世界各地でじわじわと盛り上がりを見せているTRACKLOCROSS。
TRACKLOCROSSとはTRACKBIKE + CYCLOCROSS。つまり固定ギアで走るシクロクロス。
オフロードをトラックバイクで走るという遊びがいつの間にかTRACKLOCROSSと呼ばれるようになり、今では世界各地で楽しまれている。2019年には日本で世界選手権が開催された。
レースでは基本的にノーブレーキ。時間内でコースを何周できるかを競うことが多い。しかしそんなことは二の次。そこに漂う熱量と、もれなく楽しそうな参加者たちの表情が全てを物語ってくれる。
このページではTRACKLOCROSSを走るためのヒントとなる情報を集めてみた。参考になれば幸いである。
-
広いタイヤクリアランス
フィールドの状況によるけど、最低でも32cくらいのタイヤが履ければ走りやすい。
-
高いBBハイト
高いBBハイトは回り続ける足が地面にヒットするリスクを低減し、積極的なコーナリングを可能にする。
-
短いホイールベース
加減速が多くなるシチュエーションではホイールベースが短いほうがクイックな反応と乗り味を得られる。
-
レースではチューブレスタイヤがオススメ
日常的に乗るバイクに比べてメンテナンス性を考えなくても良いレースで使用すれば、パンクのリスクを気にするストレスから解放される。
-
ギア比は2.0〜2.3くらいが調子良い
踏めばそれだけ還ってくる固定ギア。ロスが少ない分、ギア比はフリーギアに比べて気持ち重めでも良い。
【トラクロの機材】
フレーム、タイヤ、ギア比、ペダルについて
【トラクロの練習①】
ビンディングペダルでの乗り降りからシケイン越え
【トラクロの練習②】
バニーホップで木の根越え
【トラクロ レース実況2022】
成長した?サンタの結果は如何に@BIKELORE Akigase12
Duncan's *MASH* steel (S)
元メッセンジャーであり、ブルーラグ最速の漢ダンカン。ジャンル問わず豊富な自転車経験を持つ彼が選んだバイクはMASH steel。
Frame | *MASH* STEEL |
---|---|
Stem | *THOMSON* elite X4 |
Handlebar | *ENVE* |
Head Set | *CHRIS KING* |
Wheels | *GRAN COMPE* small track hub × *H PLUS SON* archetype rim |
Tire | *IRC* serac cx edge tire |
Crankset | *SHIMANO* dura-ace track crank × *AARN* |
Cog | *SURLY* track cog |
Chain | *IZUMI* jet black bicycle chain |
Seat Post | *THOMSON* elite |
Saddle | *SELLE SAN MARCO × MASH* |
Grip | *ESI* racers edge grip |
Pedal | *TIME* atac xc |
Tommy's *MASH* steel (S)
ブルーラグ随一のトラックバイクフリークのトミー。
溢れ出るバイブス高めのMASH steel。
Frame | *MASH* STEEL |
---|---|
Stem | *RITCHEY* wcs |
Handlebar | *NITTO* for shred bar |
Head Set | *PHILWOOD* 1 1/8 headset |
Wheels | *VELOCITY* aileron × *PHILWOOD* |
Tire | *TERAVAIL* cannonball tire |
Crankset | *SRAM* force × *AARN* |
Cog | *PHILWOOD* track cog |
Chain | *HKK* new vertex track chain |
Seat Post | *KENT ERIKSEN* titanium seatpost |
Saddle | *SELLE ITALIA* flite |
Pedal | *TIME* atac xc |
この車体はトラクロ仕様になっているので、ギア比40-19で2.11と街乗りに比べたら激軽です。
トラクロはギア比で楽しめるか、辛い修行になるか分かれるので、2.0〜2.3くらいにしておくのがいいでしょう。
ハンドルはNITTO For Shred Barのリミテッドエディションターコイズブルー!イイ感じにアルマイトの色も飛んできて味が出てきました。思惑通りの仕上がり!
ハンドル幅は左右1インチずつカットして約700mm。(個人的にこの長さが見た目と使用感がベストオブベスト)
タイヤは38cのTeravail cannonball。普段はチューブを入れていますが、これはチューブレスになっています。固定ギアでオフロードとなると、足のタイミングが合わず荷重がかかったまま段差にドカンでパンクとかありがちです。実際トラクロのレース中にパンクしているライダーが本当に多い印象。なのでリム打ちパンクのリスクがほぼ無くなるチューブレスはかなりオススメです。
オフロード走行となるとかなり激しいライディングになるので軽さより頑丈さを重視したパーツチョイスにしました。あとは何よりも見た目重視 笑
ブッ飛んだフレームカラーなので、カラーパーツもうまいこと使って見ているだけでアガるバイクに仕上げました。
-
*NITTO* for shred bar
MTBでのトレイルライドからFixed Gearでのストリートライディングまであらゆるスタイルで遊び倒せるハンドル。見た目のかっこよさと性能を高い次元で融合させた一本。
-
*FAIRWEATHER* b903 bullmoose bar
適度なバックスイープ、クロモリ製特有のしなり感。とても握り心地が良く操作性も抜群。
-
*THOMSON* MTB aluminium bar
ライズ、バックスウィープの曲がり具合とデザインが最高にかっこいい1本。
-
*ENVE* M9 mountain handlebar
軽さと耐久性を兼ね備えた最強のカーボンバー。カーボン特有の振動吸収性で激しいダートライドでも快適。
-
*IRC* serac series
世界中の様々なレースで培った技術や知識、そしてあらゆる経験をフィードバックさせたハイパフォーマンスCXタイヤシリーズ。
-
*IRC* marbella tubeless x-guard
26cのタイヤ幅は、広いクリアランスを持たないバイクにとっては救世主的存在。
-
IRC BOKEN TUBELESS READY
やや太めで強度のあるケーシング、スムーズで安心感のあるトレッド設計。
-
*TERAVAIL* cannonball tire
進行方向に細かく置かれたセンタートレッドは舗装路は勿論、泥の上でも見た目以上に転がってくれる。
-
*PANARACER* gravel king SK tire
耐久性、耐パンク性能のツーリングタイヤ。グラベル走行時の走破性をより高めるブロックパターンを採用。
-
*PANARACER* gravel king SS tire
センタースリックとSKセミノブを組み合わせる事でオンロードでの走りの軽さと、グラベルでの走破性を両立。
-
*WTB* cross boss tcs tire
35cという絶妙な太さと路面にしっかり食いつくトレッドパターンは安定感がある。
-
*AARN* track cahinring
デザインから生産まで全てUSA、マサチューセッツ。PCD144で43Tはtracklocross用とされる。
-
*TIME* atac XC series
耐久性も高く、固定力も強いのでピストライダーやメッセンジャーからも長年支持されている。
固定ギアでビンディングペダルを使うならこれがオススメ。 -
*SPURCYCLE* bell
狭いコースで追い抜く際や、ハードなレース中に声が出づらくなったら後方にいる自分の存在を知らせるためにベルが役に立つ。
何と言っても音と見た目が最高なのがこのベル。 -
*ESI* racers edge grip
スポンジのような柔らかい握り心地と高いグリップ力で疲労を軽減してくれる。
2008年、2009年、NYCで行われたアーレーキャットレースで初めて"TRACKLOCROSS"という言葉が使われたという情報がネット上に残っている。
当時のNYCのバイクシーンをよく知り、このレースにも参加していた工藤貴広氏に当時の話を聞くことができた。
工藤さんは2000〜2013年にNYCに在住。Red Hook CritやMonster Trackをはじめ、NYCのストリートのど真ん中を走っていた。
- そのレースはどんな場所で行われたんですか?
Randall’s Islandって言って、NYCのマンハッタン島ってあるでしょ、そこの東側にBROOKLYN、QUEENSって言うのがあるんだけど、その間にハドソンリバーっていう川が流れてるのね。でその間にあるんだ。
島の一番南の方に精神病院があって、別名サイコアイランドって呼ばれててさ。
整備された公園と整備されてない空き地みたいなのがバーっとあった地域で、住んでる人いないからレースしてても別に誰がどうではないし、オフロード的な場所もあるし。
NYCの自転車乗ってる人達でシクロクロスのトレーニングをしましょうみたいなのがあった時もこの公園の一部を使ってやってた。
- どんな人が参加していましたか?
Red Hook Critのオーガーナイザーのデイブ。オースティン・ホースはこの時からREDBULLのスポンサー受けてた。この時のレースも勝ったのはオースティンじゃなかったかな。2回くらい抜かれた覚えがある。
- 参加者はメッセンジャーが多かったんですか?
主催してた奴はゴリゴリのメッセンジャーではない。みんなちょこっとメッセンジャーかじってたりはするけど、ゴリゴリのメッセンジャーではなかったと思う。でもちょうどストリートから競技に行く人のはしりだと思う。
その頃からNYCの自転車乗る人達がシクロクロスにはまりだしてた。その2,3年後にシクロクロスがヒップな文化みたいになってきて、感度の高い人、しかもレースとかコンペティティブ志向な人はシクロクロス始めるみたいなノリがあったからさ。
- 当時シクロクロスのレースにトラックバイクで出ることは普通にあったんですか?
NYCのスタテンアイランドっていう行政区があって、シクロクロスのレースを開催したのよ、初めてNYCの市内で。それがたぶん2008年とかなのかな。俺は2009年に出たんだけど、自転車もなかったからトラックバイクで出ました。
でもその時はけっこう笑われた。オースティンとかも出てたんだけど、この人は結構シリアスに勝ちに行ってるから、BROOKLYN MACHNE WORKSが作ったプロトタイプの謎のシクロバイクとかで出てた。みんな結構、1,2年前から参加してた人はちゃんとしたので出てたけど、俺は流行ってから始めた口だから、ギャングスタ(BROOKLYN MACHNE WORKS)で出て見てる人たちに「おっなんだアイツ」みたいな。スキッドだなんだとか笑われながらやってたけど。
トラックロクロスなんてカテゴリーあるわけじゃなくて、俺は単純にトラックバイクしかないからトラックバイク乗ってたけど、単純に面白いからっていう人もいた。
- 当時のNYCの他のレースの様子は?
当時のアーレーキャットは、ダジャレが多かったw
このTRACKLOCROSSとセットになってたアーレーキャットもハーレムゲドンって言って、アルマゲドンって言葉あるじゃない、あれをもじってハーレムとアルマゲドンを引っ掛けたりとか、ダジャレが多かったんだよ。俺もその程度に思ってた。
アーレーキャットもただ集まってレースしようぜっていうんじゃなくてなんかテーマがあるのよ、何かにつけて。ハーレムゲドンはハーレムを回るレースだし、各チェックポイントが映画のシーンであったりとかさ、そういうテーマがある中で、アーレーキャットなんだけど今楽しいシクロクロス掛け合わせて、自分たちの好きなトラックバイクでやろうぜみたいな。
でも楽しかった。シリーズになるアーレーキャットとかあるんだよ。Monster Trackも2000年からやってるから。Red Hook Critもシリーズになったし、Rumble Through the Bronxっていうブロンクスを巡るレースとか。
そういうのになるのかなって思ってたんだけど意外と終わっちゃった。2回くらい
- TRACKLOCROSSはその数年で一瞬だけ盛り上がったみたいな感じだったんですか?
だと思うよ、俺もだから最近になってワールドシリーズとかやって、ジャンルとして確立したんだなみたいな。でもそれまでもあったけどね。ストリートレースの一部にオフロード走らされるみたいなの。
- NYCの自転車乗りは路面が悪いみたいのが好きなんですかね。
好きじゃないよ(笑) 鍛えられるって感じじゃない?
- けどそれが背景みたいなところはありそうですね。
どうなんだろうね。
能力は高いんじゃない?路面を見る能力が。
しかもニューヨークなんてクソ寒いからさ、冬場なんて雪積もった時は乗れなくても、雪やんだら乗るわけじゃん。例えばさ、マンハッタン島に行くには絶対橋を渡らなきゃいけないのね。自転車で行くには。だから片道1kmくらいかけて登って1km降りるわけじゃん。橋って凍りやすいからさ、ガー登ってても普通に凍ってたりするわけよ。だからそういう生き残るスキルみたいなのは高いと思う。
車だってさ、自転車上等でくるわけじゃん、車線変更でウインカーなんて出さないし。歩行者もさ信号無視なんて当たり前だし、車来てなければ渡るから。自転車は車じゃないから渡るんだよ。そんなのいっぱいあるしさ。だからじゃないかな。
でも楽しいよね、制限があると。普通にオフロードコース走ったら楽しいじゃん。スキッドとかしやすいしさ。
広いタイヤクリアランスはもちろん高いBBハイト、クイックなハンドリングにショートホイールベースとMASHらしい味付けのジオメトリーがTracklo crossにはドンピシャにハマってくれます。
タイヤは32~35Cくらいがクリアランス的にも無理なく、フロントタイヤとつま先の接触も許容範囲だし、シクロクロス、グラベル系のタイヤが豊富に選べるサイズなのでオススメです!
現在はIRCのserac edgeを装着中。ドライ向けのヤスリ目パターンにサイドノブがしっかりあるタイヤなので、漕ぎ味も軽くてコーナーでしっかり踏ん張ってくれるので好きなタイヤ。
コーナーでも足を回し続けないといけないのもあり、高めのBBハイトは地面へのペダルヒットを防げてバンク角も稼げます。
クランク長も普段は170mmだけど167.5mmを使用しています。チェーンリングはAARNの43T。コグは19Tでギア比2.26。
フリーのSSCXだと2.0くらいがギア比の目安になってきますが、Tracklo crossだと2.2前後がどんなコースでも調子いいです。
ハンドルはTracklocrossといったらフラットバー一択でしょう!
先輩に譲ってもらったENVEのバーを660mmにしています。
もう少し長いほうが見た目は好きなんだけど、コースの狭いところをストレスなく抜けられて安定感あるのはこのくらいの長さかなと。
カーボンバー+ESIグリップの組み合わせが路面からの衝撃をうまくやわらげてくれていて、レース後半の腕の疲労感も少なく最後まで全力で攻めていけます。