日本で開催されたCMWC2023を今振り返るのには遅過ぎるかも知れない。
あの日の熱気はとても生々しく、その2日間を取り巻く9月は、本当に数々の出会いが怒涛のスピードと質量で押し寄せてきた。
振り返ってみても、もう2度とこんな体験はできないのかも。思い出すだけで熱くなる記憶とは裏腹に、
あんなに毎日騒がしかった店内の喧騒も、街ゆけば会えた彼らの姿も今は無い。
今日は純粋に、自分の思い出語りに付き合って欲しい。
CMWCが近づくにつれ、焦りと共に使命感も湧いてきた。
そんな中ブルーラグスタッフ間や、周りのお客さんにもこの一大イベントをもっと知って欲しくて始めた催し事の数々。
思えばギリギリに思いついた物をエイっとやり散らかしたけど、
今後もメッセンジャーのカルチャーを絶やさないように僕らができる事のヒントを得れた気がした。
SLOW BARNING MANのようなプレイベントもあり、日に日に街中に各国のメッセンジャーが見られるようになり、
これも突発的にだけれどグループライドもした。
手に負えないタフガイ達かもと思いながら誘った厳つい彼らは皆フレンドリーでジェントルだった。
僕らがイメージしているワイルドさ、自由奔放さは柔軟で、
業に従う事も、土地に馴染む事も嫌わない姿は新たな格好良さをそこに見た。
何よりサプライズの上手さとホスピタリティを逆に学ばせてもらったくらい。
CMWCの会場で走る姿はその彼らとは思えないくらい必死で野生的だった。
そんな彼らを観ながら思い出したメッセンジャーだった日の記憶。
その荷物を届けるために毎日必死だった。時間に追われながらトラフィックを読み、無事にその日を終えて皆と美味いビールを飲んだ日々。
ふと目をやると昔からの馴染みのメッセンジャーがあの時の姿で走っている。
もうメッセンジャーではないやつも、現役で走っている者も入り乱れて競う姿を見て、
ああ、メッセンジャーを一度でもした人間は、いつでもいつまでもメッセンジャーでいれるのかなと感じた。
予選敗退し決勝に出れなかった自分がとても悔しかったあれは後輩に遅れをとったからではなく、
もしかしたらあの日のようにまだまだ走り続けたかったからなのかも知れない。
翌日のディスパッチレースでやり切った時、口の中にあの日の美味いビールの味がした。
全てが終わり、翌日から日常に戻された自分にはやらなければいけない事がたくさんあった。
どうにもならないやりきれないニュースもあった。
1週間ぐらいあの日をもう一度やり直したいと思った。
それでも毎日は続いていく。無常ではなく当たり前に。
それでもCMWCのあの日々は本当にかけがえのない思い出だ。
夏の暑さと共に去っていった彼ら。夏の熱さを抱いたまま星になった彼。
僕らの日々は続くし、メッセンジャーは走り続ける。彼らは遠くの地で日常に戻り、僕らもここで生活が続く。
その時その時に思っていたメッセンジャーの熱さ、彼らの生き方、僕ら自転車屋は彼らとこれからもどう関わっていくか。
色んなことを考えては忘れ考えては打ち消し、大会が終わった後もそんな日が続き、今に至ります。
Ride.In.Paradise Patty.
君の姿をブースで見掛けた時、イケてるベストだったから、ちゃんとその話をしておけば良かった。またいつか会おう。
CMWCを振り返るこれを書きながら何度も消した。
あの場所に気のいいメッセンジャー達が大勢集まった熱気は多分、誰でも伝えるのに限度がある。
あの日を経験した皆とは写真を観ながら分かち合いたい。
もしあの場所にいなかった人ならば、思っている以上にメッセンジャーはすごい熱量を帯び息衝いている事を感じてほしい。
どうしても気になるならば毎年行われる世界戦に目を向ける事も良い。なんだったら旅行ついでに行ってみるのもなお良い。
メッセンジャーの火は後100年は消えないんだという事を身をもって、改めて感れるはずなんだ。
このCMWC2023を始めた主催の方々はじめ、ボランティアの方々、
世界中のメッセンジャー、僕らブルーラグに遊びにきてくれた方々、
この場を借りてだけどCMWC2023に纏わる自分発信のタイトなイベントに参加してくれたお客様。
あり得ないぐらいたくさんの良い写真を撮ってくれたマサくん。
本当にありがとうございました。