まずは、お盆期間中の営業時間のお知らせから。




☆ブルーラグお盆の営業☆
8月9日(火)全店休業
8月10日(水)全店休業
8月11日(木)祝日のため全店営業
8月12日(金)全店営業
以降通常通り営業予定です。

よろしくお願い致します。m(._.)m

ーーーーーーーーーーーーーーーーここからが今日のおはなし。ーーーーーーーーーーーーーーーー

つい先日、SURLYのオンラインストアをひたすら観るという境地に達していました。ふとSURLYをもう一度勉強し直したかった気分だったんです。

そんな中、僕らのお店でも人気車種の一つでもあるストラグラーがふと目に留まりました。

目に留まったというか、実はあまり触ったことない車種かもと思い、歴史がちょっと気になったので調べてみました。

調べていく内に、あれ??っとなりました。あまり無いんです。コレっていう歴史が。

こういうコンセプトだよとか、こんな乗り物だよという、へー、マジかってなるようなストーリーがあまり無いんですね。

彼らSURLYが推してたポイントと言えば、「クロスチェックのディスクブレーキ版」という事と、このバイクの為に開発された画期的な形状のリアエンドの事ぐらい。

自分のストラグラーへの思い出と言えば、surlyの本拠地ミネアポリスに招待された時、

ボスであるPAULさんが通勤バイクとしてプロトタイプを乗っていたのが印象的だった思い出。

プレゼントで作っていったステッカーをすぐ貼ってくれて超うれしかった。

(あの時の自分を叱りたい。なんで全体像撮ってないんじゃ…。てかget downって名前だったのか。)

クロスチェックのディスクブレーキ版か…、じゃあクロスチェックからひも解けばいいのかな?とどんどん深みにはまっている気がする中、小学生のときのことを思い出しました。そういえば自由研究ってあったけどアレちゃんとやってたっけなぁと。

これもいい機会。35歳、夏休み(休みじゃないけど)の宿題的に、

興味を惹かれたモノを自由研究してみるのも面白いのではと思い、このブログを書いています。

数あるブランド、車種の中で、俺が必要なのはコレかもなーという選ぶ参考の一部になったら。

あと自分は身に付ける物や所有するものに、ちゃんとストーリーやコンセプトがあって、それを理解した上で持っていたいというマイルールがあって、

その知識を持った上で触ったり乗ったりする事で愛着も増すし、興味も保てるから持つ前や持った後に調べる癖がついています。

もうストラグラーを持っている人も、これを読んで自分の愛車により興味を持ってもらえたらそれも嬉しい。

多分このブログ、一章で終われる自信が無いので、8月の夏期間はちょこちょこ更新していけたらと思っています。

*SURLY* straggler (52)

早速だけどこれがSTRAGGLER(ストラグラー)。

 

砂利だって何のその。舗装道路はお手のもの。

Straggler は、いろんな地形の条件でクロスオーバー探査用に調整している。デイトリッパーでウィークエンダーなのさ。

「荒れた道」用のロードバイクなんだ。レースに出る素振りなんて全然ないシクロクロスバイクだ。実用的な都会派なんだぜ。軽量のツーリングバイクでもある。そして全天候型のコミューターだ。

道路ならどこだってへっちゃらのスチール製砂利用バイク。それを「マウンテンバイカーのためのロードバイク」だと思ってくれ。君の生活の中でバイクが一台しかない場合、Straggler が唯一無二の選択肢だ。

Straggler の能力はアスファルトを遥かに超える。軽いツーリングの設定もうまくこなす。本格的なツーリングではなく、フレーム バッグやシート バッグ、そして “クレジットカード ツーリング” の話だ。

また、Straggler はオレたちの 8 と 24 パック ラックもうまくこなすので、もっと重い荷物を積むオプションもある。

SURLY本国サイトのSTRAGGLER紹介文から抜粋。

要するにアスファルトも未舗装路も走れて、スポーツでもデイリーでもどんな風でも使える万能フレームなんだよというのが分かる説明。

*SURLY* straggler (54)

『「荒れた道」用のロードバイクなんだ。レースに出る素振りなんて全然ないシクロクロスバイクだ。実用的な都会派なんだぜ。軽量のツーリングバイクでもある。そして全天候型のコミューターだ。』

 

このフレーズが一見あべこべな事を話しているようで、矛盾じゃ無い言葉選びで最高と感じます。スポーツバイク好きだけどレースバイカーではない。

レース用とは違う目線の、実用と遊びへのスペックと使用感には大マジな彼らが作るバイクの説明としては本当に完璧な表現だなーと何回もうなずいちゃう。

*SURLY* straggler (56)
*SURLY* straggler (52)

「荒れた道」用のロードバイクで、

*SURLY* straggler (52)
*SURLY* straggler (54)

レースに出る素振りなんて全然ないシクロクロスバイクでもあり、

*SURLY* straggler (52)
*SURLY* straggler (50)

実用的な都会派の顔も持ちつつ、

*SURLY* straggler (56)
*SURLY* straggler

軽量のツーリングバイクで、

*SURLY* straggler (50)
*SURLY* straggler (52)

全天候型のコミューター。

僕らが色んなお客様へ組まさせてもらった数々のストラグラーをこのフレーズのそれぞれに当てはめるならこんな感じ。

一台でどんな感じでも乗れて遊べるバイクなんだって事ですね。

*SURLY* straggler (38)
*SURLY* straggler (50)
*SURLY* straggler (52)
*SURLY* straggler (52)

こうして振り返ってみても、ストラグラーと言えばこういう組み方だよねーっていう基本形が定まっていないように感じます。

あれもストラグラーでこれもストラグラー。それぞれのニーズに合ったストラグラーがちゃんとカタチになる。

*SURLY* straggler (50)

スペックでいうとディスクブレーキが特徴。今でこそスタンダードになってしまったけれど当時は先駆けでもあり、

この仕様は後でも話すけどユーザーから切望されていた部分でもあるみたい。

*SURLY* straggler (50)

伴って作られた専用リアエンドは、今も昔も、見ても使ってもなるほどーっとなるような天才的形状。

*SURLY* straggler (46)
*SURLY* straggler (50)
*SURLY* straggler (52)

これは自分で弄る人やラックやフェンダーをモリモリにつけている人ならそうそうコレコレってなる場所。

ディスクブレーキでシングルスピードにも簡単に出来て、ホイールの着脱もスムースに行える形の暫定1位なのではと思うほど。

いくつかの写真を張るのでこの構造の良さを想像してみてもらえたら。

クロスチェックのディスク版と言っているけど、

*SURLY* straggler 700C (56)

↑ストラグラーで、

*SURLY* cross-check (56)

↑クロスチェック。

基本的な設計は本当にクロスチェックとほぼ一緒。と思っていたけどジオメトリを見返していて意外に微妙に違う…。



トップチューブの長さもサイズによってクロスチェックが長かったりストラグラーが長かったり結構あべこべ。

と言ってもクロスチェックのディスク版というコンセプトは納得できる各所数値。逆になぜ一緒にしなかったのかが気になる。

来日した時にPAULさんに聞いてみれば良かった…。

顕著に違っている箇所がひとつだけあるんだけど、どこだと思いますか?

*SURLY* straggler complete bike

答えはボトムブラケット。足を廻すところの位置の高さが違います。

ストラグラーのほうがクロスチェックに比べて6㎜程低い。(700c設定の54㎝サイズを比較した場合。)

この微妙な差が何に影響しているのか…。強いて言えばクロスチェックのほうがBB高い分ヒラヒラ動くかもなー…ぐらいの感覚の違い。

逆にストラグラーのほうがどっしりしているようにも思い返せばそう感じるかも?今度試走の時に答え合わせしよう。

(ディスクブレーキで制動力が増えた分、重心を下げて急ブレーキ時の安全性に考慮したとか??妄想が止まらん。)

*SURLY* straggler (54)

↑ストラグラー。

*SURLY* cross check (54)

↑クロスチェック。

他にもストラグラーの方がヘッドチューブ長が高く、低くなりすぎないハンドルポジションになるよう配慮されていたりと、

クロスチェックでココこうだったらいいのに…と思っていた場所がストラグラーで改変されていたりするのもなんだか不思議な感覚。

どちらもどこか足りない、抜けているような、良し悪しとは違う個性が残るような似た2車種で今日まであるんだなぁと、

ジオメトリ表を見ながら希望的観測と妄想に耽りながらしみじみ感じます。

SURLYイズムの摂取過多の状態で、過去のカタログのジオメトリやSURLYブログを掘っている内に、気付くと2013年まで遡っていました。

2013年、それはストラグラーが世界に放たれた記念すべき年でした。

「2013 surly straggler」でググってみました。

当時、BikeradarRADAVISTなどの様々なWEB媒体でも取り上げられていて、その記事がまだいくつか残っていました。

もしかしたらここに何か歴史があるかも…と色々と翻訳。

CYCLOCROSS MAGAZINEという媒体での紹介にはこうあります。翻訳ままだとアレなんで自分なりの解釈のフィルターがかかっています。

不足したニュアンスもあるかもなのでご理解を。詳しくはリンクから読んだり翻訳してみてください。

「基本的にCross Checkだけど少しだけ違います」と Surly の担当者は説明しました。
「ディスクブレーキがあり、ボトムブラケットが少し低く、ヘッドチューブが少し高い」」
「レースバイクのようなスローピングフレームではなく、私たちは水平トップチューブが好きです。
見た目も乗り心地もクールだと思います。」
「シクロクロスでは33cのタイヤで充分かもしれないが、我々は41cのNERDタイヤを履けるクリアランスが欲しかった。
私たちはレースではなくラリーができるバイクが欲しかったのです。」

と彼は付け加え、SurlyクルーはMTBerのその精神をシクロクロスに持ち込みたかったと話す。

レースバイク系の媒体にもこうやって答えたりしているのは初めて見たかも。

自分なりの添削はしていますが、「レースは出れるけどレースバイクじゃないよ」的な説明をしつつ、

「ぼくがかんがえたさいきょうのシクロクロスバイク!!」感のあるレース規定などお構いなしのスペック説明ぶり。

ふと気になって調べたのですが、まだこの時代はシクロクロスはカンチブレーキのシェアが圧倒的に多く、

2012年にコルナゴやLOOKなどの限られたブランドがレース用ハイグレードバイクを出していたぐらいで、

ホビーレーサーな一般市民にはディスクブレーキのクロスはまだあまり浸透していなかった時代でした。

(謎にSALSAは2010年からディスククロスを作ったりしているのですがこの話はまたどこかで。)

多分この時、SURLY的にも転換期というか、時代が変わりそうな雰囲気と風を感じたんだろうなーと思います。

見事にこの後からCXバイクは急にディスクブレーキだらけになり、昨今は巷のロードバイクからシティコミューターまでがディスクブレーキになっています。

個人的にはこのインタビュー内で書かれていたこのフレーズを翻訳した時、ちょっと笑いました。

And the brakes? “The brakes actually work,” he finished. “I said I didn’t need discs on the Cross Check, but we got the Straggler prototypes. So I was riding that for a long time, all winter, and then I got back on the Cross Check after three months, and then immediately sold it. Disc brakes are sick.”

ブレーキについて聞きました。彼は 、「ブレーキはめっちゃ効くわ。」と言った。
「クロスチェックにはディスクは必要ないっしょと言ってたんだけど、ストラグラーのプロトタイプをゲットして冬の間ずっと乗ってたんだよね。
3か月後にクロスチェックをすぐに売っちゃった。ディスクブレーキマジ最高。」

*SURLY* straggler (46)

当時、こんな論争をした覚えがあります。「ドロップハンドルのバイクでディスクブレーキは効きすぎて逆に危なくない??」みたいな内容。
多分どこでもそんな話をしていたタイミングだったのかも知れません。彼らが遊ぶフィールドではブレーキング不足は死活問題だったろうなというのも想像できるし、
何でもできるバイクばかり作るSURLY。ユーザー達がそろそろカンチやV-ブレーキでは止められない遊び方をし始めちゃっているのが見えたのかもしれません。
自分も最近ドロップハンドルにディスクのバイクに乗っていますが(だいぶ流行に遅い)、自分の使い方では逆にもうこれじゃないと不安です。
良いものはやっぱ良いって気持ちに嘘は付けない、噓を付かず形にしてくれたことが、
今のストラグラーをはじめとしたSURLYのオンロードバイク(全然オンロード以外も行けるバイクばかりだけど)の進化や各ラインナップに反映されています。

時代の波を掴んで、頑固にならず良いものは良いと柔軟に認めた結果が今のSURLYなのかなとか思いました。

そういえば話しながらもう一つ思い出した。ちなみに一番初期のストラグラーは700c設定のみでした。

(ファーストモデルのこのグリッターパープルもケバくて良い色でした。)

翌々年ぐらいにまさかの38㎝サイズという超絶ミニマムなサイズ展開を皮切りに、SURLYのモデル内で650bホイールの導入を初めてしたのもストラグラー。

2016年のカタログにはこう書いてあります。

650bのホイールサイズは、小柄な人へもSTRAGGLERの楽しみを与える事が出来ます。

Stragglerジオメトリは、Cross-Checkのルーツを共有しています。 650bホイールをフィットさせるために行った変更により、

700cバージョンよりも剛性の高いフレームになりました。ダートでもこのバイクは自信を持ってスピードを維持できます。

確かこの時期にアレックスというSURLYスタッフが来日して、

38㎝も64㎝も同じような乗り心地になるようにパイプなどを工夫してフレームを作っているんだ。みたいな話をしていた気がします。

ホイールサイズを小さくした結果フレームパイプワークに自由度が増え、その分剛性感としなやかさのバランスを出すことに幅を持たせることができたのかな。と推測します。

(でもさすがに38㎝のフレームはギュッと詰まった作りになるから、剛性は大きいフレームに比べて高い気もする…。今度改めて聞いてみたい。)

650bホイールも今となってはスタンダードですが、その当時はWTBがROADPLUSなるシリーズでタイヤを新しくリリースしたてだったり、

あまり種類も選べるような時代ではなかったけど、少なくともこの650bストラグラーのリリースもあって、

グイっと650bタイヤが皆の見える表舞台に引き上げられてたようにも、当時を振り返ってみればそう感じます。

*SURLY* straggler (52)

二つのメインストリームになるであろう部分を携えて、今日もストラグラーは現役で我々のお勧めしたい一台の選択肢に居ます。

掘ってみて思ったストラグラーへの個人的な印象は、

「SURLYが考えるオールマイティなバイクの進化版、進化の過程。」

クロスチェックという超オールマイティなバイクがあります。それは時代の流れとともに、唯一無二のクラシックでありつつも、

時代と使い方の変化から足りない部分も見えてきていた。それを補うために作られた要点だけばっちりと進化したフレーム。

もちろん時代は当たり前に流れるので、もしかしたら足りない部分が出てきた時、

またその要点が変わって新たなフレームが生まれるかもしれないという意味で進化の過程という言葉も付け加えました。

正直、今あるSURLYラインナップの中では、このオールマイティさは時代にもまだついていけるし、乗り物としても丁度良いと感じています。

進化はまだまだ先なのかな。

キリも良い締まり方なので今日はここまで。

なんだけど、書きながらふつふつと気になり始めた所が一つあります。

「ではストラグラーの元となったクロスチェックの歴史はどんななの?」

次回までにまとめれるかな…。来週のこの時間にご期待ください。

それでは。