけ天板が大きいのでこのサイズのバスケットもしっかり安全に取り付けることができます。
もちろん一回り小さい、*WALD* 137 basketを載せることも可能です。
それらを日々支えてくれるであろうヘッドセットは、*PHILWOOD* 1-1/8 headsetのヘッドセットでとりわけメンテナンス不要で向こう数十年平気で使っていただけるでしょう。
お尻を支えてくれるのは、クッションサドルこと*WTB* pure saddleでサドル荷重のライドポジションでもお尻が痛くなりにくいサドルとなってます。
こちらの足し算バイク、使うことをイメージして必要なものを盛り込んでこの形となってますが、実際にこれから通勤で使用してみてあれもいる、これもいるってまだまだ足し算の余地は残ってるし、逆にこれはいらん!って引き算するのもこれまたカスタム。
イメージと実際が違うことなんて日常茶飯事だと思うのでその時はまたご相談いただければ是非ともお力になりますので。
今回の2台はどちらも同じテーマの「通勤」がメイン。
でも使い人によってここまで差が出てくるのが本当に面白い、どちらかが正解とかはないです。
今の自分イメージをまずぶつけていただいて、そこから何が調子良さそうか導き出してそれらが本当に調子がいいのか答え合わせを実生活で確認してもらって、とざっくばらんにたくさん相談してもらえれば嬉しいです。
そしたら今回はこのへんで。
シャミセン