おちおちしてたら8月終わっちゃいましたね…。課題提出間に合わないまま9月にコレ書いてる自分をお許し下さい。
「もうネタなんか無いんじゃない?」という声が聞こえてきそうですが、意外にもSURLYの歴史と懐の広さがすごいです。
自由研究を書き出してからSURLYへの興味が尽きない。惜しくも伝説になっていった過去のフレームの事や、日本でのSURLYの歴史とか…。
SURLYに纏わる物事には中々掘りがいのある事がまだまだ詰まっていそう。
今日は少し趣向を変えてSURLYの車体以外の事を書いてみようかなと思います。
このネタにしようと思ったきっかけは、このソフトグッズから。
LIZARD SKINというブランドのチェーンステーカバーに、SURLYがプリントを施したコレ。
単純にコレあると自転車も傷付かないしチンチン音もしないし、ギア付きのバイクならば付けておいて損はないアイテムです。
(2デザインの一つにはSURLYからの煽り文句が。アルミフレームも好きな自分は知らんぷりすることにしました。そういう姿勢もあるよね。)
たかがこの商品で何故深掘りを?と思われそうですが、自分は思った訳です。気になっちゃったら本当に何でも作っちゃうなSURLYはと。
そのバイタリティとアイデアがイケてるなと純粋に感じたんですね。
何気に数々のヒットアイテム、時々ある迷アイテムを両方とも作ってきたSURLY。
時が経って今欲しいよ…。みたいな物も少なくなく、そういったものはことごとく再販されることもなく買っておけば良かったリストに追加される事もしばしば。
時代と共に惜しくも無くなっていったパーツ類の話も交えつつ、今も買える意外に良いじゃんコレというアイテムなどなど、
雑談多めでさらーっと紹介出来たら良いなと思っています。マジでさらーーーーーーーーっと書けるように頑張ります。
無理か。
SURLYの記念すべき一発目の商品って、この「singleator“シンギュレーター”」というパーツだったそうです。
ほぼ同時期にRAT RIDE(1×1)のフレームもだった訳ですが、初めてのプロダクトはこのチェーンテンショナーだったそう。
チェーンテンショナーとは、読んで字の如しチェーンを張る為のパーツです。
チェーンを張る為にどうしたらいいかを超絶シンプルに考えたら確かにこういう形になりそう。
この時代、SURLYが生まれる前の話なのですが興味深い記事を2つ見つけたので貼っておきます。
・SURLY BLOG 〈pintz first post: burn the rat! burn the rat!〉
・CARSRCOFFINS 〈HISTORY OF THE HOMIE〉
この2つを毎度のGOOGLE翻訳で自己解釈してみたのですが、
どうやら90年代後半、SURLYの母体であるQBPという超馬鹿デカイ自転車関連企業の従業員の間で、
マウンテンバイクから変速機を外してシングルスピードで遊ぶのが密かに流行していたそうです。
彼らはそんなバイクで毎週水曜日に、夜な夜なビールを求めて街中をぶらついたり、結構暗い中でも気にせずにトレイルライドをしたり、集まった皆で焚き火をしたりと、
表現が難しいですが、日常的に遊べるスポーツ自転車文化とでも言えるような、独自のカルチャーが根づいていったみたいです。
その中で、前回も話に出てきたHAULさんとPAULさん。
PAULさんはこの時既にQBPに勤務していて、このカルチャーの渦中にいました。
(前回気になっていたモヤモヤが解消しました。Pete geigleとPAULさんは同一人物だった!)
自転車パーツを多く扱っている会社に勤務していたため、アイデアはすぐに形にできる環境にあったようで、
そこで生まれたのがこのシンギュレーターと、RAT RIDEだったようです。
チェーンの張り方にも様々ある様でPAULのMELVINは二つの歯車を有するテンショナーなのに対し、
SURLYのこれは一つの歯車でどれぐらいのテンションを掛けれるかを模索して出来た好例だったようです。
(SOULCRAFTにもシングルテンショナーキットがありますがこれも同じような作り。)
とにかく遊びでもハードな乗り方をする、させられる環境下だったようでギミックが多い分高価なパーツよりも、
シンプルで飾りっ気はないけど、壊れにくく手頃な値段で買えるものを作ったんですね。
この頃からその姿勢はスタートしたようです。
(その水曜日のライドのルートは、先導を切った人の気まぐれだったそうです。此の人が先導の時はハードコアなコースが多かったんだとか。なんて自由。)
その他にもバッシュガード付のチェーンリングキット、シングルギアオンリーのハブ、
NITTOメイドのクロモリ製ストレートハンドルなどなど…、
自分達が関わるサイクリングカルチャーの困りごとからプロダクトが生み出されていたのが分かります。
意外に知られていない事かも知れませんが、ジップタイを使うアウター受けを産み出したのもSURLYだと言われています。
(オリジナルエンド金具なども売っているのもこの時代からとは凄い事。確かにカタログに載っている…。)
アメリカのひとつの街のトレイルバイクカルチャーから発生したSURLY。規模は徐々に大きくなり、
車種が増えるのと同じく、パーツなども徐々に増えていきました。ラインナップに偏りがすごかったですが。
とにかくシングルギア。シングルギアに変換できるスペーサーキット。それにまつわるコグ達。singleator専用栓抜きまで…。
中にはシマノの変速ハブを固定ギアへ変換できるアダプターなんかも生み出されたり…。コレはもはや魔改造パーツだよ…。
(2007年のTOKYOでも流行りました。SPINERGYの固定ギアがいっぱい走っていましたね。)
そんな中、このベストセラーアイテムが生まれます。
NICE RACK。2005年に生まれました。
以上原文ままですが、ツーリストだったら確かになーという要素が盛り込まれている超オーバースペックなラック。
LONG HAUL TRUCKERツーリングフレームには、丈夫で手頃で遠出にふさわしいラックこそが奢られるべきだと判断した私たちは、
フロント及びリア用のNICE RACKを設計しました。 マテリアルには剛性があり、アルミよりも修理しやすいという点からクロモリ鋼を選択(驚かれたでしょうか?)
どんな製品であれ過酷な使用環境下においての修理のしやすさを考慮すべきなのです。極めてまれとはいえラックが壊れた場合、
たとえ地球上の人里離れた場所であっても、あなたはTIG, MIGなどの溶接、ロウ付け、ハンダ付けをしてくれる誰かを見つけてともにラックを直すことになるでしょう・・・しかしアルミのラックではそういった貴重な経験は出来ません。
高さ調整の可能なフロントのラックはローライダー、ハイライダー兼用設計です。パニアバッグをローライダーポジションに取り付けた場合には安定した走行が可能となりますが、岩場や轍の出来たトレイルでは悩まされる事になるでしょう。
ラック上段のレールはこういった状況下でバッグを付け替える事の出来るスペースな訳です。この車輪上部の構造は同時に積載容量を増すことが出来、他にスペースがとれない場合、軽量な寝袋や小さなテントの装着にうってつけでしょう。全てのサイズのLONG HAUL TRUCKERフレーム(42cm-62cm)に対応する装着用のハードウェアも含まれていますので、あなたのフレームにもきっと簡単に取り付けられるハズです。
幅広の構造はパニアバッグや寝袋、テント、リマ豆の容器や沢山のハムスターを詰めた小さなかごなどにも十分なスペースでもって対応します。 NICE RACKは耐腐食性とルックスの良さからブラックまたはシルバーのパウダーコート塗装を採用、付属するステンレス製のハードウェアは26インチから700cまで殆どのリジッドフレームならびにドラム、キャリパー、カンチブレーキ採用のフォークに対応します。
その分だいぶヘビーでイカつい見た目ですが、今も多くの旅人を支えている名品です。
僕らだとチャイルドシートを乗せるための土台としても安心して使ったりしています。(耐荷重30kgはすごい。)
彼らが主張するシングルスピード文化を広めるための製品と、
増えた車種に対しては、その文化に真っ向から考えてSURLYなりの提案を形にしているのに痺れます。
あとこれも忘れちゃいけない。
最初見たときは衝撃でした。太すぎるよ。何に使うんだよって。
市販品初のファットバイクであるPUGSLEYと共に世に送り出されたLARGE MARGEリムとEndomorphタイヤ。
このバイクにしか使えないじゃんと昔の自分は思っていましたが、思えば狭い世界を見ていた事に気づかされます。
このリムとタイヤが生み出された事によって、様々なブランドにとってファットバイクの可能性はどんどん広がっていきました。
先見の明があるという言葉では片付けられないパワーをこの歴史上の出来事から強く感じます。
これはPUGSLEYの歴史も掘らなければダメだな…。宿題が増えてしまった。
SURLYパーツの中でもここまでやってくれるのかって思う事があるので書いておきたい。
全モデルのフォークを別売で用意してくれている所。ぶっ壊しちゃった時や、ちょっとやってみたい魔改造の手助けをしてくれます。
ラインナップが増えても必ず別売フォークを用意してくれているのがある種のホスピタリティを感じます。
多くの名作を生み出しながら、中にはこれは先行き過ぎてたよってパーツも。個人的な意見ですよ?
Mr whily crank。見た目からしてただならぬ雰囲気を醸していますがこれは本当にいま欲しい。でも今出すならちょっとブラッシュアップして欲しいけど…。
なんとこれで様々なサイズのチェーンリング、速数、BBシェルのシャフト長に対応出来てしまう変幻自在のオバケアイテム。
しかしながらギミックが多く分かり辛かった、当時のクランクの値段にしてはお高めだった。ちょっと重過ぎた等々…、
(マジで個人的な意見ですからね!!)餅は餅屋な人からしたら別に、的なアイテムもありました。
でもその多様性はマジで今ならいけると思ってます。なんならWHITE INDの30シリーズとかそれに通ずる多様性がある。
(思い出したけどO.D crankなんてのもありました。これも今ちょっと欲しい。)
脱線しましたがそんなこんなでこの時代から今あるラインナップの基盤ができていきました。
初期からだいぶご無沙汰だったハンドルの品揃えが増えたのは2010年から。
OPEN BARというツーリングにもデイリーにも良い感じのハンドルがリリースされました。この形よく覚えておいてください。
その後ちょっと空いてTORSION BARの後継ハンドルとしてCHEATER BARというストレートハンドルも生まれ、
ECRがリリースされるタイミングに出たハンドルがこちら。
現代のハードコアツーリストなら黙って頷くであろうフォルム、実は元になっているのはOPEN BARだそうです。
各所握ってみると確かに良いなというしっくり感が、誰かの手によって作られたプロダクトなんだなと納得させられます。
SURLYを使って旅に出る人々、しかもよりハードコアな使い方と乗り方が増えた故の、
フィードバッグと製品アイデアがこれなんだなと思わされたハンドルでした。有りそうで無かったマルチポジションバー。
そして新たに出た一本が割と世界を揺るがします。
この投稿をInstagramで見る
形だけ見てポカーンとして、商品説明を見てマジかよと思ったこのハンドルの名は「CORNER BAR」。
手持ちのフラットハンドルのバイクを極力パーツ交換せずにドロップポジションが楽しめる特殊な形状は、
世界のみならず日本のカスタマーも刺激を受けたに違いない。発想がすごいよと僕も衝撃を受けました。
実際に自分も試着してみた動画がこちら。バイクの操作感覚がガラッと変わる楽しいハンドルの印象を受けました。
以前一度入荷して即完売してしまい、以降今まで入荷が無くお待ちの方も多いのでは。
誠意生産中の知らせは受けているので気長に待っていただければ幸いです。
近年はハンドルに力を入れているのか、HiHi−Barのライバル(勝手に思ってる)のSUNRISE BARや、
自分でも今使っているTRUCK STOP BARなど、
(ちょっと上がっている上ハン部分と絶妙なフレアの下ハンが謎だけど調子良い。トレイルで下ハンを握る意味が判りそうになった思い出の一本です。)
基本のシングルギアの枠はちゃんと設けた上で、気になった様々な車種に対してのアンサーと、発想の転換を楽しく挑戦しているような、
近年のSURLYパーツラインナップにはそんなFUNを感じています。
今日紹介した以外にもたくさんパーツが生み出され、見渡してみると生産終了の物より今でも残っているパーツの方が多い事に気づきました。
ニッチかもしれないけどニーズがある、好奇心からカスタムしたい時に必ず目に付く。
思えばまた同じのを使ってしまう。いつから使ってるか忘れるぐらい長持ちする。
装飾や軽量化や性能差とは違う視点でつい手に取ってしまうパーツが多いのかもしれないですね。
ある程度書いて満足しちゃってもう終わりの雰囲気ですが、
そういえば肝心のソフトグッズの話を全然出来ていない事に今更気づきました。
SURLYのソックスはなんでウールばっかなのかとか、そんな話をできる良い機会なので次回をお楽しみに。
それでは今日もこの辺で。