今年も宜しくお願い致します。金子です。
新年一発目のブログは新商品のお勧めから。
とは言っても、少し前からあったモノがあるキッカケで急に輝いて見えた物だったり、
昨年より取り扱いを開始したあるブランドが、またもやヴィンテージパターンのタイヤを作り、
そのブランドのボスに直接出会えた事で、そのブランドがより好きになった事だったり。
そんな二つを思い出話と共に、今日はご紹介しようと思います。
出会いは、昨年のMADE SHOW。
まずは数ある展示バイクの中で、一番心に残ったかっこいいバイクに付いていたものがこれだった。
ステンレス製のスリムなヘッドパーツ。のちにこれは、
*ENDURO* ec34/ec34 headset (stainless)
という事が分かった。
このバイク自体、実は公式に出展していたバイクという訳ではなく、
YAKIMAというカーラックの出展ブースで取り付け例として何気なく置かれていた車両で、
谷さんやチューヤン君のブログでも度々出てくるCAMERON FALCONERが作ったハンドメイドシングルCXだった。
MADE SHOWの初日、どうやって中に入るんだろうと4人でワタワタしていたら、
イカしたZO BAGを背負ったカッコいい男性がフェンス越しに。
それが弊社裏ボスが突然連れてきたキャメロンでした。
(しかも電話中のBilenkyの翁がフレームインしているミラクル。)
MADE SHOWに無事入れた事よりも、
羨望の眼差しで見ていたバイクの作り手にノーモーションで会えてしまうこの環境にまず面食らった。
謙虚で飾らない、そして乗る人を思ってフレームを作っているビルダーだというのは、
谷さんから伝え聞く話だったり、谷さんのMTBフレームを乗らせてもらう度に強く感じていた。
名は体を表すのは本当で、物静かだけど優しく、そしてフレンドリーな彼だった。
また後でねと別れ、さあ会場内にというところで現れたのが冒頭のバイク。
YAKIMAのスタッフの私物バイクか?超渋いじゃんかよ…。さすがMADE SHOW。
などと思ってまじまじ観ていた時、妙にヘッドパーツが気になった。
スリムでフレームにマッチングしてカッコ良すぎる。FALCONERのオリジナルで作った物かな。そもそもこれはベアリング入ってるのか?よくみたらこのレバーって…。
と、ヘッドパーツから始まり他のディテールにも目が行く。
あとでキャメロンに聞いてみるよ、ここまだ入り口だよ!中にもたくさん観るものがあるよ!と、
裏ボスにその場から引っぺがされ、会場に入った。
ずーっと、あのヘッドパーツが頭から消えなかった。
その日の終わり、あの青いバイクはキャメロンの私物だという事を知った。
翌日バイクチェックをさせて貰える事に。
…そういえばヘッドパーツの紹介をしたいのに思い出話で全然始められない。どうしよう。
KEIRINのCOLUMBUSチュービングがあってさ、それをこうして、だからここはこうで…、と、輝いた目でこのバイクの事をたくさん話してくれた。
凄かった。特に何に感銘を受けたかといえば、圧倒的な人間力というか、
他者に対しての向き合い方、自分に纏わるものに対しての向き合い方にとても魅力を感じる方だった。
そのシンプルなフレームの中に隠されたディテール、それに纏わるストーリーとロジックが、
ただただ正直で偽りのない事が分かる、等身大で誇張のない「道具」で「相棒」を作り上げていた。
まるでフレーム、ひいてはバイク自体が生きている物なのではと思うくらいに生々しく、
写真を見返している今も受ける衝撃がある。
情熱だけでは絶対に出せない魅力を纏っている事、それはセンスとか信条とか歴史という言葉でも説明し足りない、
自転車と人と向き合う事をずっと諦めずに生きている、クラフトマンスピリットを強く感じた。
そして件のヘッドパーツに関しては、意外にあっさりとした回答だった。
「ENDUROって知ってるでしょ?そこから出てるヘッドパーツだよ!ほら、トップキャップ見てみ。」
ほ、ホントだ、ENDUROのトップキャップだ。
ハブとかBB用のハイグレードベアリングメーカーとしか思っていなかったから見過ごしてた。ヘッドパーツなんてあったんだ。
「昔から親しい友人がENDUROで働いているんだ。このヘッドパーツは3年前くらいにリリースされて、見た目のスマートさが好きで自分用でよく使っているんだよ。」
「このスマートさには秘密があってさ、ベアリングのアウターリング自体がカップになっているんだ。」
最初は理解に時間が掛かったけど、日本に帰ってきた僕は早速オーダーした。
いざ触ってみて、納得した。確かにこういう風にヘッドパーツを作る事も出来るねと、
一本取られた!といういい気持ちだった。
ヘッドパーツがベアリングそのものになっている。
あるいはベアリングが剥き出しのヘッドパーツ…。
分かりやすく伝えると語彙力低下するけど、これ以上に見た目を伝える表現は無い。
その効果とは、嵌合性を少なくする事で歪みを減少させる事や、
単純に縮小させる事で生まれる幅や高さの省スペース化。
シビアなライダーにとってはスタックを下げるための大きな助けになり、
空気抵抗を減らす…?助けにもなるかもしれない…。
それでいて従来のヘッドパーツと遜色のない性能を持たせるためには、
と考え生み出された結構画期的なシリーズだと、見れば見るほど興味が湧いてきた。
ラインナップには44mmヘッドチューブ用のzs44/ec44 Maxhit headset (stainless/silver)や、
white industriesの30シリーズなどに使えるBSA Maxhit bottom bracket (stainless)など。
SURLYやCRUSTのフレームなどでもフィットする規格のものを僕らは取り揃えることに。
自分の持っているバイクにも当然、すべてフィットするものだった。
ヘッドセットは2つ、BBは1つ買った。KINGからもPHILWOODからも浮気することになった。
思いの外リーズナブルに感じる(だけ)の値段だというのもこの暴挙の要因かもしれない。
早速BMC ROADに取り付けて軽く乗ってみたけど、あのENDURO製のベアリングだからなのか、
動きの軽さが特に印象的な操舵性。MIDNIGHTも早く試してみたい。
このブランドといえばやはりベアリングで、
特にロードバイクのハブやBBでその名を聞く事が多いけど、
ブランドヒストリーを観てみると現オーナーのマットさんが実は過去にGary Fisherで働いていたり、
マウンテンバイクのサスフレーム可動部をずっと設計していた人だったりと、意外にオフロード気質なルーツというのが親近感をより持つきっかけになった。
WHITE INDUSTRIESがENDUROのベアリングを使っているのも昔からの仲だからだそう。
(古のパリルーベで話題になったビアンキのフレームをデザインした人でもあるそう。)
こういったブランドならではなメカニックエプロンも抜かりなく。
ENDUROらしいこれといったギミックは無いですが、
確実に信頼される見た目になるので我こそは敏腕メカニックだという自信のある人はぜひ。
そして折り返し地点。もう一つの出来事はまさかのポートランドでこの人に出会えた事。
やっと本人に会えた。HOUSE OF LOOPTAILというブランドを営んでいるWAKE MANさん。
とにかく上の動画を観て欲しい。
緊張してモジモジしまくりの自分が撮られてて恥ずかしいけど、
それくらい、僕にとっては本当に一度は会いたかった人だった。
この二つのブログポストを見てもらうと、僕がなぜこんなに熱心かが分かると思う。
その彼が放つ新作タイヤはその名も、
“コンペティションデュース”
彼曰く、初期のBMXやクルーザーが全盛の時代、
つまり彼が過ごしてきた若き日の自転車達に強くインスピレーションを与えたのは、
「MOTOCROSS BIKE」だという。
その分かりやすくイカつくてカッコいいパターンのタイヤは、
モーターサイクルに憧れるキッズの心を鷲掴みにしたのはもちろん、
その当時進化の過程であった自転車の“ある文化”に見過ごされるはずはなかった。
それこそがクランカーをはじめとするマウンテンバイクの黎明期の時。
ミツボシや井上ゴム(IRC)などでも、自転車用の「モトクロスタイヤ」がたくさん作られたそうで、
土遊びをする乗り物には必ずといって良いほどにMOTO BIKEのエッセンスが抽出され、生かされていた時代だったよう。
時は流れて現在、自転車の進化は止まる事を知らず、
どれもが「より早く」「より軽く」「より強く」「より安心して」を目指し、
それらが名を馳せるよう大きくロゴの入った、
ブランドイメージで選ばざるを得ないような“商品”が多くなり、
その、単純明快に童心を揺さぶるようなカッコいいタイヤというのはどんどん消えていった。
見た目も雰囲気も、ただ直感的にカッコよくて楽しいタイヤがあっても良いのに。
そんな気持ちをいっちょ形にしてみるか!
絶対に俺と同じ気持ちのやつらがたくさんいるはずと、彼は勇気を持ってこのブランドを初めたんだなというのが、
彼と楽しくお喋りしたあの日を思い出すとしみじみ感じられる。
そんなこのタイヤは前回に発売された「SNAKE BELLY」と同じサイズの26インチ。
もはや僕らのお店に既存であるフレームでフィットするのはSURLYの「DISC TRUCKER」ぐらいしか無いけど、
これから26インチのタイヤはどんどん少なくなっていくし、
誰もそこに突っ込まなければ、カッコいいタイヤが選べなくなる未来が必ず来るのだと思う。
もしもVANSのオーセンティックとスリッポンが廃盤になって、
SALOMONかNEWBALANCEかクロックスしか履けなくなる未来があったとしたら超怖い、
と共感覚を覚える人がもし居たら、このブランド、タイヤの存在意味がなんとなく理解できるはず。
履けるバイクを持っている人は本当に羨ましい。
今僕はこのタイヤを履きたいが為にフレームを探しているくらいに。
フォークしか無いものにタイヤをはめて眺めるくらいに。
(本当に幡ヶ谷店に私物の26インチマウンテンフレームが無かった。少し寂しい気持ちになった。)
楽しいだけでも、カッコいいだけでも生きてはいけない。
でも、心に嘘をついてカッコよく無いものを、楽しく無い事を価値に変えていく事もあるし、
それが苦しい時だってある。綺麗事や情熱だけではご飯は食えないのだ。
そんな葛藤をする人がたくさん居て、その中を飛び抜けて、
カッコいいとか楽しいを不安ながらも、グッと推し進めていく先輩達は僕にとって本当に刺激的だ。
その不明確だけど揺るがなかった彼らの小さな自信が、僕らを奮わせる。
僕ももっと多くの事を知り、動き挑戦して、人を奮い立たすものを作りたいと、
このブログの締めくくりを悩んでいて思いつき、今年の抱負にしようと決めた。
(そういえばHOUSE OF LOOPTAILのタイヤが履けるバイクを手に入れるまでは、このステッカーで我慢しようと思う。)
今年も存分に楽しんで、それがお客さんを楽しませれて、
カッコいいと思われる仕事が出来るように頑張ろう。
それでは。





































