*SURLY* steamroller (49)

本国の発表を今か今かと待ち詫びていました。

お待たせしました。スチームローラーの新色と、少量ですがお馴染みのBLACKが再入荷。

先日のバイクロアで色んなバイクが走っている会場で、こんな質問を受けました。

「SURLYのスチームローラーと、ALL CITYのビッグブロックの違いは何ですか?」と。

どちらも好きだしどちらも乗った人間の自分。

聞いてくれた人が「お、おう…」となるくらいの熱弁だったと思います。(思い当たる方見てたら、すいませんでした。)

その時僕は「源流の違い」という話をしたと思います。家系ラーメンも自転車も一緒で、多くのバイクには「元になる車種」が存在します。

*SURLY* cross-check (52)

例えばこのクロスチェック。SURLYの中でも本当にオールマイティなこの車種の元になる自転車は、

バイクロアでもお馴染みの「シクロクロス」と呼ばれる競技車両が源流にあります。

今回スタッフのなっちゃんが転がしていたバイクがクロスチェック。

女の子が自転車に乗ってキャッキャウフフしているのは幸せな絵ですね。

普通に楽しんでいたし、僕らは見慣れててもお客様からしたら新鮮に見えたようで、試乗も多くして貰っていました。

他の有名ブランドとSURLY、ALL CITYの違うところは、

源流のままアップデートを作るのか、源流にプラスアルファの要素を入れて幅広く楽しむものを作るかという違いだと思います。(SURLY、ALL CITYは後者)

Track Party 2017

photo by nobuhiko tanabe

ALL CITYのビッグブロック、源流はずばり「トラックバイク」にあります。競輪用の自転車、さらに突き詰めればトラックと呼ばれるオーバルのコースを走る為の自転車がルーツです。

(スチームローラーの入荷情報を書くつもりだったけど大きく脱線。でもこの話はしておきたい。)

ALL CITYの創始者であるジェフが、トラックバイクに傾倒していた時に出会ったMARINONIというカナダのハンドメイドトラックバイクが事の始まり。

*ALL-CITY* big block (52)

元は古いトラックバイクで、そこからジェフが想うこうだったら良いなという要素(丈夫で太いタイヤ履けて前後ブレーキも付けれる。)を盛り込んで出来たのがビッグブロックという訳です。

(ジェフが日本に来た時のブログにその歴史を詳しく書いていましたこちらも是非ご覧ください。)

*SURLY* steamroller (53)

対してスチームローラーはというと、実は以外に素性が分かりません。ただ、本国のスタッフと話した時に印象的だったのは、「あれはシングルのロードバイクだよ。」という言葉でした。

via JC’s 2000 Surly Steamroller

(一応ネットを探す限りで出てきた最古のスチームローラーは競輪フレームなどと同じスレッドステムです。この人は内装ハブを付けているド変態仕様。)

SURLYスタッフの言葉の通り、トラックバイクならではの攻撃的な短距離用設計では無く、

長時間走っても疲れないように、飽きないようにと、トラックバイクよりもおおらかな作りになっています。

(トップチューブが若干長めに作られているのも隠し味っぽいです。最初はハンドルをきった時に前輪が当たらないようにするためだと思っていたのですが、胴長になって動きの機敏さを少しまろやかにしている気も。)

全く違うベクトルからシングルスピードフレームを考えていた両ブランドの歴史をお伝えしましたが、もしどちらか検討している方のヒントになれば幸いです。

で、本題に入ります。

今回も幡ヶ谷店のスチームローラーの参考完成車を組んでいます。

*SURLY* steamroller (53)

*SURLY* steamroller (56)

*SURLY* steamroller (53)

いつも何かしらのコンセプトを設けて組んでいるのですが、今回は参った…。

*SURLY* steamroller (53)

650bホイールで組む際の黄金比の要と言えるHI-barは欠品中。

*SURLY* steamroller (53)

んで手にしたハンドルがこちら。

久しぶりに拗らせまくったコンセプトになりました。

*SURLY* steamroller (53)

スチームローラーのルーツ→シングルギア→SURLYのルーツ→シングルMTB→MTBのルーツ→ビーチクルーザー。

*SURLY* steamroller (53)

*SURLY* steamroller (53)

*SURLY* steamroller (53)

ド直球の見た目、正直乗りやすいとかは別にしてこのFATTIEな見た目はずばり大好きです。

ちなみに実は自分のスチームローラーも今はこのハンドルにしています。

スピードは出ないし、操舵性もモッサリしていますがこのCHILL感は癖になる。出来れば夏に組みたかった…。

*SURLY* steamroller (53)

今回入ってきた色は「BANANA CANDY YELLOW」。見ての通り黄色ですが、

実際見ると限りなくクリーミーな黄色で、女の子も男性もとっつきやすい色。

組んだ当初は在庫があったこのハンドルも、既にSOLDでご紹介するのが心苦しいですが、

HI-BARなどのライザーバーを付けての組み方以外での例を挙げたかったというのも理由の一つにあって、

*SURLY* steamroller (49)

*SURLY* steamroller (56)

RIVのBOSCO BARやALBATROSS BARなんかを付けて、ファッティーシングルクルーザー(コミューター)として組むのも素敵だと思います。

RIVじゃないけど、雰囲気はRIVっぽい組み方のシングルギアバイク。

今回組んだのは全然RIVっぽくないけどね。

*SURLY* steamroller (53)

タイヤもルーツ重視でBRUCE GORDON。その昔、MTBを作ったとされるレジェンドを翻弄したタイヤを元祖に持つタイヤです。

ちなみにこの太さで砂浜を走るのは大変すぎるのであしからず。

*SURLY* steamroller (53)

もしも僕が70年代に、ビーチクルーザーを初めて山のてっぺんに持って行った人間だったら、多分こんなバイクを持っていくだろうな。という気持ちで組みました。

最近、どんな自転車を組みたいか迷子になる時があって、古い自転車を見たり調べたりする事が多くなりました。

via classiccycleus.com

ヤバいんですよ発想とか考え方が。技術の限界があっても、閃きとノリと情熱で乗り越えてる歴史がそこにはあって、
それの積み重ねがあるからこそ今の恵まれた自転車文化があるんだと思うと、その先人たちに時空を超えてありがとうと言いに行きたい。

で、自分がシングルに傾倒しているのも少なからずその影響があって、

これ以上はいらない、これで十分とか、時代の便利さとか豊かさと逆行していく事で新たな自転車の楽しみ方があるような気がしている故のマインドなのかもしれません。未だ模索中ですが。

*SURLY* steamroller (53)

話は戻ってスチームローラーが再入荷しました。

あなたの思う、必要な一台にきっとなるし、この一台で未来にも過去にも進めるフレームだと思います。

話が大きくなりすぎましたね。でもマジで言ってます。

それでは。