上馬店のタニです。

本日は、新たに取り扱うことになったパーツブランドのことを書きます。
「SHOVEL RESEARCH」、オレゴンはポートランドで作られるパーツの取扱いがスタートします。

作り手である彼女を知る人にはこの写真が有名かもしれない。

グラント=ピーターセンが撮影した写真、プロトタイプのGUS BOOTS WILSEN(もしかしたらSUSIE)に乗る彼女が、「SHOVEL RESEARCH」デザイナー/エンジニアのSalさん。

彼女が作るパーツは、ちょっと普通じゃなくって、きっと皆さんにもゾゾっとしていただけると思います。個人的にこのアナウンスができることがとっても嬉しいです。

さてさてどんなパーツたちなのか、でもその前に、

・・・
最初の出会いはいつだっただろう?
Ride with ULTRADYNAMICO 2023 Portland
それはMADE Bike Show  2023、ポートランドの早朝。

ウルトラロマンスことロニーと、パトリックのULTRA DYNAMICOコンビ、CUB HOUSEのショーンに誘われて、ライドのためカフェに集合したときのこと。

僕らが乗る自転車を彼らが手配してくれたのだけど、僕はライド開始までロニーとパトと自転車オタクトークに花を咲かせていました。
Ride with ULTRADYNAMICO 2023 Portland
その中に、見たことのないパーツが散りばめられたSAM HILLBORNEが一際目立っていたので、ロニーとパトに聞いてみた。

「これは誰のバイク??」「このパーツはどこの??」
Ride with ULTRADYNAMICO 2023 Portland
ロニー「僕らの友人Salのバイクで、そしてそのブレーキハンガーは彼女自身が作ってるものだよ」

このフォークセンター穴につけるハンガー、ここまで突き詰めたモノって初めて見た。。

バイク自体も、
Ride with ULTRADYNAMICO 2023 Portland
Ride with ULTRADYNAMICO 2023 Portland
Ride with ULTRADYNAMICO 2023 Portland
センスよい塩梅でOLDパーツを混ぜてあって、ステッカーなど小さなDIYからパーツのドリリング/フェンダーの分割など凝ったDIYまで、美意識あってマニアックなビルド。

このバイクの持ち主めっちゃセンス良い人なんだろうな、というのが最初の印象でした。

・・・
このポートランド滞在時に、彼女と話すことはできなかったのだけれど、日本に帰ってからどんな人なんだろう?と気になり、

調べるたびに、彼女がデザインして作るパーツやバイクの随所から感じる「狂気の美意識」に惹かれていきました。

フレームも作ってるの?

CHAPMAN(現代最強と言われるランドナービルダー)にも乗っているの!?

・・・なんて驚きの連続だったわけですが、

ブレーキハンガー以外にも新作パーツラインナップもどんどん増えて、パーツメーカーとして形を成していったその開発力、そしてその手から生み出されるプロダクトには、

この美意識と狂気。

いつの間にかShovel Reasearchの大ファンになってしまった。造形・色彩、HPの写真、パッケージのデザインに至るまで、この人とんでもない。

「ぜひお店で扱いたい」とコンタクトを取ったのが始まりでした。

・・・とこのメーカーの魅力を伝えるには彼女のことを書くのが一番なので、この度インタビューもさせてもらったのですが、超長くなりそうなのでそれは後日続編ブログを書くとして、まずはカタログ的に彼女の作るパーツ達のご紹介をしていきます。

ーーーーー
Shovel Reasearchのパーツ達は、単体では何に使うかわからない細かなものが多いけど、PAUL Melvinなどにも通ずる「その物体だけで惹きつけられる」魔力を持っていて。

他ブランドとは違うセンスのアルマイトのカラー色彩感覚と、質感、美しさにゾクゾクしてくださいませ。

【WRT cable hanger 】
Salさんの敬愛するビンテージパーツをソースにデザインされたカンチブレーキの「チドリ」。ローラー部分にアーチワイヤーを掛けるプーリースタイル。

バイクについた正解の姿はこちら、好きなバイクの写真から。


(このBGすごく好き)
Shovel Researchのパーツは、RivendellにもCRUSTにもSURLYにも、とっておきのハンドメイドバイクにもOLDフレームのレストア・リビルドにも、フレームの”匂い”に隔てなくジャンル超越して何にでも合うのがすごいところ(PAULみたい)

自分のSam Hillborneはこのチドリを使いたくて、カンチブレーキで組んだと言っても過言ではない。

普段はシルバーばっかり選んでしまう自分ですが、Shovel Researchはカラーもの攻めたくなる。
この青リンゴのようなグリーンに手が伸びました。

そしてMy Charlie Gallopにも導入。こちらはセンタープルブレーキと合わせて使っています。
*RIVENDELL* charlie h. gallop (53)
ローラー部分が外せるので、両タイコのワイヤーも架けることができるのもポイント。カンチブレーキLoverの皆様にぜひ使って欲しいチドリです。

(これは商品ではないですが、このチドリとSalさんの愛する工具が収まる「組み立て用トレー」まで3Dでデザインしちゃうのも狂気で、このブランドの魅力を語る上で外せない余談。)

そしてお次は先述のブレーキハンガー、

【FMBCH】(Fork Mounted Brake Cable Hanger)

「フォークの真ん中に付けるツノみたいなカンチ受け」なんてメカニックが呼ぶしかない、稀に見かけるハンガーシステム、

あまり格好良ろしくないチープなものは今まで見たことあったのですが、それをここまでブラッシュアップし作り込んだものは、おそらくこの世にこのFMBCHしか在しないと思います。

きっと世界中のメカニックが「アレをこんなに格好良く作ったの!」って。

フォーククラウン中央の穴でブレーキケーブルを受け止めます。

(僕がブログを書くと写真の比率的に「Rivendellに合わせるブランド」という印象を与えてしまうかもですが誤解で、PAULのようにさまざまなジャンル・色々なフレームに合わせて使って欲しいです)

例えばこれは一周のBLACK MOUNTAIN Monstercross、
*BLACK MOUNTAIN CYCLES* monstercross (52)
こういうステム下にあまりスペースがないバイクにもとてもおすすめ。ワイヤーが窮屈になるのを防げるし、ハンドルバーバッグの邪魔にもなりません。

また、サイドの3つ穴には実はM5のネジが切ってあります。何に使うか、あなたのDIY脳を刺激されちゃってください。

CRUSTのROMANCEURやLIGHTNING BOLTを前傾ポジションで組む時にも、コラムを切り過ぎたスレッド1″フォークバイクやハンガーがつけられないOLD MTBにも良いですね。

別売りのスペーサー(これもすんごい精度で作られてレーザーでロゴが入っていたり)を使えば、「ヘッドセットとのクリアランスを確保したり」「フロントラックと共存したり」もできます。

お次。

【BTB 】(Barely There Brake booster)
古き良きリムブレーキマウンテンバイクの時代に存在し、DISCブレーキの台頭によって姿を消してしまった「ブレーキブースター」。

OLD MTBが好きな方でブースターフェチの方もいるんじゃないでしょうか。

その役割は、ブレーキング時にムニュッと「フレーム側がたわんで」制動力が逃げるのを防ぎます。

バイクについた姿はこのよう、モデルはサブちゃんのRON’S BIKES R-Werks EVOO。
Salさんがウルトラロマンスと仲良しということもあって、RON’SやCRUSTなどの”ロマンス関連フレーム”は、どちらもリムブレーキを信じていて親和性高いですね。

PAUL MOTOLITEブレーキと合わせるとその削り出し感とんでもないです。

往年の名品ブレーキの顔が脳裏にチラリ。

もちろんカンチブレーキにも有効です。
*RIVENDELL* joe appaloosa (51)
極限に削り込みしてあるので重量はほぼ空気、30g以下。AppaloosaやATLANTISのHilliBike化にも良いですね。
*RIVENDELL* joe appaloosa (51)
装飾的に美しいだけでなく、止まる力(制動力)とレバーのタッチ両方がパチっ!と良くなります。
こちらもセンターの丸穴にはM5のネジが切ってあり、そそられるDIY脳、KOMAライトの出番なのでしょうか。このネジ穴使って何かしたくなる、SINEWAVEとかうまく付けられないかな。


【TC-1 aluminum top cap】

これは他のパーツ達に比べると用途は一目瞭然で、その通りステムトップキャップ。

浅はかなワタクシ、最初はただ「ポートランドで高精度に削り出された美しいデザインのステムキャップ」としか思わなかったのですが、デザインのソースを聞いたら流石過ぎて痺れました。
彼女が影響を受けた家電デザインがソースだそう。

僕はこういうの疎いのですが、工業デザインマニアにとって名作プロジェクターの”冷却フィン”がインスパイア元だそう。

家電やプロダクトデザイン詳しくないけど、そんなものにフェチ感じてそれをステムキャップに落とし込むなんて。

調べてみると(以下 永井一郎氏(サイアム=ビスト)の声で脳内再生してください)

『ドイツの名門デザイン会社 ブラウン(Braun) の傘下にあった Nizo(ニツォ) ブランドから1964年に発売された、歴史的な8mmフィルムプロジェクター「Nizo FP 1」。20世紀を代表する高名なプロダクトデザイナー、ディーター・ラムス(Dieter Rams) と ロベルト・オーベルハイム(Robert Oberheim) によって設計されることとなる。』

・・・む?ここでピンときた人はRivendellマニア。

そう言えば最近のグラントさんのブログにこのDieter Ramsさんのデザインの記事があったっけ。

好きなものと好きなものの点と点が線になる快感。ちなみにSalさん曰く、

「このキャップを冷却フィンとして、あるいは単にステムに建築的なアクセントとして、”溝の向きを進行方向と平行に”取り付けると”非常にエアロ”です」

というユーモアがめっちゃ良い。

そして、このブランドの象徴的なプロダクトだと思っているこちら、

【Barrel Adjuster

なかなかこのアジャスター部分だけをパッケージしているメーカーは少ない。他だとParagonやPAULなどでしょうか。パーツというよりもっと小さな単位。

この小さなプロダクトについてSalさん、

「数年前、バイクスワップで見つけたヴィンテージのダウンチューブアジャスター。ブランドやメーカーのマークはなく、調べ尽くしてもまだ誰が作ったのかわかりいません。Shovel Researchのこの真鍮製アジャスターは、あのヴィンテージセットへのオマージュです。真鍮はねじ込みビットに最適な素材であり、何年経っても現在と同様に簡単に回転できるからです。」

これも、身の回りの「愛すべき小さなもの」がソースに生まれた、これもフェチから生まれたプロダクト。

・・さて問題、ところでどこに使うのだろう? ぜひ自分の愛車を指差し確認、どこにこのアジャスターが収まるのか探してみてくださいね。

例えばそれは、

まずはソースになったビンテージと同じくダウンチューブの、W-Lever台座のココ。

フレームによっては他にもあるかも?

例えばMonstercrossならここや、
*BLACK MOUNTAIN CYCLES* monstercross (52)
シートチューブのここにも。

ネジ穴には規格があるので、全てのアジャスター受けに付けられるわけじゃないんですが、こりゃあ試されている、僕らに向けた大喜利です。

お題に参戦。

うーん自分のフレームにはアジャスター受けがついていないな・・

待てよ?

NITTOのハンガーとドッキングの合わせ技。

まだ何かアイデアがありそう、思いつけ俺、

これはどうだ!いつか使おうと工具箱に眠っていたRitcheyのフロントハンガーにドッキング。

些細だけど愛車のお気に入りポイントがジワッと上がるこの感じ。

ネジ部の太さは5mmと6mm2種類あって、5mmはスプリング式とロックナット式が選べます。指で触る部分の溝にOリングをつけることもできます。

ヒントはこれのみ、どこにこのアジャスターを使うかはアイデア次第、皆さんと各店メカニックの腕の見せ所。

良いアイデアあったらシェアしてくださいませ。

そして無視できないのが、レーザーでロゴが刻まれた、捨てずに取っておきたくなる缶に入っていて。
「ミツロウやお好みの軟膏入れに再利用することができます」だって。素敵。僕は花粉症の薬入れにしました。

そして最後の余談。

缶も素敵なんだけど、このアジャスターを保持してる型紙。紙とも思えんピシッとすんごい精度。

多分だけどこれさえもSalさんのデザインで、彼女の作品なんだと思う。この人本当に気が抜けない。

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・・・だいぶブログが長くなりましたが、これで全部じゃないんです。Salさんにしたインタビューも載せきれていない。でも、端折りたくないので後編に続きます。

新しく扱うことになった「SHOVEL RESEARCH」の魅力、フェチをくすぐられたのは僕だけじゃない筈。少しでも伝われば幸いです。

後編に続きます。タニでした。