「スイープバックバー」というのがあります。

アルバトロスバーなどに代表される、手前にグイッと戻ってくるハンドルバー。

そのスイープバックバー達について最近考えてたことがあるので、まとめます。

今日の主役の数値を「バックスイープ値」と仮称します。下の図を見てください。

ステムクランプ部からバーエンドまで「どのくらい戻ってきてるか」っていう数字が本日のテーマです。

カタログ上ではハンドルのスイープバックの「角度」っていうのはよく記載があるのですが、今回のテーマは角度じゃなくて「戻りの距離」。

・今乗ってるバイクのグリップまでの距離がしっくりこない

・ハンドル交換や新車を組む時に、ステムの長さをミスりたくない

なんて方はこの壺を買えばきっと幸せになれます。

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ブルーラグにある全てのハンドルを調べると2年くらいかかるし頭が爆発するので、とりあえずRivendell系のスイープバックバーに絞って「戻りの距離」=「バックスイープ値」を比較してみました。数値はざっくりなのでざっくり見てくださいね。

名作B352 アルバトロスバーを基準とします

アルバトロスのバックスイープ値は18.5cmくらいでした。

実はRivemdell系のハンドルでは一番戻りが少ないです。

つまりSURLYクロスチェックやCRUSTなど、ドロップハンドルも付けることができる短いトップチューブのバイクにもフィットします。ロードバイクにもMTBにも、世界中で愛される由縁ですね。

もしあなたがアルバトロスもいいけど、グリップの「真っ直ぐ部分がもっと長かったらな〜」なんて思うならChoco barの登場です。

Choco barのバックスイープ部は21cm、アルバトロスバーより3cmほど長い=手前にきます。

つまり、今アルバトロスを使っていて「あと指2本分くらい近つけたいな〜」なんて方はステムそのままでChocoに変えればいいわけです。

Choco Barはライズも少ないのであまりハンドルの高さを出したくない人にもおすすめです。

そしてネオ・アルバトロスバーとして生まれたBillie Bar。日本に流通したのは最近なので、みなさんこれ使ってみたいですよね。

Billieはアルバトロスより5cmも長いスイープバック23cm。形はよく似ていますが、こぶし1つ分も握る位置が変わることになります。かなり違う。

つまり今アルバトロスに80mmのステムでしっくりきている人は、同じポジションでこのハンドルを使うには、一番長い130mmのステムが必要になるので注意です。

飽きないでください、まだまだいきます。

最もバックスイープ値が長いのが、BOSCO、TOSCO、LOSCOの「ボスコ3兄弟」です。

3兄弟の数値は驚異の25.5cm。ライズの高い長男BOSCOがよりハンドルを「近く」感じるので+0.5で記してあります。

アルバトロスに比べて8cmも手前に戻ってくることになります。

つまり今アルバトロスに80mmのステムでしっくりきている人は、同じ姿勢でBOSCO3兄弟を使うには、160mmのステムが必要と言うことになりますが、そんなものは現行のステムではほぼ存在しません。と言うことは、そのフレームでお気に入りのポジションを保つには「BOSCOという選択肢はありえない」ということになります。

逆に考えればこのボスコ3兄弟、「ハンドルを近づけたい」「上体を起こしたい」って人にとっては救世主、最強なわけです。

もういいって?いいから座りなさい。

もしくはアルバトロスではハンドルが遠すぎてしまうトップチューブの長いバイク、最近では特にOLD MTBなんかピッタリじゃないでしょうか。マウンテンバイクやOLD ATB、大きなフレームなども快適にグリップを近づけることができます。

(一概に、ハンドルまでの距離を地面と水平の”横軸”だけで考えていいわけではないですが、上記を踏まえると、ハンドルの選択やステムの長さを失敗してしまうことをググッと減らせます)

例で自分のバイクで言うと、

*RIVENDELL* joe appaloosa (51)

トップチューブ長 575mmの僕のバイク、現行で一番長い 130mmのステム+Billie Bar でしっくりきています。

つまり、あくまで僕の体型と好みのポジションにおいてですが、

・もしこのバイクで、Billieからアルバトロスに交換したい場合。スイープバック値の差を今使ってるステムの長さから引くことによって適正ステムの長さを計算できます。130-50 という計算で80mmステムがおそらくしっくりくるでしょう。

・もしこのバイクに、今のBillie Barよりバックスイープ値が長いハンドルをつけてしっくりくることはないでしょう。同じ姿勢でBoscoで乗りたくても現状130mmステムより長いものはありません(たまに古いのであるけど)。
「グリップを身体に近づけたい」って目的のカスタムしかできないわけです。
同じポジションでBoscoバーを使いたいなら、Clem SmithやSUSIEなど、このJOE Appaloosaよりトップチューブが長いフレームが必要になります。フレームを買う口実になるでしょう。

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繰り返しますが、上記はあくまで51 Appaloosaに対する僕の体格での例で、フレームに対してポジションは人それぞれです。

が、この「バックスイープ値」という数値を覚えておくと、単純ですがステム長ガチャの勝率はかなり高くなるのでぜひ参考にしてみてください。育てたバーテープ剥がしたくないし、長さ違いのステムを買い直すの嫌ですよね。

あとこれは持論ですが、これを気にしてバイクを組むと、単純にハンドルが近すぎたり遠すぎたりを防ぐと同時に、自転車を真横から見た時の佇まいが「理に叶う」というか、凛として見た目が良いバイクになります。色気というか、要するにバイクが整います。

こういう形状のハンドルが似合うバイクって、大概そんなにポジションに神経質になることじゃないですが、うっすら気にしてこの水晶玉を買っておくと、ギャンブルにも勝てるし彼女もできます。