遡ること1年半前、
BlackMountainCycles本拠地であるアメリカはサンフランシスコ州、ポイントレイズステーションにて。
オーナーのマイクさんと一緒にショップから徒歩1分のCafe Reyesでピザを頬張っているところまで時間を巻き戻します。
(マイクさんの行きつけだそう)
(今は短髪のMikeさん、この時のカーリーな長髪の方が個人的にはシブくて好き)
僕ら:「オリジナルのデザインでハンドル作りたいと思ったことはありませんか?」
マ:「興味はあるけど既製品でいいものがたくさんあるし、今のところアイディアはないかなぁ。」
僕ら:「そうですか、、、でももし何か思いついたら是非一緒にハンドル作りませんか!?」
マ:「思いついたら連絡するよ」
といったところ。
“既製品でいいものがたくさんある”という返答には、既製品のパーツを組み合わせ自転車を生み出すメカニックという職業柄らしい返答だなとも思うと共に、少ししょぼんとしつつ。
、
、、
、、、
(スティーブ・ポッツ氏&マイクさん、ちなみに見切れてるのはPASS AND STOWのマットさん)
(マイクさんの愛車であるBruceGordon製ロード、40年選手だそう)
レジェンドフレームビルダーであるSteve PottsやBruce Gordonといった、僕らをはじめ現代のみなさんが当たり前のように触れているバイクの礎、いわば0→1を生み出してきた伝説的フレームビルダーらのショーバイクの組み付けも担当してきたマイクさん。
そんなビルダーの中には自らのアイディアをハンドルバーに具現化しているビルダーも居て、使ってみると調子良く、引きでバイク全体を見た時の美観も優れ。
(僕らが馴染みあるものだとBTCHNやGroovyのLuv handle、HUNTERのsmooth moveシリーズ、またSYCIPのJJJバーなど)
そりゃ「自転車フレーム」というハンドルよりややこしくロジックの詰まった幾何学をデザインできるのだから、そんなビルダーさんが導き出したハンドルはそりゃ調子良いに決まっている。
マイクさんもBlack Mountainを始める前から何十年と自転車をデザインしてきたレジェンド、ジオメトリーの探究者。
彼の作った自転車の良さをすでに知っている僕らは、「この人がデザインしたハンドル絶対調子いい」という確信がありました。
僕ら「あなたがドロップバーを根幹にフレームをデザインしているのは知っているけど、日本だとフラットバーで乗りたがる人も多いんだ」
僕ら「だからもしもマイクさん公認のフラットバーがあったら、マイクさんがこれなら使ってもいいなってものがあったらとっても嬉しいんだけど・・」
一応自分たちのわがまま、要望を伝えてアメリカを後にしました。
そして、帰国して少し経った頃にマイクさんからアイディアがあるから聞いてくれないか?
と連絡が来て小躍りしたのは言うまでもなく。
、
、、
、、、
この投稿をInstagramで見る
ライザーバーのバリエーションがどんどん世に増えていく昨今、
マイクさんが提案してくれたのはごくシンプルなライズなしのフラットバー。
ハンドルバーバッグ等のアクセサリーを考慮してセンター部分が比較的広めに設定され、700m以上の使用を想定したフラットバーになっています。
16°というスウィープバックのアングルは初期のマウンテンバイクのパイオニア達が好んで使っていたというモトクロススタイルのバーがソース。
(なお元ネタのバイクがコレ↑ 、マウンテンバイク史に影響を与えた1台)
1本のパイプを曲げたりなんじゃかんじゃして、他のハンドルとの差別化を図る中で図面としては二次元なフラットバーは特に色を出すのが難しいところなのですが、
そこでごくごくシンプルな曲げのみというのが普遍的なものづくりをするBlackMountainCyclesを象徴するハンドルになっています。
センター部分のBlackMountainCyclesロゴは、グリップ部分を手馴染みのいい角度にシャクった時に正面を向くようデザインされています。
シンプルなハンドルが故にBlackMountainCyclesのラインナップをはじめ、どんなバイクでもすんなりとハマるシェイプになっています。
グラベル、ダートでもガシガシ使ってもらえるようにと焼き入れが施された軽量且つ強靭なアルミパイプを用いて作って頂きました。
製造はもちろんいつものNITTOさんに。
そんなこのハンドルは「BAR NONE」といいます。
ハンドルの形も決まりなんて名前のハンドルにしようか?と、ハンドル(BAR)に名前なんていらない(NONE)んじゃないか?とマイクさん。
いやいやそんなわけには、、、あ、じゃあBAR NONEがいいね!と決まったわけです。
文句なしの、抜群の、といった意味を持つ”BAR NONE”。
ポイントレイズステーションの地へ想い馳せ、握り締めて頂けたらと思います。