最近であればBlackMountainCyclesのバイクに乗ることが多い自分ですが、時にはCRUST、ハンドメイドバイクやRivendellはたまた昔のバイクも好き、いわば自転車一夫多妻制推進過激派を自負しています。
目的や季節やその時のTPO、気分で乗る自転車はコロコロ変わるのがメカニックのサガとはよく言ったものです。
身体は1つだよ?なんて言われることもままありますが、それは増車しない理由にはならないと思っています。
考えてみてください。
美味しい料理が所狭しと並んだテーブルにみんな座ったことが未だないだけ。
それだけの話なんだと自分は思っています。
DISC TRUCKER (52)
最近であればギュンっとスピード感あるバイクに跨ることが多かったのですが、この秋口は不思議とSURLYのDISC TRUCKERに乗ることが少し増えました。(というか秋を飛び越えて冬を感じるここ数日ですね)
やはりマイペースみあるバイクが気分になるタイミングというのは不定期にやってくるもので。逆も然り。
甘党が時たま無性に辛いものを食べたくなるのと一緒の理屈です。
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今更感甚だしい気もしますが自分はその昔このバイクで日本一周したことからBluelug内では”一周”と呼ばれています。
ごくたま〜にてっきり本名だと思ってました!と言われますがだとしたらよ。カルマを背負い過ぎでしょ。
DISC TRUCKER (52)
これはその当時の状態。ドロップハンドルに前後ラック、フルフェンダーといわゆるなツーリングバイク!なバイブスで。
足回りはPhilwoodの回転パーツを用いて、各所間違いない仕様過ぎて道中大きなトラブルがなかったのが今となっては懐かしいです。
もう少しなんかトラブれよ!と思うほどに何もなかった。
旅を終えたタイミングで日常生活ではトゥーマッチなものを外しただけのコミューターバイクとして一先ずの完成を見て、
なかなかこの時の感じは良かったなと今更見直して感じたりします。
ボリュームあるブロックタイヤとライザーバーを取り付けMTB風にして山に行ってみたり、
リペイントを経て、CRUSTのカーゴフォークを取り付けてTHE運搬車にしてみたり、はたまた原点回帰的にノーマルフォークに戻してドロップハンドル&前後ミニラック&バッグのツーリングバイクにしてみたりと。
上の写真はほんの一部で、数えきれないくらいのカスタムを経て今手元にあるバイクでは最年長として自分の手元にあります。
この10年強の自転車人生の半分以上をこのフレームと向き合ってきて、こいつの良さを余す所なく楽しんできたつもり。
(これは日本一周当時 in 北海道)
DISC TRUCKERはもともとツーリングが念頭に置かれたフレームであり、コイツぁいいんですよ!と斡旋している時よく聞くのが「いや、自分はツーリングとかしないので、、、DISC TRUCKERじゃなくていいかも」なんて。
ツーリング向けのフレーム設計というのは実は日常の自転車生活においても自然と溶け込む性格なのに気づいている方が少ないなぁ、と個人的には感じてしまうとともに此奴の魅力を伝えきれていない!と思います。
よく比較されるstragglerやmidnight specialと比べると少々重いですし、この手の自転車像を想像させるビュン!とシャキシャキ進んでくれるような1台ではないかもしれません。
個人的にはそのキーワードが変に一人歩きしてしまっているといいますか、ソレを”悪いこと”として捉えてしまっているような風潮を感じて、DISC TRUCKERはみんなに勘違いされている!と思う昨今。
極め付けはこの手の自転車をはじめて手にする時に考える「今後自分がこの自転車をどういう風にしたくなるのか」という長い目で見た時のふんわりとした不安。
ヒトは賢く、悩む生物なのでこの不安を持つのはそりゃ当然なんですけども。。。
決して安いとは言えない上に、永く付き合っていけるモノを買うのであれば誰しも失敗したくないでしょう。
そんな悩みを持った時に特効薬になってしまうのが「万能、どんなカスタムでも対応してくれる」というSURLY STRAGGLER。
お手軽にシングルスピード化出来て、カスタムの余白がとても広く普段使いで過不足ない、Levisでいえば501、NIKEならAIR FORCE1、いわば間違いない存在。
“万能、合理的”という大義名分はそれだけで安心してその自転車を選ぶ理由にさせてしまうくらいの威力がありますし、どんな方にでも1度は絶対にお話するようなモデルです。
で も ね !
DISC TRUCKERだからこそ見える景色というのは間違いなくあるわけでそれが今なお自分がDISC TRUCKERに乗っている理由でもあります。
そしてせせこましく都市で日々を営んでいる人たちにとってこそ、
SURLYの中ではDISC TRUCKERが向いているんだぜと声を大にして言いたいのです。
DISC TRUCKER (52)
こちらは上馬店の店頭展示車、今一度布教的に組みました。
2024年現在、自分が新たに組むならこんな感じかしらの気分を詰め込んだ1台。
登場して日が経ち馴染みのある存在になった?velo orangeのハンドル&ラック一体型なutility rack&barをベースに。
ブランケットでもフロントラックにふんじばって、ピクニック行ってチルしようぜクルーザー号として。
ハンドルに完備された豊富なダボ穴を利用してボトルケージ&ボトルオープナーを用意しているので、是非ともチルアウト出来る飲み物でも携えてクルージングして欲しいところ。
そんな日にはゆったりした格好でカジュアルに気負わずに乗って欲しいなと、ギア周りにはXMCクランク&バッシュガードの組み合わせ、気分が上がるお気に入りのパンツを履いても裾汚れしないようにと配慮。
シフトレバーはRivendellデザインのS-2のフリクションシフターを仕込んで、直感的に操作出来るように。
乗ることじゃなくて普段気に留めていないような身の回りの景色の素晴らしさや美味しいご飯屋さんやコーヒー屋さんに意識を向けて欲しい。
そんな気持ちを込めた1台になっています。
はじめてこの手のバイクを手にするとなると、第一にわかりやすく凄い!と感じるのはきっとスピードですし、風を切って乗る爽快感というのは自転車の魅力の1つではあります。
ただこの速さというヤツがなかなか曲者だなと思っていて。
不思議なものでスピードが出ると安全のためにと路面の凹凸、周りの人や車の動きだったり色んなことに気を配る必要が出てくるので、いわば”速さ以外の豊かさ”を自然と失ってしまっているのに気付けなかったりするのです。
DISC TRUCKERはその豊かさをより色濃く感じれるフレームだと自分は思うんですよね。
スポーツバイクの枠の中では少しずっしりめの部類であるSURLYのモデルの中でもずっしりマイペースでスピードが出ないからこそ、
忙しなく日々を営む現代人には肩の力を抜いて乗ってもらえて、末長く気に入って頂ける1台になり得るということが言いたかったのです。
そしてDISC TRUCKERを語る上で欠かせない出自、前身となるLONG HAUL TRACKER(以下LHT)。
(一番下のはその昔アゼミさんが組んだLHT、エブリデイバイクの概念が世に知れ渡る前夜の11年前(!)に組まれたっていうのが半端ない)
当時のスタンダードであったリムブレーキで形作られたわけですが時代の流れとともにディスクブレーキにとって変わられ、DISC TRUCKERと並行してラインナップされていた時期もありつつ、数年前に惜しまれつつも廃盤に。
(リムブレーキはお手頃に形が出来るのが1つの魅力だなんて思っていましたが、海外の事情は微妙に異なるようでSURLYのラインナップがディスクブレーキばかりになったのはそんな一因もあるよう)
OLD MTBのムーブメントが盛り上がりを見せる昨今においてそれらのパーツが載せ替えですんなりとハマる1台だけに、今このバイクが無いのが悔やまれますが、
その遺伝子を受け継いだDISC TRUCKERはマイナーチェンジを経て、変わらずSURLYのスタンダードとして有り続けています。
速さとは関係のないカゴや泥除けにスタンドにと、日常の豊かさ彩る為のオプションパーツたち全てを難なく飲み込んで、ひっそりと日々を支えてくれる相棒として皆さんの選択肢に加わってくれたら嬉しいなと改めて布教したいと思います。