上馬店のタニです。
先日何やらウエンツ がニヤニヤとこんなものを持っていました。
お客様のオーダー、ペイントされたPASS AND STOW Rack、めっちゃいいですね。
ラックの塗装ってしょっちゅうどっかにぶつけるので、傷とか気にする人には向かないです。僕のような傷なんか気にしないぜ!ぶつけて塗装が欠けたら逆に格好いいぜ!って思う人専用のカスタムだと思います。
PASS AND STOWのラックはビルダーのMattさん本人が、
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こんな色のラックを酷使して使っているからか、特に”塗るのアリ”な気がします(Mattさんはきっとわざわざ塗ったんじゃなくて、最初っからこの色にパウダー出したんだろうけど)
・・話が少し脱線してきましたが、今日は別に「PASS AND STOWのラックを塗ろう」というのが主旨じゃないです。
この大好きなPASラックと、僕のフェチ的に好きな”バイクの組み方”の話です。
バイクの”組み方”なんて、乗る人それぞれに「用途」と「目的」にあっているのが一番格好いいと思うので、雛形や方程式なんてないと思うのですが、
僕はこのPASの”5 Rail Rack”と
ほんのりスイープバックしたフラットバーを、
ドロップハンドルでバチッとポジションが出そうなバッチリサイズの”CROSS”車に、110〜120mmの長めのステムで組み込む、という組み合わせがどうしようもなく好きで興奮します。理由はわかりません。
きっと脚フェチの人だって、なんで自分が脚を見て興奮するのか説明できないように、もうこの組み合わせのバイクがどうしようもなく格好良く見えてしまいます。
お店のブログだからセールストークとして「こんなのが”フェチ的”に格好いいんです〜」なんて甘っちょろいことを言ってるんではありません。僕のこの性的衝動、隆起的興奮のことを言っています。
これは状況証拠、僕のバイクです。上述の組み方と全く同じ組み方で、何年も乗っています。畜生、バッグを外して撮って貰えばよかった、フェチが伝わらないかもしれない。
昔は90mmのステムにドロップハンドルでポジションバッチリでした。
繰り返します、
「PASの”5 Rail Rack”と」
「ほんのりスイープバックしたフラットバーを」
「ドロップハンドルでバチッとポジションが出そうなバッチリサイズの”CROSS”車に、110〜120mmの長めのステムで組み込む」
です。
このフェチの良いところは、ただフェチで欲求を満たしたということだけでなく、エブリデイバイクとしてすごく調子が良い、というところです。
以上の話を踏まえてバイクチェック。
先日納車させていただいたBLACK MOUNTAIN CYCLESのMCD。
「街でもライドでもマルチに調子良いように」というご要望。
加えて、オーナー様はドロップハンドルで組んだバイクをお持ちなのはわかっていたのと、組み方は「任せるわ」と言っていただいたので、上記フェチ方程式を発動するチャンス、と思い組み付けました。お任せビルドは気合入ります。
ステムはRitcheyの問屋さんに残っていた120mmのステム。売れ残りやすい長さなんでしょうけど、この組み方の方程式の中では主役になり得ます。ハンドルはSIM WORKSのLittle Nick。
MCD—Monster Cross DIscの略称です。black mountain Cycles主宰のMikeさんがずーっと昔から唱えていた定説、700x50cのモンスタークロスバイク。
このMCDはピュアなCROSS車ではないのでそんなことないですがCROSS車特有のクイックなハンドリングを、長いステムと手前に戻ったフラットバーは感じさせず、ピターッとまっすぐ走るあの感じ。
HUBや駆動系は「BLACK MOUNTAINのMikeさんはWHITE INDUSTRIESと仲良しだよなー」なんてことに想いをはせながら1x11sにて。お手持ちのパーツも活かしつつ、街で乗ってもグラベルライドに繰り出しても不便のない塩梅目指しました。
通勤でも乗っていただくこともわかっていたので、高火力ダイナモライトを前後に配線、ライドでもお仕事帰りの246も安全にノンストレレスに、と。
東京はMikeさんのいるポイントレイズステーションの用にグラベルや自然が多く無いですが、このバイクなら通勤も、休日林道遊びも両方行けます。
タイヤは僕の好きなMAXXIS RAMBLERを。グラベル用ですがノブが低く転がりが良く、タイヤを変えなくても行動範囲が広がって、朝何となくこのバイクにまたがっちゃうような・・そんなことを想像しながら選びました。
僕の性的衝動的提案で組ませていただいて、本当にありがとうございます。ものすごく個人的に、めちゃくちゃ格好いいと思います。社内スタッフからの評判も良くって鼻が高い。沢山乗ってくださいね。
この”MCD”フレームは惜しまれつつも暫定ディスコンですが、BLACK MOUNTAIN CYCLES、2022年他モデルが入荷予定です。お楽しみに。
ーーー鉛筆ーーー
上馬店の天井には、うちのBOSSのSOULCRAFTがぶら下がっています。
これを見るとすごくムラムラします。乗らなくなったドロップポジションのクロス車には例の「方程式」を施したい。蘇る性的衝動。
REW10さんで、勝手にフォークに、PASS AND STOW用ラックダボ穴を溶接したら怒られるだろうか。ハンドルはSIM WORKSのGetaround Barか*NITTO* b354 heron barか、RitcheyのKyote Barも良いな、内緒でやってみようか。
ーーー鉛筆ーーー
蛇足で上述の僕のバイクもバイクチェックします。全く同じ方程式なので同じことの繰り返しかもしれません、流し読みで大丈夫です。
HUNTER CYCLESという、アメリカのハンドメイドビルダーさんが作ったCXフレームです。
とはいえカスタムオーダーフレームじゃありません。2012年頃、Circlesさんのストックフレームだったものを、当時お客様がシクロクロス車としてオーダーしてくれました。(その当時はこんな姿でした)
そのオーナーは初代BLUE LUGのウェブサイトを作った人だし、何かご縁を感じていたのと、時は経ちそのオーナーがご結婚や家族が増えたりでCX車を手放すことになり、当時組み付け最中からサイズは自分にぴったりなことをリサーチ済みだった僕は、譲っていただけないか直談判したのでした。
そんなフレームにPASS AND STOWをつけるためにREW10さんでフォークにダボ穴を溶接してもらってリペイントしてあります。
上述のフェチ方程式を組み込むのはもちろんですが、流行りやお客さんの目を気にせず、自分の”好き勝手”が詰めこんだ大好きなバイクです。あと単純に乗ったフィーリングが自分史上一番しっくりくる。
フロントシングル全盛の昨今、ディレイラーが好きなので頑なにフロントダブルにしていたり、
ビルダーさんも使っていた、謎にSHIMANO 9sに互換があるSRAMの変なグリップシフト。ステムはフレームと同じビルダーさんが作ったもの。チューヤンと行ったオークランドのKING COGの店主に無理言って売ってもらったものが偶然探していた110mmだった奇跡。グリップはOURYばっかり。
ペーペーの修行時代に「早くギア付きバイク弄れるようになれ」といただいた(半永久的に借りている)KINGのハブは宝物だったり、
テキトーでチープなフェンダーを、フェンダーダボ穴のないこのフレームにテキトーにのこぎりでチョップして逆さまにタイラップで付けたり。
そのせいでリアのブレーキブースター付かなくなって深夜真顔になったり(「なんでフロントだけブースターなんですか?」と良く突っ込まれるけど、本当は前後つけたい、シートステーが柔らかいのでブースターないとカンチが効かない)
好きなRITCHEYのパーツに混ぜて、幡ケ谷のデジ君が作ったRITCHEY風のステッカーを貼ったり、
要するに、好き勝手で組んでいます。
そして何より、自分のバイクで大事にしてること。
「いい子いい子にしない、大事大事にしない」「几帳面に組まない、几帳面に乗らない」「古いパーツ、珍しいパーツを探してつけるんじゃなくて、その時の”普通”を手に入れて、自分で長く使って古い・珍しいパーツにすること」。
大事にしない=愛さないではないですよ。めっちゃ愛していますし、めっちゃ乗ります。これは僕個人のMYバイク家訓です。
ーーペンシルーー
長くなりましたが、僕の好きなバイクの組み方、方程式、フェチを取り入れてBLACK MOUNTAINを組んでいただいたのがものすごく嬉しかった、という話でした。
最後まで読んでくれてありがとうございます。タニでした。