上馬店のタニです。
今日はRivendellの自由研究ブログを書きます。
久々のSam Hillborneのリリース、ドキドキしましたね。

昨夜オンライン発売でしたが(ブログ執筆現在11/29)新たなSam乗りは各地に誕生したのでしょうか。

バイクの全貌、フレームのハイライトは「まっちゃんブログ」をぜひ読んでくださいね。
オーダーいただいた新色の個体はまだ組めていないので(もう少々お待ちを!鋭意組み立て中)過去僕が組ませていただいたSam Hillborneでお気に入りを何台か。



この人は街乗りに特化させたんだな、この人は前後積載でお好きなキャンプ・アウトドアで遊ぶのだろう、グラベル特化で組んだこのオーナーはその後カスタムして全然違うバイクになったな・・・バイクを見れば思い浮かぶオーナーの顔。愛車は乗り手を移す鏡、なんつってそれは本当だと思います。
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これから組み立ての、新Sam Hillborneのフレームをバイクラックにぶら下げて、退勤後のピットでモワモワと考え事してみました。

まずSam Hillborneの色について書いてみます。Rivendellの醍醐味の一つ、毎ロット気まぐれに変わるフレームカラー。その一期一会の刹那の出会い。
上馬店の今日現在の受注状況だと、やはりセージ人気が優勢なんですが、このマスタードも個人的推しカラーなのでそのお話を。皆さんのお気に入りの色になってくれるかしら。
自分にとってのマスタードは、このClem Smith Jr.の初期ロットで乗っていた思い出のカラー。この色に一目惚れして、レザーサドルはブラックがいいな?バーテープは何色にしようかな?と脳内にビルド欲求と完成イメージがブワッと広がったのを思い出します。
全然関係ないけど、このCLEM H-styleなんで手放したんだろう、いまだに歯軋りするくらい後悔しています。
そしてこのマスタード色のRivendellをさらに有名にしたのは、

RadavistにこのJoe Appaloosaが掲載されたときじゃなかろうか。このバイクカックイイですよね。店頭でたくさんお客様とこのバイクの話をした記憶があります。
そして僕がこの「マスタード」(と似た色のもう1色「ダークゴールド」)を贔屓目で見ちゃう理由がもう一個あって、

昔アメリカ製時代に「バタースカッチ」という名前で似た色の設定があったそう。この雰囲気とネーミングが最高にかわいくて、脳の内側にこびりついている。
我々日本人はチェルシーを思い出しますね、この色↓

いっそのことマスタードじゃなくてこう呼べばもっとこの色の良さに気づいてくれる人増えそうなのになー、なんて思うんですが。
厳密には当時のあの色と全く同じ色ではないのだろうけど、僕は勝手に”バタースカッチ”とそう呼ぶことにしよう。その方がかわいいし、「言葉」が与えるパワーってありますよね。”マーメイド”とか。
でも、食べる分にはヨーグルト一択でしたよね、チェルシー。

この色のフレームがあったらそれも格好良さそうですね。
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色々書きましたが、このバタースカッチも伝統的な格好良い色なんです、ということをお伝えしたい(後半飴のこと考えてましたが)。相対するもう一色が10年ぶりの名色セージと相手が悪いのがかわいそうなので、大好きなこの色の魅力をお伝えしたい。
「マスタード ≒ バタースカッチ」このSamに限らず、Rivendellの大事な色なので以後お見知りおきを。
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そして新Sam Hillborneのめっちゃ気になっていたファクター、

このロットからRC-04フォーククラウンに変わって、クリアランスが広がりました。
太いタイヤが履きやすくなったことに加え「Vブレーキをパカっと解放した時にホイールを抜きやすくする」目的もあったみたい。もう抜く時ゲンコツでホイール殴ったりいっぱい空気抜いたりしなくて良いのは嬉しい。
個人的にはフェンダー(泥除け)も幅広のものをつけやすくなったのが嬉しいです。

試しに55mm SKSフェンダーあてがってみました、余裕ですね。

ノギスを当てる。この写真良く撮れた。本当にチェルシーみたい。
対してこれはシャミの古いSAM、幅の狭いフォーククラウン。

結構違うんですね。55mmフェンダーのむぎゅむぎゅ具合が伝わるでしょうか。
今まで幅広フェンダー付ける時ちょっと加工や工夫が必要だったし、余白を求めて45mmの細いフェンダーをつけちゃうと付けれるタイヤが細くなっちゃうジレンマもありました。
(僕のHOMERがそう、38mmタイヤを履いているが本当は42mmにしたい)
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15年くらい前。アメリカ製のA.Homer Hilsenが終了して、その代わりのカントリーバイクとして生まれたSAM HILLBORNE。
(↓↓↓初期ロットかウォーターフォード製のプロトタイプか、当時のSAMの写真)

それがいつしかVブレーキになって、そして今回フォークの変更がなされて・・・このHOMERとSAMの関係はストIIのリュウとケンみたい。
最初はそっくりだったけど、だんだんそれぞれの個性が出てきて別物になっていって、昇龍裂破とかできるようになっていった。
そして「HOMERとATLANTISの間を埋める」って確固たる地位を確立して、いつしか人気1,2を争うモデルになっていった。
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新SAM良いなあ、このHOMERとの対比も面白いなあと夜がふけていく、僕のHOMERも旧SAMと同じ細いフォーククラウンなんだよな、ノギスをあてがってみます。

シャミSAMと同じ旧クラウンですね。必殺技が同じ頃のリュウとケンです(しつこい)
ん?待てよ
最近組ませていただいているお客様のHOMERやGallopなどの細RIV、無意識だったけど、55mmの大きいフェンダーが付けやすかった気がする。
あれ????
これは今組み立て中のお客様の最近のHOMER、あわててノギスを当てる、

うわーー!!!直近のHOMERは幅広RC-04クラウンになっている!この変更気づいていませんでした。
もしや、

CHARLIE H.GALLOPもやっぱ幅広RC-04クラウンか・・
今回のSam Hillborneがマ・クベが提唱する「フォーククラウン幅広計画」の第一弾かと思ったらどうやら違うみたいです。このブログ書きながら今気づきました。
ってことは旧細クラウンはROADINIだけ??
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とはいえHOMERとGallopはキャリパーブレーキなので、タイヤの太さには限界があります。
新クラウン+Vブレーキの新Sam Hillborneのクリアランスは大きな魅力なわけですな ↓↓↓

本国の写真、やっぱ男子たるもの50mmタイヤ入れてみたいですよね、めちゃくちゃ格好いい。

万能だがAtlantisとAppaloosaよりキレがあって軽快、軽快だがHOMERよりガッシリでタフ、それが僕の思うSam Hillborne。試乗車用意してあるのでぜひ乗りに来てください。
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ちょっと飴とかストIIとかふざけすぎたので、真面目なことも考えてみます。他のモデルにないSAMのハイライトの一つ、

(Rivendellにしては)短いチェーンステー、これが乗り味も見た目の佇まいも他のモデルと一線を画すところです。
これは「短くデザインされた」のではなく、「当時はHOMERより長くデザインされた」けど「以降のモデルがもっともっと長くデザインされていった」ので「今見ると短く見える」ということです。

センタースタンドのつかないROADINIを除くと一番短いデザイン。フォーククラウンは変われどここは変わっていなくって、

(比較サンプルでAtlantis、リアタイヤと縦パイプの隙間を比較してください、同じフレームサイズで6cmくらい違います)
僕はグラントさんが提唱するロングチェーンステー心棒者ですが、

このルックスの前ではそんなこと忘れてしまう。本当に格好いい。
この短いチェーンステージオメトリーは、現行モデルの中だと最も昔にグラントさんが引いたジオメトリーということになります。
つまり”今手に入る最も古い”グラント作品であるということ。これが興奮します。
(もっと昔からあるAtlantisやHOMERはその後ガラッと違うロングチェーンステージオメトリーに引き直されています)

Samがこのジオメトリのまま作られているのは、僕の憶測・妄想ですが、70歳を超えて今なお進化していく天才グラントデザイン理論の「あのとき」を保管する意味、
どんどん進化していくものだけど、「あの時」のバイクの完成度と美しいシルエットに支持者がいて、魅力があって、それを残す灯台なんじゃなかろうか、、セーブポイントなんじゃなかろうか、、
なーんてそんなの憶測で考えすぎ、僕の妄想なんですが。
でもそう考えると、逆に最新のグラントさんの作品はCharlie H.Gallopなので、その2モデルを対で比べてみるのもとっても面白いです。15年で何が変わっていったのか。
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本当はこの後ウールフェルトグリップ=「GRANT GRIP」の事も書こうと思ったのですが、

なんだかフレームの話が(自分の中で)盛り上がりすぎたので、

ここから書くと倍の長さになっちゃうので次回に書きます。
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長々ごちゃごちゃ書いてしまいましたが、乗るのも組むのも愛でるのも最高なのがRivendell。Sam Hillborneに限らず皆さんに乗って欲しいのです。ぜひ組ませてください。
最後まで読んでくれた方がいましたら、本当にありがとうございます、タニでした。