上馬店のタニです。
きっとお客さまより僕の方が見たかもしれない。MADEの模様のYoutube、見ていただけましたでしょうか。楽しそうな一周が若干腹立ちますが、ぜひみてくださいね。
自社Youtubeを見る時僕はだいたい晩酌しながらですが、最近のアテはこれです。
これを買い占めて焼き鳥屋さんを開こうかなって思っています。
ショーに行ったスタッフの土産話を聞けば聞くほどフガフガ興奮し、ハンドメイドバイク熱が上がっております。
ショーバイクはもちろんトンデモナイんだけど、
それを実際に作った”ヒト”の存在。
つい日本でスマホ片手にジャパニーズピープルをやっていると、つい”モノ”にとらわれてしまって”ヒト”を忘れてしまいます(反省)。
どういう人がどんな想いと手間をかけて作っているか知れること。とっても大事。それがめっちゃ格好いい人だったり、尊敬できる人だったり、めっちゃ優しい人だったらなおさらですよね。レポート動画からはそんな”ヒト”を垣間見れるのがとっても楽しいです。
・・・
今日はハンドメイドバイクに括ってバイクチェック。大好きなビルダーFALCONER、過去オーダーいただいたお客様のバイクを2台ご紹介するのでお付き合いくださいませ。1台目。
昨今のスタンダードとも言える”Gravel”バイクをベースにしたオーダー。
グラベル=砂利道バイクという意味だけれども、機動性とオールマイティなタイヤクリアランスから、どこでも走れる万能バイクをご検討だったら、この車種をベースにするのが最適だと思います。
”フラットバーグラベル”なんて呼び方がしっくりくるビルド。
もちろんドロップハンドルでENVEのフォークで組めば砂利道最速のグラベルロードに組むことができるフレーム仕様ですが、このオーナーはフラットバーに鉄フォーク、そしてビンディングでなくプラペというのも大きなポイント。
そして上馬店にひっそりと鎮座していたこのフォークがキーでした。っていうかこの方がこのフォークに出会わなければ僕が狙っていたものでした笑 そう言うものが隠れているお店にしたいな。
フォークとハンドルはHUNTER CYCLES。このフレームの制作者FALCONERとも密接な関係のレジェンドビルダー。そういう辻褄を気にする組み方が好きです。
(僕のPCのランダム壁紙コレクションのうちの1枚。若き日のFALCONERが乗ってるバイクは)
そして、フェチの話、FALCONERのフレームの”後ろ三角”が大好きです。
FALCONERのフレームで、目を惹くシートステーの集合部、シートクランプ下のこの仕様。
たまんなく格好いい。
昔自分のバイクをオーダーするときにビルダーのキャメロンにこの仕様の写真を見せて「このシートステーにしてほしいんだ」って言ったら「This is my orijinal!」と答えてくれました。(超実用主義のビルダーさんでありながら、非装飾的なんだけど、ずば抜けたこういう美意識もあるところ、ここがHUNTERに通ずるところだと思う)
そしてチェーンステー。
ビルダーさんほど僕は詳しく説明することはできませんが、チェーンステーはただ形状がどうのではなく「チェーンリングのクリアランス」「タイヤのクリアランス」「ハブの幅」「BBの幅」と多くの要素をクリアしつつ、チェーンラインを確保してドライブトレインを成立させる、そして乗り味乗り心地にとっても影響のある部分です。
「雛形の曲げ」を使うビルダーさんもいる中で、これをお客さんのオーダーに合わせて「ゼロから設計&デザイン」して「手曲げ」するという。僕ら凡人ではその工程は想像もつかない手仕事。特にFALCONERのチェーンステーの曲げが、ただ見た目でなくっていろんなロジックが詰まっていて本当に格好いい。(写真では伝わらないですが、このフレームは左右のステーが左右非対称の形状で、それぞれ左右非対称な角度でBBに侵入して溶接されている、それでもちろんリアエンド部ではホイールセンターは出ている、という設計です)
そして、ハンドメイドバイクのお話をお店でするときによくお客様と話題になる、”佇まい”とか”オーラ”とか設計以外の部分、要素の一つかと思うのだけど、
それは「ダボ穴の少なさ」。
昨今のメーカーフレームは、色々な人が色々な用途で組めるように、フレームのありとあらゆる箇所にダボ穴があいています。それはおそらく主にSURLYが始めた(憶測です)とっても凄い事で、ラックをつけたり、フェンダーをつけたり乗る人の要望を叶えます。最近ではANYTHING CAGEの3つ穴はスタンダードになりました。
今やそのルーツさえ知らない量産のメーカーでさえいろんなところに穴だらけ。乗り手の要望を叶えるその仕様はとっても素晴らしい事なんだけど、
ハンドメイドのカスタムバイクは「乗る人が必要と思うマウントだけをお願いする」ことができます。
オーダーの際に「PASS AND STOWのラックを付けたい」とか「雨の日も乗るからフェンダーマウントを付けたい」とビルダーに言えばその位置にだけダボ穴を溶接してくれます。「いつか付けるかも」で念のため穴を開けておくこともできるし、「いや、絶対つけないからいらない」と無しにすることもできます。
これは逆転現象なんですが、今や世の中使わない穴だらけ、この「最低限」というか使わない穴の空いていないバイクがとっても良い”違和感”でフレームの佇まいに一役買っていると思います。
(それを踏まえて見てください)
オーダーの時に、自分自身を見つめて、自分の乗り方を想像して、必要な「ダボ穴」だけを付けてもらう。これこそ自分専用機の醍醐味だと思います。もしALEXがアムロの手に渡ったら、あの内装ガトリングは使ったんですかね?メーカーが考えた”余計なお世話”を排除して、自身が設計したνガンダムの方が美しいと思います。
・・・ん?話が脱線しましたが2台目です。
ご遠方からお越しのオーナーが上馬店に訪れてくれた時に出会ってしまったフレーム。
車種はMTB、僕のバイクの兄弟機になります。僕がオーダーした時にストックモデルとしてオーダーしていたもう1本。
オーナーと僕はほぼ体格が一緒、現在乗っているRivendellも同じサイズのフレームだったので、乗らずともフィットすることは明確でしたが、一応僕のバイクを乗っていただいてピタリ。カスタムオーダーではないハンドメイドバイクとの出会い方です。
タイヤクリアランスは27.5×2.8。スポーティな通常のMTBより大きなタイヤを履くことができます。速度感は落ちてしまうけど、2.5以上の太さのタイヤになると得られる「根っこも石ころも気にしない無敵感」を手にすることができます。このオーナーは2.5のタイヤをチョイス。
フォークのストロークは120mm推奨、市販メーカーモデルだとXCなニュアンスでアクティブすぎる、速すぎる選択肢が多いですが、このフレームをオーダーした時にビルダーさんに伝えたのは「安定感」と「一日中里山で遊んでいられること」。ガレガレの下りも地面にビタっと吸い付く安心感。
そしてたくさん自転車に乗るビルダーさんのノウハウがギュッと詰まったジオメトリー。
そしてここでもフェチの話。
シートチューブの、トップチューブ好転すぐ下の線がわかるでしょうか?これは溶接跡です。外径は同じだけど内径の違うチューブをここで溶接して、シートチューブ内径をバテッドさせています。。この仕様超格好いい。フレームに指を突っ込むとわかるのですが、シートポストをつかむ部分とその下で内径が変わっているのがわかります。
このTIG溶接の溶接痕を、削ってフラットにすることもできるのだろうけど、その上からパウダー塗装されたこの道具感。めちゃんこ格好いい。
なのに!!!
ドロッパーポストのインターナル入り口部分の、この繊細なロウ付け仕上げのコントラスト・・このインヤンのギャップよ。
ハンドルはお馴染みHUNTERのLOW-RISE BAR。一般的なMTBよりトップチューブ長めなのでほんのり手のひらに合わせてスイープバックするこのハンドルがしっくりきます。通常のスイープのMTBバーに変える場合はステムを短くします。
僕のOURY信者としての琴線ピーンだったのでOURYをおすすめしようと思ったら、言う前にOURYを手に取るオーナー。ああ、あなたもOURY心理教の方でしたか。(僕は自分のバイクRivendell以外は全てOURYです。Rivendellにはつけません)
(このエンド周りの佇まい伝わるでしょうか。曲線局面で構成されるこの感じ)
カスタムオーダーのように自由自在でなく、フレーム、デカールの色も選ぶことができないストックフレームですが、なんたってキャメロンファルコナーが作ったバイク、ってだけでファンはたまらないですよね。わかります。
僕よりもお住まいのエリア、きっと走る場所、遊べるところは多いのが本当に羨ましいです。
ビルダーのキャメロンがいう通り「自転車は道具」です。大事大事のキレイキレイにするんではなくって、「傷付いたり汚れたり」「でも愛おしく」乗りまくっていただけたら嬉しいです。
以上バイクチェックでした。