ブルーラグの「今」をお伝えするバイクチェックのコーナーがやってまいりました。
今週も分け隔てなく独断と偏見でお客様の自転車をご紹介していきます。
カモン。
*SURLY* crosscheck complete bike
今週もサーリーきってのドル箱アイドル”クロスチェック”が颯爽とエントリー。
清純派路線の涼やかミントグリーンがむしろ、今は懐かしい夏の暑さを思い出させてくれます。
銀色にきらめくパーツの数々、ホワイトにアメサイドのカラーリングが目に優しい”FAIRWEATHER”のcruiseタイヤ、
ナチュラルテイストでまとめられたコルクグリップやBROOKSのサドルなど清潔感ある合わせ方には好感度大。
ゆるやかなプロムナードハンドルに道を急かないシングルギアー仕様がとてもリラックスしていて羨ましい限り。
フロントのチェンリングにはスラックスやスカートの裾を汚さないカバーを装備。見た目もきれいで実用的です。
ブレーキのワイヤーにはシルバーを選択したのも見逃せません。中間色がよくあっていますよね。
*AFFINITY CYCLES* lo pro complete bike
クラシックなクロモリロードに合わせるのがセオリーだと、ある種の先入観に支配されていたのかもしれません。
しかしそれも今日まで。*BROOKS* cambium がここまでLO PROに似合うと誰が予想したでしょうか!
ってのは言い過ぎかもしれませんが、想像以上の相乗効果を生み出したのは確か。
バーテープと座面のカンバス地は、ストイック過剰になりがちなトラックバイクへのよい切り口。
細身のフレームでありながらも”ストリート”やある種の”スポーツ”を感じさせるLO PROのパシュートスタイルには
やはり*NITTO* rb001 ブルホーンバーが最高に相性良いことを再確認。
鉄板を理解した上でニュアンスで遊ぶ、なかなか楽しんで組んだっぽい一台。遊び心は大切。
*SURLY* steamroller complete bike
サーリーの中で最もシンプルなトラックフレーム”スチームローラー”をこれまたアノニマスに表現。
これをご覧になっている準バイクフリークの皆様はお気づきかもしれませんが、、
バイクのディテールを見ていくと、実は飛び抜けて高価なパーツが使われていないことに気づいちゃうはず。
自転車のことを知れば知るほど、パーツを愛せば愛す程に、お金を注ぎ込みたくなる傾向は誰にでもあると思いますが
パーツに目線とウエイトが行きすぎて全体の均衡を崩してしまうようでは本末転倒。ワビサビを大切にしましょう。
そういう意味で良くつりあいが取れた一台。これを機に一歩引いて自分のバイクを見つめなおしてみてはいかがか。
*SURLY* crosscheck complete bike
引き続きこちらもアノニマスな存在感。なんだろう、デカール貼らないのが流行ってるんでしょうか。
「それだったらサーリーじゃなくて良くない?」
って声が聞こえてきそうですが、もし本当にそう思っているとしたらちょっと残念。
盲目的にフレームに入ったメーカー”ロゴ”に信頼を抱き、価値を見出す人たちが少なからず存在する中、
決して「超」有名ではない”SURLY”というブランドを選択し、凝ったペイントを施した挙句
ブランドを表明するデカールを貼らない。これが一体どういうことなのか考えを巡らさずにはおれんのです。
そういった本質的な良さを皆さんと共有できるのは素晴らしいことですし、僕たちはとってもラッキーだなと思います。
(ちなみに最後の写真に出てるブラックのバーコンは近日公開予定です。お楽しみに。)
*AFFINITY CYCLES* kissena complete bike
最後に一番ごっついバイクが登場するこのコーナーですが、今回ももちろん例に漏れませんのでご安心を。
今年度(暫定)最速(最高速度)バイクがこちら。
今年はまだあと4ヶ月残っていますが、すでにマジックが点灯です。
AFFINITYのミグ25こと”kissena track frame”をリペイントした後、ピーキーすぎるアッセンブルでフィニッシュ。
ローター製”マジ”トラッククランクを始め、超ハイフランジのPHILWOOD japan relief hub、
MASHブルホーンバーにMASHステム、ヘッドセットにはケンクリークの110 etc… のスペシャル大回転仕様。
なんの因果かこちらのカスタムもロゴなし単色ペイントのアノニマス仕様。
まあ例えどれだけ無個性にペイントしようとも、このフレームの強烈なインパクトに対しては無意味なのかもしれません。
さて如何だったでしょうか今回のバイクチェック。
自転車屋の自分がこんなことをいうのもアレですが、完成したものが手軽に安価で手に入るこの時代に、
あえて一から自転車を組もうなんて考えは少し変わっているのかもしれません。それに非効率です。
それは普通に生活していれば決して迷い込むことのない迷路、道草、遠回り、あえて水たまりに飛び込む子供の精神、
白線の上を歩いて帰る、石蹴り、駄菓子屋、グミチョコレートパイン、とかそういう選択です。
大人になって思い返せばなんて下らないんだと思うでしょう。
合理的ではありませんし時間の無駄です。まっすぐ家に帰って宿題をしろと思います。
しかし時に宿題を放り出してでもやる価値のある道草もあるでしょう。駄菓子のうまさに偽りはありません。
遠回りしてこそ見える景色もあったりなかったり。そういう楽しみが自転車カスタムにはある気がします。
無駄っぽいことにこそ実は本質が隠されているかもしれません。楽しさに理由はありませんし。