「手沢」(しゅたく)
みなさんこの言葉をご存知だろうか?
僕が初めてこの言葉に出会ったのは、、、多分15年以上前だったかと。アートスクールに入って勉強していた時に出会ったこの言葉。
その時に受けた言葉の力、日本語の魅力に引きつけられ、それからずーっと頭の中から離れずに残っていた言葉。
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ひとまず冒頭の話を置いておいて、、、本日ブログで紹介したいのは「メッセンジャーバッグ」です。
まずは写真を見て頂きたい。
僕の自転車生活とは切っても切り離せない「メッセンジャー」職業でもあり、文化でもある「メッセンジャー」
前職でもメッセンジャーバッグを作っていましたし、メッセンジャーを生業にしている友人も沢山います。
が、しかしそれよりも前、1996年に訪れたニューヨークで見たメッセンジャーの存在が初めて「彼ら」を意識した瞬間でした。
ニューヨークはダウンタウン、ハウストンストリートとブロードウェイの交差点。
我先にと車が進み、渋滞している交差点の中で車の流れが止まってしまい、信号が全く機能していませんでした。
すると、そのカオスな交通状態の中にハイスピードで突っ込むドレッドヘアのメッセンジャー。
スルスルっと車の間を抜けてブロードウェイを中指を立てつつ、南に走り去って行きました。
ほんの一瞬の出来事に
「!!!???」
でしたが今でも鮮明に覚えている光景です。
まるで映画のワンシーンを見ているようでした。
間違いなくあの瞬間の彼には後光がさして見えました。アメリカなんでスポットライトか。
そんな衝撃的な出会いがあり、今に至るような気がします。
「自転車って自由だ。」というのもメッセンジャーから学んだ気がしますし、道具として自転車を酷使する彼らの佇まいも大好きです。
そんな僕のルーツを意識して今回、メッセンジャーバッグを製作しました。
仕様はシンプルにメインのスペースとポケットが1つ。素材は表地がワックスキャンバス、そして裏地がターポリン。
やっぱり裏地は黄色かと。(初めて買ったMADE IN USAのマンハッタンポッテージのバカでかいメッセンジャーバッグも裏地は黄色でした。)
目指したモノはみんなの中にある漠然としたメッセンジャーバッグのイメージをシンプルに形にできればと思い試行錯誤しました。
昨今のハイスペックな「素材」や「仕様」ではなく、「昔ながら」なワックスキャンバス生地と、どこか懐かしい形。
ストラップ類もついておらず、大きさもメッセンジャーバッグにしたら少し小さめの作り。
イメージしたのは「休日に自転車で出掛ける時に背負うバッグ」でしょうか。
特長として、バッグの蓋の部分「フラップ」がバッグの中に仕舞えるので、バッグの口を開けた状態でも使えます。
バッグの正面に走っているベルクロにワッペンでカスタムするのも有りかと。
内側のレーベルに「使い始め」の日付を書く欄を設けたのでゼヒ活用してもらいたい。
そして何年後かに「あーそういえばこのバッグとも◯年の付き合いだなー」と感じてもらいたい。
それってこのバッグ名前にも繋がる事なんだと思います。
そしてそして、冒頭の言葉のに戻りますが、、、
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手沢(しゅたく):
長く所持しそのモノを扱ってきた間についた、つや。
転じて身近において愛用したモノ。
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末長く愛用して欲しいと思いこの名前をつけました。
ローマ字で「shtak」と書いて「しゅたく」と読んでください。
なんだか文字配列が、僕の好きなフィンランドの家具メーカー「◯rtek」みたいで気に入ってます。
最後にメッセンジャー映画といえばこれしかない。
「クイックシルバー」
まだ観た事ない人で自転車好きなら必見。
若かれし頃のケビン・ベーコンやローレンス・フィッシュバーンが新鮮。