端的にいうと、
中性洗剤で手洗いして、しっかりすすぎ、最後に低温でアイロン。
と、簡単です。
とはいえ、簡単な中にも生地にり少しポイントがあります。
先ずは、具体的なお手入れ方法の前に、生地のPertex® Shieldを少し理解すると、道具としての使い方やお手入れ方法が気軽になるかもしれません。
気になる方はそのまま読み進めてもらって、
「細かいことはひとまず置いておきます。」という方は
「洗剤選び」まですっ飛ばしてください。
Pertex® Shieldってどんな生地?
表地+メンブレン+裏地の3層構造の生地です。
そして、中間層のメンブレンと呼ばれる部分が防水透湿の役目をする部分。

レインウェアの防水透湿メンブレンの構造は、”超”大まかに分けると2種類あります。
「多孔質(たこうしつ)」 と 「無孔質(むこうしつ)」 です。
さらに突っ込むとメンブレン自体の素材によっても特徴が分かれていきますが、とても長くなるので今回は孔(穴)が有るか無いかだけにフォーカスします。
多孔質
孔から水蒸気を外へ逃がしてムレを軽減します。

無孔質
メンブレン(膜)に孔はなく、水分子を吸収、移動して透湿します。
Pertex® Shieldはこの「無孔質」タイプ
汗などの水蒸気は一度メンブレンが吸収し、分子レベルで外へ蒸散させることで衣服内を快適な状態に保とうとします。
また、孔がない構造だからこそメンブレンを非常に薄く仕上げられるのもPertex® Shieldの特徴です。
ULレインジャケットが軽量でコンパクトに収納できるのは、この薄いメンブレンのおかげでもあります。
無孔質と多孔質の機能性はトレードオフ的な側面もあります。
雑にいうと、無孔室は防水防風、軽量性に優位です。逆に言えば透湿性を追求した素材ではありません。
この無効質の適度な透湿がもたらす保温性のバランスが自転車に丁度いいといえます。
自転車の場合、夏場でも下り坂や雨風による”防寒性”を求められる場面は多くあります。
また、自転車では走行風によって衣類内から外へ蒸気を排出しやすかったり、衣服内外の温度と湿度の差が生まれやすいことから透湿性能が働きやすい環境が生まれます。仮に 透湿が追いつかない場合でも、ベンチレーションファスナーで物理換気が素早く機能してくれます。
これらのことから、気温や天候、運動量が大きく変化し続ける自転車という環境において、Pertex® Shieldの機能バランスは自転車用レインウェアと相性が良いといえるのかもしれません。
これはけして「全く蒸れない」「完全防水」「どんな状況でも快適」という意味ではありませんので誤解なきようお願いします。

洗剤選び
防水透湿性能を長く維持するためには、中性洗剤をお使いください。
ベストは NIKWAX などの化学繊維専用洗剤です。
洗剤成分が繊維に残りにくく、防水透湿素材の性能を損ないにくいように作られています。
しかし今回は、 ウタマロリキッド を使用してみます。
おしゃれ着用洗剤で入手しやすくお手頃です。
選んだ理由は、
▶︎黒いススや砂の頑固な汚れなので、専用洗剤よりも洗浄成分の界面活性剤の含有量が僅かに高く、且つ中性であるから。
▶︎Pertex® Shieldが無孔質構造であるから。
多孔質構造の場合は洗剤の成分による孔詰まりを気にする必要があります。その点、無孔質構造は中性洗剤であれば過度に神経質になる必要はありません。
ただし、洗剤成分が生地に残ると撥水性や透湿性に影響する可能性があるため、十分にすすぐことが何より重要です。

洗ってみた
今回お手入れしていくジャケットはライド中にトンネルの壁に擦てしまい、スス汚れと、穴が空いてしまったもの。

穴を補修していく前に、黒ずみの除去とリペアパッチの定着をよくするためにも、穴周辺の汚れを軽く落としていきます。
まずはぬるま湯につけて、表面の汚れをよく流します。
次にウタマロリキッドを汚れに塗布したら、ブラシで繊維から汚れをかき出すように優しくブラッシングします。
そして、最も重要なのが、しっかり「すすぎ」です。
洗剤成分や汚れが生地に残ると、撥水性能の低下につながると考えられるので、どんな洗剤を使っても、しっかりとすすぐのが大切です。
乾燥とアイロン
完全に乾いた事を確認したら、当て布をして低温(約120°)のアイロンをかけます。
生地表面の耐久撥水加工(DWR)は熱を加えることで表面にある撥水基(撥水成分)を整列させ、低下した撥水性を回復します。

ここでの注意点は、自然乾燥で完全に乾かす事。
そして、スチームは使用しないでください。
生地が溶けてしまう恐れがあります。
これにて洗濯と乾燥が完了です。

完全とは言えませんが、かなり黒ずみがきれいになりました。
次は穴を塞いでいくのですが、それはまた次の機会に。
リペアパッチの販売に向けて準備中ですのでもうしばらくお待ちください。
最後に
この記事は、Pertexへのヒアリングと実際の経験を元にまとめた独自のお手入れ方法です。
お手入れによる性能低下や破損については責任を負いかねますので、内容をご理解のうえ、ご自身の判断と責任でお試しください。
また、内容はFAIRWEATHER UltraLight Rain Jacket/Pantsを前提としており、すべてのレインウェアに当てはまるものではありません。