こんばんは。
本日のブログちょっと長めですが、是非最後までお付き合いください。
以前セントさんもブログで紹介していたこの方をご存知でしょうか?
Anton Krupickaさん、通称Tony。僕がこの方を知ったきっかけは、セントさん同様CRUSTのライダーであったり自転車のフィルターを通してでした。
改めて少し調べてみたらとても面白い経歴や思想をお持ちの方。
トレイルラン界でアイコン的な存在で、元々はウルトララン(超長距離のマラソン的な)で有名になったそう。2006年Leadville Trail100というウルトラマラソンの大会に出場して優勝し、翌年もで2年連続優勝を果たしています。使い古された短パンにソールを薄くカットしたシューズ、長髪上裸にほぼ何も持たないヒッピー的な型破りなスタイルであった彼は、記録もですがその風貌もあり注目の存在になったみたい。
そのルックスや思想であったり、トレーニングスタイルやファッションなどと全てが気になるまさにアイコン。セントさんも書いてるけど、トレイルラン界のウルトラ・ロマンスさん的存在なのか?
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(文脈関係ないけど、SMITHとのタイアップムービーがかっこいい)
そしてベアフットシューズをNew Balaceと開発した方でもありました。素足で走ることをトレーニングの一環としてやっていて、そこからベアフットシューズの必要性を感じたそう。これができる以前はソールを自分で削って履くこともあったそうです。僕はVIVOのイメージがとても強くて、周りにもお客様でも履いている方がたくさんいる印象ですし世の中こういった類の靴たくさんあるので、それ開発した人ってのはかなりインパクトのある情報でした。
僕が最初知った時はこのただならぬ雰囲気がとにかくかっこよくて、ってだけでとにかく格好良く映ったけど、単純な練習量であったり記録を持っていたりと強靭なアスリートであるってのがこれまたかっこいい。
競技としてランニングやその他名前も分からないエクストリームな数々の活動をしている方なんだと知って、尚更好きが増してしまいました。
インスタ上で見る写真もいちいちかっこよく、文章も読んでて面白くて本当止まりません。是非みなさんも見てみてください。
そんなアントンさんはサイクリングもするようになって、今ではランより自転車に乗っていることの方が多いそう。
自転車を好きになるのは彼にとって自然の流れだったのだと推測できますが、膝を壊す心配もなく、ランニングより長い距離を走ることができるこのアクティビティにハマってしまったと。
ランニングは超ミニマルに荷物も最小限で行くことが多いけど、自転車に関しては過積載で行くバイクパッキングツーリングが特に大好き。
もはやランニングよりサイクリングをすることの方が多いそうで、フィールドはグラベルがとにかく好き。車種的にもオンロードを繋いで超長距離をバイクパッキングするのが好きだそうで、CRUSTのバイクはまさに彼にうってつけ。(Mattさんも長距離ダートツーリングが大好きで、その経験がCRUSTというブランドを始めるきっかけになっています。)
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(かっけえ・・)
そしてこの方CRUST何台持ってるんだろうか・・レベルでほぼ全車種乗ってます。
マジで好きなんでしょうね。EvasionにBomboraのフォーク刺したキメラバイクを楽しんでみたり、とっかえひっかえいじっていろんなバイクを楽しんでる。ちょっとしたフィーリングの違いや疑問などをそのままにしたくなくて、何でも試してみたくなっちゃう方なのでしょう。
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前置きが長くなりました。
そんなAnton Krupickaさん、なんとCRUSTからシグネチャーフレームが着弾です。
CRUSTは他にもたくさんのシグネチャーフレームがあって、全てのフレームに大変な魅力が詰まっています。もちろんこちらも例に漏れずとても面白いフレーム。
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SNSで少しずつ漏れ出てたので、待望だった方多いのではないでしょうか?僕はそうです。
*CRUST BIKES* derecho (58)
ということで組みましたマイバイク、その名もDerecho(デレーチョ)!
Evasion、Evasion Trail140、FloridaManに続きで通算4台目。
Antonさんがたくさん乗る中でも特に乗り味が好きなのが、Evasion,Evasion Lite,Bomboraとのこと。
Evasion
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Evasion Lite
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Bombora
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Bombora Enveにも乗っていたり、常に乗るバイクもスタイルも様変わりし続けていますが、メインどころは特にこの3車種。
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ちなみに、僕がEvasion欲しい!ってなった最初のきっかけはこのバイクを見たことだったりします。
この3車種を26,27,5,29inch全て試していたりとにかくギークな方なのですが、Antonさんは悪路込みの道を長い距離乗れるバイクをご所望でした。
CRUSTオーナーのMattさんからシグネチャーフレームの打診があった際、Antonさんはコロラド州中央分の400kmにも及ぶ山岳地帯をバイクパッキングした直後だったそう。
この時27.5inchを選択したことを後悔されていて、かと言って29inchでは履ける太さ的に足りない。(Evasionは50c,Evasion Liteは55c,Bomboraは48cがMAX)
それぞれタイヤクリアランスだけでなく重量や乗り味も全く異なるバイクですが、スピード感のあるEvasion LiteやBomboraの乗り味に、Antonさんの乗り方に合うEvasion的な頑丈さと、より大きなタイヤクリアランスの確保。
そんなことが構想が発端となり形となったフレームです。
特徴的なペイントデザイン作成を担当したのはMallochioも手がけたPucciさん。なんとレジェンドペインターJoeBellさんのお弟子様で、普段はお仕事の大部分を任されているんだそう。JoeBellさんはRichardSachsのペイントを40年近くもご担当されている正真正銘のレジェンドでして、RIVENDELLのグラントさんとも非常に仲良いらしくRivのハンドメイドフレームに関しては必ずペイントを任されているんだとか。(汗)
そんな方の弟子であるPucciさん、実は半年前ほどバカンスで来日していました。人もバイクもかっこいいニコニコしてておしゃべりだし(いい意味)なんか心に残る方だったのもあり、彼がこのフレームのペイントデザインに携わっているというのは個人的にとても嬉しいことでした。
各所の絵柄はAntonさんの故郷であるネブラスカ州も位置する、グレートプレーンズから着想を得ているそうです。赤い羽根のタカ、羽、ヤジリ、風車などは実際にその地域でたくさん見られるもので、トップチューブの経度98°はAntonさんにとって特別な経度だそう。(調べたらネブラスカ州を通っていました。)
そしてDerechoという名前はその地域でよく見られる直線的に動く激しい雷雨現象のこと。自転車に乗っていると常に風を感じるけど、だんだんとそれすらも受け入れるようになったとのこと。そんな心境の変化やスペイン語で”直線的”を表すDerechoはフレーム形状ともベストマッチだったのでしょう。
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カラーは2色展開で、僕のPale Yellowと上記のForest Green。どちらもAntonさんの普段いる場所がなんとなく想像できるような淡めなカラーで最高ですね。
いざシグネチャーフレームのディティールを考えるとなってからは、MattさんとAntonさん本当にたくさんのことを話して決めていったそう。
その中でも特にユニークであるのがチュービング。
このバイク、ホイールは100x12mm/142x12mmThru、BBは68mm(この太さで!!)にフラットマウントのディスクブレーキと、ロードやグラベルの規格を採用しています。ここからもスピード感重視よりな乗り味に頑丈さをプラスしたバイクが欲しかったんだろうと想像できます。
異様なまでに細く見えるトップチューブは新しいBomboraと同様の25.4mmで、シートステーはシートチューブとの接合が1本でされるモノステーであったりは多少のしなりを感じられヒラヒラと走るBomboraのイメージでしょうか。
そこにReynoldsの中でも高剛性かつブランドの看板的立ち位置な853を使用し、極太の34.9mmのダウンチューブを採用しています。このミックスが唯一無二感。
高い剛性を保ちながらより軽量なフレームに仕上げることができるのが特徴のパイプで、通常のクロモリにはないシャキッとした硬さが体感できる乗り味が最高です。
そしてこの長いヘッドチューブもAntonさんのシグネチャーモデルならでは。
なぜEvasionは27.5×2.8や26×3.0のホイールが履けて700x50cまでしか履けないかというと、太さが問題なのではなくフォークの上にタイヤが当たってしまうから。
Derechoはその分フォークレングスを長くしているので29×2.5inchが履ける(27.5の場合2.6inchまで)のですが、通常はその分ヘッドチューブを短くする必要があります。そうしないとスタンドオーバー(跨ぎ)が大きくなりすぎてしまうためですね。
しかしAntonさんはEvasionと同じ長さのヘッドチューブを所望しました。これによりポジションを高くとるためにコラムスペーサーを積む必要がなくなり、ハンドル周りのルックスがすっきりします。
そしてここがとても重要、サイズがM,L,XLの3サイズ展開で、MですらEvasionのXMより大きいです。身長175cmくらいの方からご検討いただけるかな?といったとても攻めたフレームサイズ展開をしています。ご了承ください。
Antonさんのバイクは共通してかなり特徴的な組み方がされています。大きいサイズの跨がれるギリギリのサイズを選びシートポストはちょびっとしかでていない、ハンドルとの距離はステムで調整してコラムはほぼビタ切りのエアロポジションを意識したセッティング。
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一貫して低めのスタックハイトを好んで乗っている様子が見て取れますね。
ちなみにAntonさん181cm、手足の長さは驚異的な数字ぽそうで僕たちが完全に参考にしてわけないので気をつけましょう。。
ということでマイバイクに戻ってサイズの話、僕はMと迷ってLを選択しました。かなり大きい見た目ですね。
以下の根拠をもとに決定しています。
①EvasionのLサイズに乗っていること(同じトップチューブ長である)
②BTCHNの突き出しの短い(50mm想定)ブルムースバーを使いたかったこと
③フィッティングと乗り方的に問題ないと判断したこと
普段乗っているEvasionがサイズL(トップチューブ長580mm)にステム80mmでドロップハンドルを使っています。激しいトレイル行く時はポジションあげてステム短くしたりもしますが、基本はこれが快適です。今回は突き出しの短いブルムースバーのためにというのもありますが、飽きたらドロップで組み直そうと思っており、その際もLサイズで問題ないと判断しました。
とはいえ数値上だけではこわいので、ちゃんとホイール履かせて確認します。
現状2.0inchのタイヤを履かせて、トップチューブの真ん中から地面までが865mmくらい。
しかし自分の場合それもっと危ないところを走る場合26+のEvasion Trail140か27.5inchのEvasionに乗る、29erのDerechoは機動力重視で2.3inchまで履ければ十分と思っているので、こちらのサイズに軍配。
長々とご説明しちゃいましたが、まずは迷ったら小さいサイズを選ぶのは定石です。しかしCRUSTは突き出し40mmのステム作っちゃってるようなブランドなので、跨がれる大きい方選んでステムで合わせるって乗り方もありです。
もちろんルックスだけでは決めてはいけないところで、小さいサイズ大きいサイズそれぞれメリットデメリットがあり、それはお客様次第で変わるところでもあります。お店ではお客様乗りたいイメージなどお伺いし実際に跨ってもらう工程など経てサイズを選びますのでご安心ください。
ちなみにAntonさんは普段EvasionやBomboraなどXL(トップチューブ長600mm)に乗っていて、DerechoもプロトタイプはXLに乗られていましたが製品版ではLサイズに乗り換えています。スタンドオーバー流石に高すぎたんだろうか。
リアエンドはEvasionやScapegoatなどと同様、シングルや内装ハブの使用も可能なスライドエンドを採用。
フォークはセグメンタルフォークで3連ダボを完備!これとっても嬉しいです。
EvasionやBomboraは二重肩クラウンにベントしたクラシカルなルックスのフォークを採用しています。かっこよくて大好きなのですが、3連ダボは付属していませんので、工夫しない限りはラックやハンドルバーバッグ前提の積載方法をとることになります。
3連ダボあるとカーゴケージなど普通に使えるので、フォーク直付け的なパッキングしたい人にとってはメリット。アントンさんのバイクを見ると、ラックレスでバッグを使ったバイクパッキングを好んでいらっしゃるのかなと想像できるので、おそらくそこを汲んだのかなと思います。
前述の通りロードバイク規格なDerecho、WILDEのRamblerSLからかなりのパーツを移植していてほぼ載せ替えのイメージです。
CHRIS KINGのR45ミッドナイトカラーにMAVICのA1022という幅広リムの組み合わせ。リムは内幅22mmのわりにオフィシャルで2.5inchくらいまで対応していてちょうどよし。タイヤはスピード重視のContinental Raceking 29×2.0inch。
クランクはSRAMのRival1にWOLFTOOTHのダイレクトマウントチェーンリングを合わせています。そろそろ入荷してくるPAULのクランクも欲しいなと思ったり。。
ブレーキもフラットマウントを採用しているので、アダプター類もそのままPAULのKlamperを使用できたので、このオレンジを差し色にしていくことに。細かいところでチェーンはブラックのラインナップがあるKMCのもの。
個人的ハイライトは新たに購入したハンドルバー周りで、欲しくてたまらなかったBTCHNのTiブルムースバーを。もはやこれありきで組んだ感じ。
自分でも「これ買ったんだ?!俺」って冷静に思うような金額してしまうのですが、店頭に置いてあったときのオーラがやばくて手に入られずにいられませんでした笑 クランプ部分や突き出しの短い見た目が大変好みで、これコラムベタ切りでついてたらかっこいいだろうな〜と思い購入。
Derechoはいずれドロップバーにする予定で、いつかハードテールを手に入れたらこのハンドルを使いたいと思っています。
このバイクはそこそこ長い距離を走るシチュエーションで真価を発揮するフレームだと思っていて、Antonさんに思いを馳せたのもありフラットバーでも長距離乗って疲れにくくなる工夫を盛り込みました。
レバー内側にはESIのグリップを半分に切ってコットンバーテープで上からぐるぐると。ここ持つの楽しいです。
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オレンジ色のちょこんとしているのはサムグリップというパーツで、疲れたときにハンドルに手を乗せたいとき、前に滑らないよう親指をひっかけるためのものです。バーエンドバーやバーセンターバーをつける勇気が出なかったので気持ちだけでも…と付けてみましたがめちゃ使える。
Berthoudのブラックがネイビーぽくて色が好きなのと、使ってみたかったのもあって採用。僕のはかなりシェイプがすっきりしたタイプで、レールはステンのSoulorというモデルです。Eriksenのシートポストもいいアクセントでしょう。ここはハンドルに合わせてチタンを持ってきたかったです。
今はBingham builtに名前が変わっただけでなく機構もアップデートされています。そして最近待望の!カーボンレールサドル対応のものも入荷してきましたよ。
ESIのも好きですが今回はサドルに合わせて高級感をってことで、Berthoudのバーエンドを使用しています。
いかがでしょう?とても魅力のつまったフレームです。
肝心な乗り味ですが、本当とても軽快に走ってくれるバイクですこれ。ホイールサイズの影響ももちろんあると思いますが自分的にはとても不思議でした。
最初見たときは「しなやかにしたいのかガッチリさせたいのかどっち?!」って思ってしまうこのユニークなチュービングが功を奏しているのでしょう。どちらも感じられて本当とても乗りやすいフレームだと思いますし、当たり前ですが今までのCRUSTにはなかったフレームであることは間違いありません。
それとフレーム重量的にはEvasionとほぼ一緒でなんならフォークは少し重いのですが、フロントの軽さを感じられてこれも不思議。そしてトミーさんとセントさんに乗ってもらったのですが、トミーさんのEvasionにカーボンフォークを刺したバイクに近さを感じる乗り味だよねと。Evasion寄りの軽快なバイクというニュアンスが一番わかりやすい表現かと思います。
ご身長的に許される方で、EvasionやBomboraをご検討いただいていた方は是非視野に入れてくださると嬉しいです。
最後まで読んでくださりありがとうございました!
幡ヶ谷店に常に僕のバイク置いてるので、気になる方は是非試乗にいらしてくださいね。
もう一人グローバルのとあるスタッフがDerecho欲しがってたので、もし組んでくれたら彼のバイクも紹介しますね。
ps.
Derechoはバイクパッキング時にも真価を発揮します。ということで早速先日伊豆大島へキャンプに行きました!
こちらについては近日ブログ公開予定ですのでお楽しみに。