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interview 01

Martina
Brimmer

マルティナ 共同創設者兼代表

"当時、アーバンメッセンジャーシーンの要素をパニアバッグに落とし込むっていうアイディアは誰もやっていなくて、とても大きなチャンスだなって思ってた"

マルティナはもともとR.E.Loadでメッセンジャーバックを作っていたけど、当時メッセンジャーやトラックバイクが全盛の時代に、”背負わないバッグ”であるバイクバッグメーカーとしてswiftをはじめたのにはどんなきっかけや理由があるの?

ひとことでいえば、バイクバッグを作ることにこの上ない喜びを感じていたからSwiftをはじめたの。
当時、アーバンメッセンジャーシーンの要素をパニアバッグに落とし込むっていうアイディアは誰もやっていなくて、とても大きなチャンスだなって思ってた。そのころ市場に出回っていたバッグはどれも量産的でつまらなくて、そういうものって私とジェイソンのやりたかったこととは真逆だったの。つまり、私は自分の手で物作りをすることが好きだったし、オルタナティブなバイクシーンで仕事がしたかった。だからSwiftをはじめるのは私にとってパーフェクトな道だったの。

自分で何かを始めることってすごくエネルギーがいることだと思うんだけど、当時のマルティナのエネルギーの源になっていたのは何?

何かを学ぶことが大好きな私にとって、Swiftは自分のエネルギーや好奇心を注ぎ込むのに最適な場所だったの。とはいえ、もしビジネスを軌道に乗せることがもっと簡単なことだったとしたら、こんなに長く続けてはいなかったと思うけど。
Swiftならではのやり方を探していくことから、いつも仕事へのモチベーションや楽しさを得ているの。製品の製造過程や、チーム作りや、ビジネスの変革、それに経済的な洞察力とか、そういったことを学ぶのはとても魅力的なことで、Swiftは自分にとって最高の学びの場になっていると思う。

Swiftのバッグは、クラシックなパターンにカラフルな配色やコーデュラといった素材を使うというのがすごく斬新だったけど、そのアイディアはどこから生まれたの?

R.E.Loadや当時のメーカーがそういった色使いや素材で作るメッセンジャーバッグが大好きだったの。見た目や手触りでも楽しませてくれるし、独特でちょっと変わった感じが好きだった。カラフルなものは元気をくれるしね。そういえば、私はカリフォルニアのメキシカンコミュニティで育ったんだけど、家の前の通りに咲いていたブーゲンビリアやアロエの色が、周りのターコイズやピンクの家に反射していたのを今でも覚えてる。

"小さい規模のままでいるっていうのは、私にとっては止まっているのと同じこと"

バッグメーカーとしての自信につながった出来事やプロダクトなどはある?

ワカコとトシっていう見ず知らずの2人から「Blue Lugっていう日本の新しいバイクショップでSwiftのバッグを売らせて欲しい」っていうメールをもらったことかな。

その後のBlue Lugとの関係の中で、特に印象に残っているのはどんなこと?

その運命的なメールをもらってBlue Lugのみんなに出会ってからは、私たちのスタジオでMAXと一緒にバッグを縫ったり、富士山までツーリングしたり、みんなにシアトルまで来てもらってSwift Campoutに参加してもらったり。Blue Lugのみんなとの楽しい思い出は、ホントにキリがないくらいたくさんあるの!

この15年の中で、Swiftはインディメーカーからバイクバッグの代名詞と呼べるくらいのメジャーブランドへと成長していったよね。どこかでシフトする決断をしたと思うんだけど、何かきっかけになるような出来事はあった?

いろんな要素があったと言えると思う。まず、私は新しいことを学ぶのが好きで、いつもどうやったらもっと成長できるかを考えてる。だから、小さい規模のままでいるっていうのは、私にとっては止まっているのと同じことなの。
それに、経済的に言っても、最初から最後まですべて自分たちの手でバッグを作るっていうのが当時のSwiftにとって厳しくなってきていたっていうのもある。
だから、会社の成長は、エキサイティングでもあり必要なことでもあったと思う。

"私にとってリーダーシップというのは、夢や理想を支えるために人々がカルチャーやコミュニティーを作ったときにこそ生まれるもの"

ところで、マルティナはSwiftを始める前からリーダーシップをとって積極的に行動していくタイプだったの? リーダーとしてお手本にした人はいる?

架空か実在かに関わらず、私はいつも勇気があって独立心を持ったキャラクターに憧れてきたの。それに、私自身も自分で何かはじめたり知らない場所に行ったりするのが平気なタイプだと思う。
ただ、たしかに勇敢さと自発性は会社をはじめるときに不可欠な要素だと思うけど、私にとってリーダーシップというのは、夢や理想を支えるために人々がカルチャーやコミュニティーを作ったときにこそ生まれるものなの。だから、どのようにコミュケーションをとるかを学ぶこと ―― 個人やチームをより良い方向へ導いたり、彼らの声に耳を傾けたりすることに私は多くの時間を費やすようにしてきた。一緒に働く仲間とともに成長していくことは、私にとっていちばんの喜びが感じられることだから。
子どもの頃はギリシャ神話のアテナに憧れてた。アテナは戦いの神として知られているけど、織物や職工の神でもあるの。私は荒っぽい子どもだったけど、物を作ることをはじめてから「これが自分のやりたいことだ」と思えるようになった。だから、アテナのことを知るうちに、自分と通じるところがあると感じたの。
(ほかにもたくさんの人から影響を受けているから選ぶのが難しいけど、リストを作るならこんな感じかな。アロック・ヴァイド・メノンからは、自分のままでいること、強く愛情深くいることを教えてもらってる。キム・スコットのリーダーシップ、特にRadical Candorでの彼女の仕事はお手本にしたいと思う。それから、Coalition Snowの創始者であるジェニファー・グレッキはホンモノの天才。クイアフェミニストである彼女の仕事への正直さは素晴らしいと思う。
最後に、作家であり活動家でもあるイジョーマ・オルオの知性や反人種差別運動への姿勢には憧れているし、パレスチナ解放活動への彼女の継続的な活動は本当に素晴らしいと思ってる。)

15年間での大きな出来事のひとつとして、Swift Campoutが毎年行われるようになったけど、マルティナにとってバイクキャンプのいちばんの魅力って何?

私は小さい頃から、外に出て何かにチャレンジしてるときに自分自身を強く感じることが出来るの。バイクキャンプが好きなのも、同じように自分自身でいられることが感じられるから。だから、何かに呼ばれた気がするときはいつも自分のペースで探検に出かけるようにしてる。バイクパッキングをしていると、シンプルで満たされた気分になれるの。

"先進的な女性オーナーの会社として、サイクリングコミュニティーに対してポジティブな貢献を果たしていくことが、不可欠であり重要だと個人的に感じた"

この15年間で、環境や多様性についてなど、人々の考え方や価値観が大きく変わったと思うんだけど、マルティナはSwiftでの活動の中でそういった社会の変化を感じたりした?

Swiftをはじめてからの15年間で、たくさんの変化があったと思う!
その変化っていうのは、先進的な考えを持った新しい世代の人々がバイクショップをはじめたことによって、多様性や包含性が重要視されるようになったということに象徴されると思う。もちろん人種差別や性多様性への理解についてはたくさんの課題があると思うけど、私は希望を持っているし、特にバイクシーンの中で、自分もそうした変化を促す役割が出来ていたらいいなと思う。私自身も、サイクリングカルチャーの中でクイアやBIPOCに関する活動を行っているメーカーの人々から影響を受けたり、彼らの姿勢からたくさんのことを学んだと思っているから。 ※BIPOC : Black, Indigenous and People Of Color
「黒人、先住民や有色人種」を指し、そうした人々をリスペクトするために用いられる言葉。

この15年間で、自分自身が成長した、変化したと思うところは?

世界や人生への見方が変わって、白か黒かだけで世の中を考えなくなったことかな。みんなが経験することかもしれないけど、Swiftの成長はそれをよく表していると思う。 Swiftをはじめた頃の私には、自分自身の手でひとつひとつ物作りをすることこそが、ビジネスのあるべき姿だという気取りがあったように感じる。そんなふうに、20代前半の私の視野はとても狭くて凝り固まっていたけれど、すべての決断の背景には複雑なレイヤーがあるんだということがわかるようになったの。もしSwiftがシアトルや海外にある工場とパートナーになることを選んでいなかったら、会社としてやっていけず、間違いなく閉業していただろうと思う。 私がそうやってビジネスを続けていくことに決めたのは、先進的な女性オーナーの会社として、サイクリングコミュニティーに対してポジティブな貢献を果たしていくことが、不可欠であり重要だと個人的に感じたから。 それから、温室効果ガスの排出量増加についても考えるようになった。私たちが進行させているものが、私たち自身の健康や生活にどのような影響を与えているかについては、今の時代を生きる人々みんなが考えなければいけない問題だと思う。そう思えうようになったのも成長したところかな! あと2つ、すごく成長したと思うところがあって、ひとつは物事に時間をかけるようになったこと。昔よりもよく考えるようになったし、いろんなことに動じなくなったと思う。もうひとつは、自分が他人にどう思われているかを気にしなくなったこと。自意識過剰じゃなくなるとすごく楽しくなる! 新しいことをたくさん経験したいから、苦手なことやカッコ悪く見えるようなことにもチャンレンジするようにしてる。それって若い頃からしたら大きな変化で、いいことだなって思ってる。

今後swiftとして、また個人として挑戦したいことは?

今私は気候変動のことについてたくさん考えていて、それが心にのしかかっているの。
確かに、自転車は自分を穏やかに、強く、寛容にしてくれるし、自分にとってすごく大切なコミュニティーの一部にしてくれるから、私はサイクリングが大好き。
ただ、何よりも、自転車は私たちが作り出した気候問題の解決策になるはずだということを私は強く信じてる。今こうしてシアトルのSwift本社に座っていると、車やトラック、電車や船がいたるところでひしめき合っているのが一望できる。今私に見える車のドライバーの1/4でもいいから、車の代わりに自転車に乗ってくれたら、びっくりするほどの影響を与えられるのに!そうしたら公園や緑を増やすことができるし、街も静かになって空気もきれいにすることができる。そんな未来が経験できることを夢見ているし、私たちにできることは小さいかもしれないけど、Swiftを通してそうした世界が実現できるように活動していきたいと思っているの。

interview 02

WESTON
HEIN

ウェスティン

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