後編です。

 

この投稿をInstagramで見る

 

aarn(@aarn_)がシェアした投稿

この状態からどう作り出されるのかを考えるだけでワクワクします。

結構ネットの海を探し回ったのですが、AARNのチェーンリングが制作されているファクトリーの様子は見つからず…。

分かる事といえば、初期はマサチューセッツの工場で作られていたのが移ってカリフォルニアへ。

調べていくと、1stリリース当時の素材は6061−t6という現在とは違う素材だったようです。

「these rings feature a unique tooth profile designed for maximum engagement and minimal wear. 」

オフィシャルサイトの説明からの抜粋ですが、直訳すると、

最大の係合と最小の摩耗のために設計された独自の歯形を備えています。」との事。

試行錯誤を繰り返し、AARNが行き着いた歯形なのかと思うと、そこにも興味が湧いてきました。

「最大の係合と最小の摩耗」とはなんなんだろうと、歯車やギアについて調べてみる事にしました。

Involute wheel.gif

(ウイキペディアから抜粋)

調べる内に、「インボリュート歯車」という物があることを知りました。

これは見ての通り歯車同士が噛み合う接点を多くした設計となっていて、伝達効率が良くなるなどのメリットがあるそうです。

(専門家ではないので説明が拙いですがご容赦ください。)

で、実際にAARNのチェーンリングを見てみると、特徴的な丸みを帯びた山型になっています。

他社の山型と比較すると一目瞭然。ただこれがどういう効能をもたらすのか形を見る限りだと想像もつきません。

なので実際にチェーンを掛けてみました。

チェーンのコマの中にみっちり詰まった歯型。一見抵抗が多そうなのですが、丸みを帯びた山がチェーンのローラーに近いのが分かります。遊びなくスムーズにコマを向かえて送ってくれそうな形です。

遊びを少なくする分、コマを迎えるときの衝撃が少ないので、「最小の摩耗」の効果があるのだと察します。

他社の歯型は尖っている物が多く、接点がAARNの物より少ないのが分かります。接点の少ない分抵抗も軽減されていそう。

接点が少ない反面、遊びも出そうなので、チェーンを迎える際の衝撃はAARNに比べると若干ありそうかもと両方を見ながら感じました。

実際に両方とも使った事があるのですが、感触はどちらもスムーズ、個人的にはAARNの方がチェーンの引っ張りが滑らかに感じます。力が逃げないようにチェーンを引っ張ってくれる感覚があるというか。音も若干静かになるようにも。

単純な事をいきなり言いますが、歯が分厚い分強度はありそうですよね。

それが自分が感じたフィーリングの正体なのかもとも思います。

そしてこの商品を扱ってきて、自分が一番最近衝撃を受けた箇所を紹介します。

「These chainrings are fully CNC machined. All edges (front and rear) are machine broken with a 45-degree 0.010-in deep chamfer. 」

「これらのチェーンリングは完全にCNC機械加工されています。すべてのエッジ(前面と背面)は、45度0.010インチの深さの面取りで機械で切断されています。」

完全にスルーしていたのですが、この文章の意味を知った時、鳥肌が立ちました。一緒に見てたジャグさんも「怖い」と言ってました。

本当に口すっぱいようですが、まず袋から開けてじっくり見てみて下さい。

歯にも、肉抜きの部分も、表も裏も、全部の角がしっかりと面取りされています。

どういった工程でやっているのか見当かないし、そこまでしなくても…というのが怖いポイント。こだわりが強すぎます。

でももし、機械的動作にもこだわっているのはもちろん、取り付ける際の安全も考えての物作りをしているのだったら、

こんなデザイナーって本当に素晴らしいなと思いました。

こういったパーツにかけられている情熱を、触って感じれた良い機会でした。

ブームで消費するのではなく、良いものは良いを体感してみて下さい。

それでは。