僕はアメリカで自分の凝り固まった思考パターンにハッと気付かされた。リベンデルから自由な発想とおおらかさでもって物事を考える事の大切さを受け取って帰ってきた。そんなお話しです。
突然ですが、RIVENDELL platypusのリアブレーキのケーブルルーティング。あなたはこのアウター受けを目の前にして通さずに組み立てられますか?
僕は通さずにはいられなかった。きっとあなたも通すだろう。だってこのアウター受けがこの位置に溶接されてるって事は、「下方から来るケーブルをここに通して上へ導いてね」って合図だと思うもん、普通。
実際それが正解で何も間違っていないし、美しい。
だけど、アメリカで見たplatypusのケーブルルーティングはこうだ。(ここでもWill君バイクに影響を受けている)
ウソんっ!そこ通さないってアリなの!?この自由な発想はお国柄なのか。おおらかなRIVENDELLだからできるのか。
「日本人は」なんてカテゴライズすると叱られるかもしれないけれど、きっとほとんどの日本人は僕も含めて生真面目に決まっている事だからと疑いもせず通すだろう。もっと言えば、通さずにはいられないだろう。正しいのだから。
だけど、確かにこのケーブルルーティングには少しだけ問題がある。
「欲を言えば改善したい」という些細な違和感程度の不満なんだけど、ブレーキレバーの引きが重くなるのだ。
理由は、くねくねによる摩擦抵抗の増加。
アウターケーブルの中をインナーワイヤーが通る自転車ブレーキの構造上、摩擦抵抗は避けられない。レーバーの引きの軽さ/重さは、ケーブルルーティングに大きく左右される。
(ここら辺の話は分かってる人は飛ばして最後の結論へどうぞ。)
簡単に言うと真っ直ぐなら抵抗は小さく、くねくねすれば抵抗が大きくなる。さらに言えば、くねくねが描く円弧のアールが小さければ抵抗は大きくなる。アウターが長くなっても抵抗は増加する。
ブレーキレバーをニギニギしてスコスコと動くものもあれば、ムギュムギュと抵抗を感じたり戻りが遅いものもある。その原因の1つがこの摩擦抵抗だ。(※注:原因はルーティングだけではないです)
だから、自転車を組み立てる時、Blue Lugのメカニック達はこのルーティングにとっても拘る。
出来るだけなだらかな放物線を描きつつ最短、且つそれぞれのアウターケーブルとのバランスも取りながら最も美しい塩梅で長さを決める。これがケーブルルーティングだ。
試しに店頭に並んでいる自転車を“美しいルーティング”と言う視点から見てみるのもとっても面白いのでお勧めです。
ブレーキタイプや、フレーム形状、アウター受けの位置によっても様々なアールの円弧を描く。
フルアウターでもなだらかな放物線を描けばそれほど抵抗は生まず、軽いレバータッチを維持できる。
フレームの中のを通すルーティングも奇麗な弧を描くと軽い。
勿論フロントも大切で、リア以上に複雑で多様なルーティングパターンが存在する。
ブレーキだけでなくシフト(ギアチェンジ)用も言わずもがな。トータルで美しいバランスのケーブルルーティングを描く必要がある。
大きく脱線しましたが、戻って結論。
僕もWill君を真似てアウター受け通さないケーブルルーティングを採用してみました。僕のフレームサイズだと、ペダリング時に踵にアウターが触れそうだったので、フレーム内側を通してるのはアレンジです。
するとどうでしょう。確かに変わるレバータッチ。引きが軽くなた。合理的にはこちらのルーティングも正解。
(※因みにサブは身長172㎝、サドルハイト70㎝でフレームサイズ55に乗ってます。身長的にはサイズ50(650b)でも55(700c)でも乗れる狭間体型ですが、55からは700cになりスピードに乗ると維持しやすいのがポイントで55選択しお気に入り。充分太いタイヤも入ります。MAXXIS Crossmark Ⅱ 29″ x 2.25″までは実用済み)
固定観念に捕らわれず、自由で柔軟な発想で自転車を楽しめるおおらかなマインドこそがRIVENDELLが魅力的な理由なのかもしれない。
自転車だけでなく何事においても見習いたいところです。
空いたアウター受けには一輪のお花を。