BlackMountainCyclesが発足された十数年前から変わらずラインナップされているmonstercross、
(こちら2台Mikeさん私物)
僕らの憧れるアメリカのバイクシーンに長年身を置き、シーンの移り変わりをそのど真ん中で体感してきたオーナーのMike Varleyさんが企画デザインする「もし1台だけしか自転車を所有出来ないのであれば?の問いのアンサー」と言う1台。
人によっては現代とは逆行しているとも言うであろう、クラシックな要素が組み合わされた1台は2025年の現代になってもなお僕らを魅了し、レースではなくただ楽しむためだけに自転車に乗る人たちにとってはまだまだ最前線のバイクの1つです。
このバイクの特徴としてはともかく組み方の許容の広さ、いわばオールラウンダーです。
50Cというボリュームタイヤを飲み込むタイヤクリアランスを持ち、伝統的なダイヤモンド形状のフレームにラックやフェンダーなどのオプションパーツ盛り込むダボ山も完備。
クラシックなリムブレーキはモダンなディスクブレーキに止まる力さえ劣りはすれど、クラシックが故のなんか自分でも色々出来るかもと思わせてくれる構造のシンプルさ。
僕らが自転車に出会う何十年もの昔に先人達が辿り着いていた、「クロモリのバイクの良さってコレだよね!」が詰まっています。
機能的な部分で特にオールラウンダーたらしめているのは後車輪を取り付けるフレーム形状(リアエンド)のホリゾンタルドロップアウト。
この後車輪の取り付け部分のスリットが前後に長めにとられています。
おかげで車輪の前後位置をスライド、微調整することが出来てこだわりの強い方は乗り心地の変化もここでつけられます。
そしてギアを外して車輪を後ろに引っ張ったらばシングルスピードのバイクとして組むことが可能なのが非常に大きなポイント。
ガチャガチャとややこしいギアをとっぱらうことによって生まれるトラブルの起きづらさは目にもシンプル。
日常に馴染む組み方をするとなったらこのシングルスピードビルドが出来るのはとても嬉しいカスタムの幅。
余談ですが画像のように本来ギア付きのハブを使用してギアを1枚に減らし、シングルスピード化する際はクイックリリースで車輪を固定するような形になります。
シングルギア専用ハブの左右のボルト2本で固定するタイプよりもクリックリリースは車輪を固定する力が弱いので、
ギア付きハブでシングル化する際には車輪のズレ防止でSURLYのHARDY GURDYを使用することを推奨します。
体格の良い方、グイグイ踏む方だと僅かに車輪がズレてチェーンのテンションがすぐ弱まることも。
そしてこれは現V6ロットからのマイナーチェンジによって過去存在していた名機であるSURLY Cross Checkの血統を受け継いだ、ロードバイクスタイルとMTBスタイルのハブ両対応になったリアエンド幅132.5mm化。
納屋に数十年眠っている親御さんが昔乗っていたオールドMTBやオールドロードバイク達から奮発して買ったであろう当時の高グレードなパーツを引っこ抜いて現代に輪廻転生し易いバイクになったというワケ。
こちらの方はMTBから移植パターンの好例。SIHMANOのミドルグレードである昔のDEORE LXのオールドスクール感と相まってどうにかなりそうな格好良さですね。
そういえばそんなバイクがあるなぁ、、、なんて方は載せ替えチャンスのランプが光っています。。。
そしてもうひとつ特徴的なのはこのトップチューブ上のワイヤーが3つ連なる部分。
僕らは3連ダボなんて呼びますが。オールドバイクに見られるこのディティールは機能的などうこうとかは抜きにして、なんか格好良いよなぁと半ば本能的思ってしまう部分ではないでしょうか。
現代のバイクはこの中の細いワイヤーだけ露出するバイクもどんどん少なくなっているので、
こんな風に遊ぶカルチャーももう少ししたら無くなってしまうのかも。
機能的には大きく関係ない部分ですが愛嬌のある部位。
そしてこの3連ダボが全て埋まっている、即ちフロントのギアが2枚以上付いている状態がこのフレームに関してはどうにも格好良く見えてしまう、というのは自分がバイクメカニックだからかもしれません。
なので、もちろんどう組んでも良いですし、自由なのが自転車の楽しさ面白さという大前提はありますが、個人的にはギア付きで組む場合フロントのギアはmonstercrossに限っては2枚以上がオススメです。













